特定技能外国人への事前ガイダンスはどうすればいい?その内容や時間、確認書についてわかりやすく解説!
執筆者:大路(JapanJobSchool CSマネージャー)
事前ガイダンスは特定技能外国人に対して行う義務的支援のうちの一つで、在留資格交付申請する前に雇用契約の内容や入国に当たる注意点などの説明を行います。
入管が定めている提供しなければいけない情報や実施時間、確認書など、ルールが細かく定められていますので、特定技能外国人の雇用をされている、もしくは採用を検討されている企業様は、是非ご一読ください。
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1.事前ガイダンスとは?
「事前ガイダンス」とは、特定技能外国人に対して行う義務的支援の一つで、「特定技能雇用契約の内容」や「日本において行うことができる活動内容」、「入国するにあたって注意するべき事項」などを説明する支援のことを指します。
ご存知の通り、特定技能外国人を受け入れる際には、必ず実施しなければならない「義務的支援」と呼ばれる下記の10項目の支援業務があり、そのすべてを1号特定技能外国人支援計画に記載する決まりとなっています。
上記の義務的支援の中でも、「事前ガイダンス」は雇用契約締結後、国外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書(COE)の申請の前(国内在住者の場合は、在留資格の変更申請前)に実施する必要があるため、義務的支援の中で1番早くに実施する支援業務になります。
ちなみに、よく「事前ガイダンス」と「生活オリエンテーション」が混同されていることもありますが、この2つは全く別物ですので、注意が必要です。
1-1.実施方法
「事前ガイダンス」は、対面もしくはオンライン(インターネットによるビデオ通話等)で実施し、必ず本人であることの確認を行った上で実施する必要があります。
伝えなければいけない内容を書類やデータにして、郵送またはメールなどで送るだけでは実施したことになりません。
また、特定技能外国人本人が余すことなく理解できる言語(=母国語)で行う必要があります!
1-2.いつ、何時間くらい行うのか
いつ行うのか
「事前ガイダンスとは?」の中でもお話ししたように、実施のタイミングは雇用契約締結後になります。具体的には下記の通りです。
■国外から呼び寄せる場合:在留資格認定証明書(COE)交付申請の前
■国内在住者を雇用する場合:在留資格の変更申請の前
何時間くらいおこなうのか
特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必要があると定められており、それぞれの状況にもよりますが、事前ガイダンスの内容を十分に理解するには、「3時間程度」要すだろうと考えられています。
また、技能実習生が同じ会社で続けて特定技能外国人として勤務するような場合でも、業務の内容、給与について、その他の労働条件など必要な情報は今一度理解してもらう必要があります。
このような場合、1号特定技能外国人支援計画で記載した時間よりも短い時間で終わることも考えられますが、トータルで1時間にも満たないような事前ガイダンスは、適切に行ったと認められません。
事前ガイダンスは登録支援機関であるJapanJobSchoolに委託できます
1-3.事前ガイダンスの確認書について
事前ガイダンスを実施した後、「事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)」を対象となる特定技能外国人に提示して、内容を確認の上、本人から署名をもらう必要があります。
また、この確認書は入管への提出を求められませんが保管しておく必要があります。
事前ガイダンス確認書のダウンロード:(WORD) (PDF)
2.事前ガイダンスの義務的支援内容
では、事前ガイダンスにおける「義務的支援」の内容はどういったものがあるのか、見ていきましょう!
2-1.雇用条件の説明
特定技能外国人に従事させることになる業務の内容や給与、休日、労働時間について等、雇用条件に関する内容を説明します。
2-2.住居についての説明
入管によって定められている「適切な住居確保に係る支援」の内容を伝えます。
住居の広さや月々の家賃、特定技能外国人の方が実際に負担することとなる費用を明示します。
2-3.仕事や生活に関する相談窓口の説明
特定技能外国人からなにかお仕事についての相談や苦情がある場合や、仕事以外でも日常の生活に関すること等で起こりうる相談事に対して、どんな体制で対応するかを伝えましょう。
例えば、相談対応のできる窓口となる連絡先、連絡方法、問い合わせのできる曜日や時間帯等を説明する必要があります。
2-4.支援担当者の氏名と連絡先
支援を担当することとなる担当者の名前や連絡先も共有する必要があります。
電話番号やメールアドレス、すぐに連絡の取れるSNS等、いくつかの手段を伝えておくと良いでしょう。
2-5.【認定申請の場合】入国に必要な手続きの説明
日本の入国管理局より交付された在留資格認定証明書(通称COE)を、受け入れ機関もしくは行政書士や登録支援機関の取次人から郵送してもらい、手元に届いたら管轄の日本大使館・領事館にて査証申請(通称ビザ申請)を行う必要があることを通知します。
また、在留資格認定証明書が入管で発行されてからは、必ず「3か月以内」に入国しなければいけないことも説明しましょう。3か月を過ぎると再申請となります。
2-6.【認定申請の場合】入国時に送迎が行われることの説明
特定技能外国人が入国する予定となっている空港の情報や、受け入れ企業もしくは支援機関が特定技能外国人を空港で出迎えて、勤務先もしくは住居までの送迎をすることを本人にお知らせします。
事前ガイダンスについて何かわからないことがございましたらお気軽にご相談ください
3.事前ガイダンスの任意的支援内容
次に、任意で事前ガイダンスの内容として伝えた方が良い事項についてご紹介します。
3-1.勤務地に適した服装の説明
入国する時期に勤務地となるエリアがどんな気候か、またどんな服装が望ましいかを説明します。
特にあたたかい気候のミャンマーから、冬場に東北エリアに入国、勤務開始をするケースなどは、気温を伝えてもどれくらい寒いのか、なかなかイメージがつきません。雪が降ったらどんな服装が適しているかなど具体的に説明すると良いでしょう。
3-2.持参すべきものとして必ず必要なものの説明
日本で生活するにあたって必要になるであろうもの等も伝えると良いでしょう。
また、反対に持ってきてはいけないものもお伝えしても良いと思います。
3-3.当面必要なお金とその用途の説明
特定技能外国人の方が生活している母国と日本では、物価の違いがあることが通常です。日本での生活にかかる費用の相場感を伝えましょう。例えば、食費や光熱費、通信費等です。
入社してすぐに最初の給与が振り込まれないこともあるかと思いますので、最初の給与が振り込まれるまでの期間を逆算して伝えることも大切です。
4.事前ガイダンスの注意点
事前ガイダンスは決められた内容を順番にただ話したらいい訳ではありません。実施するうえでの注意点をご紹介いたします。
4-1.特定技能外国人が十分に理解できるまで説明する
特定技能外国人の方が十分に理解できるまで、丁寧にしっかりと説明しましょう。母国語での説明はもちろんですが、理解がちゃんとできているか、確認しながら進めましょう。
入社前に教えてくれなかったから!と、特定技能外国人の方が困らないように、正しく必要な情報を余すことなく伝えましょう。
4-2.特定技能外国人の要望があれば就業後も実施する
1回しか実施できないという決まりはありませんので、特定技能外国人から要望があれば、勤務開始をした後でも繰り返し事前ガイダンスの内容を説明しましょう。
勤務開始をしたから気になること、改めて知りたいこともあるかと思います。
5.登録支援機関への委託もおすすめ
ここまで実施方法、義務的支援や任意的支援等をお話ししてきましたが、母国語で入管の定めたルールに沿って事前ガイダンスを実施することは簡単ではないと思います。
事前ガイダンスのみならず、受け入れる企業が自分で義務的支援業務を全て行うのはかなりハードルが高いと思います。
そんな特定技能外国人の受入れはしたくても、自社で支援体制を整えることが難しいという企業様には、登録支援機関への委託をおすすめします!
登録支援機関というのは、受け入れ企業より委託を受けて、事前ガイダンスを含めた特定技能外国人に対する支援業務を代わりに実施してくれる機関のことを指します。
支援業務の全てを委託することもできますし、あなたの会社が一定の条件を満たしていれば、一部の支援業務だけを切り取って支援機関に一部委託することもできます。
支援業務の実施はもちろん、入管法等のルールにも精通しているので、特定技能外国人の受入れにおける良きサポーターになるのではないでしょうか?
我々JapanJobSchoolも登録支援機関として、多くの特定技能外国人と企業様を支援しておりますので、お気軽にお問い合わせください。