特定技能「物流倉庫」の追加はいつから?受け入れ要件や試験、フォークリフトの注意点

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)
2026年1月、政府は深刻な労働力不足に直面する物流業界を救う一手として、特定技能制度への「物流倉庫(倉庫管理)」分野の追加を閣議決定しました。
「2024年問題※1」の影響により、倉庫内作業の担い手不足はかつてないほど深刻化しています。これまで技能実習生のみが認められていた現場において、即戦力となる特定技能外国人の活用が可能になる今回の改正は、多くの企業にとって大きな転機となるでしょう。
この記事では、2027年4月の運用開始に向けた最新スケジュールや、独自の受け入れ要件、現場で欠かせないフォークリフト免許の取得に関する「課題と対策」についても詳しく解説します。
※1:2024年問題とは、ドライバーの時間外労働に上限を設けた結果、生じると予想される問題の総称です

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1. 特定技能「物流倉庫」追加の背景と最新スケジュール
物流業界の労働力不足を背景に、特定技能制度への「物流倉庫」分野の追加が決定しました。まずは、今回の改正で示された受け入れ見込数や、現場への導入に向けた具体的なスケジュールを確認しておきましょう。
1-1. 2026年閣議決定:物流倉庫分野の正式追加
2024年3月に方針を示し、2026年1月にさらなる詳細が閣議決定されました。政府は特定技能制度の受け入れ対象に「物流倉庫(倉庫管理)」を追加しています。
物流業界では「2024年問題」による人手不足が深刻化。これまでは技能実習生のみだった倉庫内作業において、即戦力となる「特定技能」の活用がついに解禁されます。
今回の決定による、具体的な受け入れ見込数は以下のとおりです。
- 受け入れ見込数:1万1,400人(令和8年度から3年間)
- 運用の枠組み:令和10年度末までの3年間における「受け入れ上限」として運用
この数値は、人手不足が続く物流現場へ、一定規模の外国人材が投入されることを示しています。
※参考:別紙12 物流倉庫(特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領|出入国在留管理庁)
1-2. 2027年4月開始に向けたスケジュール
新分野の運用開始は、2027年4月を予定しています。それまでの期間、2026年度中には「評価試験」の策定や実施要領の整備が進められる計画です。
- 2026年中:省令・告示の整備、技能試験および日本語試験の開始予定
- 2027年初頭~:在留資格の申請受付開始
- 2027年4月~:現場での就労開始
法務省の資料では、令和8年度(2026年度)からの受け入れ見込数が設定されています。ここから逆算すると、上記のスケジュールが現実的です。
2. 特定技能「物流倉庫」の受け入れ要件
特定技能「物流倉庫」分野では、従来の就労ビザよりも「どの立場の企業が受け入れるか」という点が厳密に審査されます。自社が対象となる事業者区分に該当するか、また現場で任せられる業務範囲に相違がないか、事前に把握しておくことが重要です。

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2-1. 倉庫業者・運送業者・受託事業者の3区分
新制度において、特定技能外国人を受け入れられるのは以下のいずれかに該当する事業者です。
- 倉庫業者:倉庫業法に基づき登録を受けた事業者
- 貨物自動車運送業者:運送業の許可を持ち、その事業に附帯して倉庫内作業をする事業者
- 受託事業者:上記1から委託を受け、その倉庫内で作業をする事業者(例.構内荷役会社)
※参考: 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針及び特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について
従事できる業務

物流倉庫分野(倉庫管理区分)で認められる業務は、入庫から出庫に至る一連の倉庫内作業です。具体的には、届いた商品の「入出荷・検品」から始まり、指示書に基づいた「ピッキング・仕分け」、発送前の「梱包・搬送」、そして在庫状況を把握する「保管管理」まで、幅広くシームレスに従事させることが可能です。
これにより、季節による物量の変動や、細かな手作業が求められる流通加工の現場においても、柔軟な人員配置が可能となります。なお、フォークリフト等(電動パレットトラック・ショベルローダー・高所作業車含む)の操作をする場合は、日本の法令に基づく技能講習を別途修了させる必要があります。特定技能外国人に習得してもらうことで、倉庫内作業の全工程を任せられる人材育成が期待できます。
※参考:別紙12 物流倉庫(特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領|出入国在留管理庁)
従事できない業務

事務作業のみや清掃のみといった「付随的ではない単一の業務」に従事させることは認められません。特定技能制度では、技能試験で評価される荷役が本来の業務だからです。
今回の対象はあくまで物流拠点での業務に限定されています。物流倉庫ではない小売店舗のバックヤードのみで作業をするのも原則禁止です。ただし、本来のピッキングや搬送作業にともなって、日常的な範囲で清掃や事務入力をするのは、付随業務として認められています。
2-2. 構内荷役(下請け)でも受入可能 ※協議書提出が必須
下請け・孫請けとして作業を請け負う企業にとって、大きなチャンスです。ただし「雇用の継続性に関する共同責任の協議書」の提出が求められます。
入管審査では、元請けとの契約が切れた際に外国人が路頭に迷わないか厳しくチェックされます。元請け企業に対し、万が一の際の雇用継続への協力を書面で約束してもらうという高度な調整が必要です。
※参考:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針|出入国在留管理庁
※参考:物流倉庫分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針|法務省
2-3. 直接雇用の義務・派遣不可
物流業界において特に注意すべき点は、「直接雇用」が義務付けられていることです。特定技能の物流分野では、人材派遣会社からの派遣受け入れは認められていません。自社で雇用契約を結び、適切な社会保険への加入や支援体制を整える必要があります。
2-4. 物流倉庫分野特定技能協議会への参加
特定技能外国人を受け入れる企業は、国土交通省が組織する「物流倉庫分野特定技能協議会(仮)」への加入が必須となります。初めて受け入れをする際には、入国後4か月以内に加入手続きを完了させる必要があり、業界全体の適正な運用に協力することが求められます。
協議会については、以下の記事で解説しました。
▶【分野別一覧付き】特定技能の協議会とは?加入要件や入会方法、費用など分かりやすく解説
3. 外国人が取得すべき試験(技能・日本語)
特定技能外国人として就労するためには、一定以上の実務技能と日本語能力を証明しなければなりません。ここでは、新たに新設される技能試験の概要と、現場での安全確保に欠かせない日本語水準の基準について解説します。
3-1. 物流倉庫分野 特定技能評価試験
外国人が特定技能を取得するには、新たに新設される「物流倉庫分野特定技能評価試験」に合格する必要があります。試験では、倉庫管理に関する基本的な知識や安全管理、作業の正確性などが問われる見込みです。
<試験の合格点・難易度について>
現時点(2026年3月)では、物流倉庫分野の試験は開発・試行段階であり、具体的な合格点や正答率は公表されていません。ただし、既存の「製造業」や「農業」などの特定技能評価試験の傾向から、「正答率60%程度が合格ライン」になると推測されるのが一般的です。
3-2. 日本語能力水準
物流現場での指示を正しく理解し、安全に作業をするための日本語能力が求められます。法務省の指針では、「日本語教育の参照枠A2.2相当以上」の水準が必要とされています。これは、以下のいずれかの試験に合格することで証明可能です。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic):「A2レベル」以上の判定
- 日本語能力試験(JLPT):「N4」以上の合格
この基準を満たすことで、日常生活や現場での基本的なコミュニケーションが可能と判断されます。
▶【N1保持者が教える】日本語能力試験(JLPT)とは?N1、N2のレベルと2024年の試験日程もご紹介!
4. 採用から定着までの流れ
募集から入国までの基本的なステップは、他の特定技能分野と同様です。詳しいフローについては、「特定技能外国人を受入れまでの5つのステップ」をご確認ください。また、将来的にドライバーを目指す場合は、「自動車運送業の特定技能解説記事」も併せて参照することをおすすめします。
JJSの「定着率UP」のポイント
弊社JJSでは、ただ人材を紹介するだけでなく、物流現場での「長期定着」にコミットしています。
| 徹底した日本語・マナー教育 | 語学だけでなく、日本の文化や現場特有のマナーを教育。さらにキャリアアップのための試験対策講座も実施 |
| 驚異の定着率93.6% | 入社して1年以上働き続けている人の割合は9割を超えており、ミスマッチが極めて少ないのが特徴 |
| 独自の育成型マッチング | 単なる送り出しではなく、自社で人材を育成。企業の求めるスキルと候補者の適性をすり合わせ、双方が納得できるベストなマッチングを実現 |
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5. 特定技能「物流倉庫」よくある質問と注意点
Q1:技能実習(新制度「育成就労」)からの移行はどうなりますか?
2027年から始まる「育成就労制度」からも、物流倉庫分野への移行が可能になる予定です。現行の技能実習を良好に修了している場合は、技能試験が免除されるなど、スムーズな移行ルートが整備される見込みです。
<育成就労から特定技能1号への移行要件>
- 技能検定試験3級等、または特定技能1号評価試験に合格すること
- 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)に合格すること
- 受け入れ機関がこれらの試験を外国人に受験させること
育成就労制度の対象職種や要件は「【新制度】育成就労制度とは」をご覧ください。
Q2:賃金(給与)の設定基準はありますか?
「日本人と同等以上の報酬」を支払うことが法律で定められています。同じ業務に従事する日本人社員の賃金規定に基づき、不当に低い設定にならないよう注意が必要です。
賃金の設定基準は、「特定技能外国人の給与相場」が参考になります。
Q3:特定技能外国人はフォークリフト業務に従事させられますか?
結論からいうと可能です。ただし日本には、フォークリフトの資格制度があります。日本人も外国人も、同様の試験に合格しなければなりません。現場でフォークリフトが不可欠な場合は、入国前から専門用語を重点的に学習させるなど、独自の教育カリキュラムが必要です。
- 免許取得の要件:日本国内で運転するには、日本の技能講習を修了し、学科試験に合格する必要がある
- 日本語の難易度:学科試験は基本的に日本語で問われるため日常会話ができても、専門用語が並ぶ試験で苦戦するケースが少なくない
フォークリフト以外の重機について
電動パレットトラック・ショベルローダー・高所作業車なども、日本の法令に基づく資格取得や特別教育の受講をすれば従事できます。電動パレットトラック(1t未満)は、講習(特別教育)のみで操作可能な機械です。フォークリフト免許取得までの期間は、こうした機械から段階的に任せていく育成プランを立てるのがスムーズです。
Q4:物流業界で外国人雇用ができるビザは、他にもありますか?
物流現場で活用できる主なビザは特定技能「物流倉庫」、育成就労(旧:技能実習)、特定活動(告示46号)、身分系(永住者・配偶者等・定住者)、資格外活動(留学生アルバイト)、技術・人文知識・国際業務(技人国)です。
ただし、2027年以降は「特定技能」と「育成就労」がメインの選択肢となります。
物流業界で外国人雇用できるビザは、「外国人採用の要件と物流現場での活用術」で解説しています。
Q5:物流現場における外国人育成の注意点はありますか?
物流倉庫は、重量物を扱う重機(フォークリフト)と歩行者が混在する特殊な環境であるため、他分野と比較して「命に関わる安全管理」のハードルが非常に高いのが特徴です。
①徹底した安全教育と「KY(危険予知)」の視覚化
特に「指差呼称(右よし、左よし)」は、単なる日本語の暗記ではなく、「なぜその動作が必要か」という日本の安全文化そのものを伝える必要があります。また、事故のリスクを写真やイラストを用いた「安全掲示板」で視覚的に伝える工夫も有効です。
②専門用語の事前習得
「パレット」「ラップ」「バース」「検品」などの現場用語は、入国前にマスターさせておくことで、初日の指示ミスや事故を防げます。
③「現場での孤立」を防ぐコミュニケーション管理
物流倉庫は広大で作業員が分散しやすいため、以下の対策で孤立を防ぐことが重要です。
- 「声かけ」のルール化:作業開始・休憩・終了時の挨拶を徹底し、異変に気付ける環境を作る。
- メンター制度の導入:特定の日本人や先輩外国人を教育係(メンター)に指名し、技術面だけでなく日本の現場の「暗黙の了解」もフォローする。
6. JJSの外国人採用支援で人手不足を解消!
物流倉庫分野の特定技能は、一過性の人手不足解消ではありません。これからの日本の物流インフラを支える、大切な次世代の主力を迎えるチャンスです。JJSでは、単なる人材紹介にとどまらず、「現場に長く根付く戦力」の育成と定着にコミットしています。定着率93.6%の実績に裏打ちされたノウハウで、長期的な人材戦略に貢献します。まずはお気軽にご相談ください。

