外国人の就労支援を行っている機関とは?NPO・登録支援機関などそれぞれの特徴や助成金など解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

初めて外国人を採用しようと考えている企業の採用担当の方の中には、分からないことが多く、誰かに相談したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そんな企業の採用担当者の方が外国人採用について相談できるのが、NPOやハローワークなど外国人の就労支援を行っている機関です。

外国人の採用をお考えの方は「3分でわかる初めての外国人採用マニュアル」をダウンロードください

目次

1. 外国人就労の現状と課題

外国人労働者数は2022年10月時点で約182万人となり、過去最高を更新しました。コロナ禍以降、外国人労働者数は増加を続けていて今後も増加傾向が続くと見込まれています。

そんな中で国の機関だけでなく、就労支援を行う民間企業の数も増えてきています。一方で留学生の就職率の低さや、外国人従業員と日本人従業員をどう解決するかが課題になっています。

1-1. 現状

外国人労働者の推移

外国人労働者数は毎年増加しています
コロナウイルスが流行していた2020,2021年は対前年増加率が低くなっていますが、流行が落ち着いた2022年にはまた5%以上になっています。特に人手不足が顕著な業界では今後も外国人労働者数は増加していくでしょう。

在留資格別に見ると、約半数を占めているのが「身分に基づく在留資格」と「資格外活動」です。

  • 身分に基づく在留資格…「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの在留資格のこと。
  • 資格外活動…「留学生」「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人が、本来在留資格で認められている活動以外に収入を得る活動をすること。

外国人の在留資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

一方で、就労目的の在留資格を持つ外国人は約48万人で、全体の約26%です。

在留資格別外国人労働者数

つまり、日本で就労する外国人の四分の一が就労系の在留資格を持っていてそれ以外の人は技能実習や、留学生のアルバイト、さらに身分系在留資格を持つ人ということになります。

1-2. 課題

日本における外国人就労の課題は大きく2つあります。

  1. 留学生の就職率が低い
  2. 言語の壁・日本の文化や慣習への理解不足によるトラブル

留学生の就職率が低い

2021年度に大学、又は大学院を卒業した外国人留学生のうち、日本国内で就職した人の割合はこのようになっています。

大学院(博士課程)             30.9%                          
大学院(修士課程)20.4%
大学(学部)32.7%
専門学校47.5%

留学生全体のうち日本国内で就職するのは3人~5人に1人の割合であり、多い数字とは言えません。

大学または専門学校を卒業した外国人留学生は、日本で働くのに十分な日本語能力(日本語能力試験N2,N3レベル)に達している人が多いです。さらに2年以上日本に住んでいるので日本の文化・慣習への理解も深いです。 外国人留学生の新卒採用を積極的に取り組むことで、優秀な人材を獲得できる機会が増えるでしょう

外国人留学生の新卒採用については、こちらの記事も参考にしてください。

言語の壁・日本の文化や慣習への理解不足によるトラブル

外国人従業員とのトラブルの上位に挙げられるのが「日本語でのコミュニケーションが取れない」「頻繁に遅刻するなど、日本の慣習に適応していない」などです。
日本語のコミュニケーション問題は、在留資格取得の日本語要件が高い技術・人文知識・国際ビザを持つ外国人では起こりにくく、日本語要件が不要な留学生のアルバイトや技能実習で頻繁に起きています。

良い関係を築くための「外国人労働者とのコミュニケーションマニュアル」のダウンロードはこちら

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「2021年度外国人留学生進路状況調査結果」
出典:出入国在留管理庁「令和3年における留学生の日本企業等への就職状況について」
出典:厚生労働省・公益社団法人東京労働基準協会連合会「外国人労働者安全衛生管理の手引き」

2. 外国人の就労支援を行っている機関紹介

2-1. 公共団体

ハローワークやNPO、特定技能ビザであれば登録支援機関など、外国人の就労支援や企業側の支援を行っている公共団体では、主に外国人採用についての悩みを相談することができます。

メリット
・政府公認の機関のため、トラブルに巻き込まれにくい無料でサービスを受けられる場合が多い
・無料でサービスを受けられる場合が多い

デメリット
・外国人を直接紹介してもらえる機会は少ない

公的団体の例として、外国人雇用サービスセンター・ハローワーク・登録支援機関・NPOそれぞれの特徴を説明します。

外国人雇用サービスセンター

外国人雇用サービスセンターでは、日本での就労を希望する外国人留学生や、専門的・技術的分野の外国人労働者に対する就職支援を行っています

※「専門的・技術的分野の外国人労働者」とは …システムエンジニア・プログラマー・デザイナー・マーケター・通訳など、専門的な知識・技能が求められる職種についている外国人労働者のこと。

支援内容

  • 高度外国人材向けの支援
    ・高度外国人に対する職業相談・職業紹介
    ・外国人を雇用する事業主への雇用管理に関する指導・援助  
  • 外国人留学生向けの支援
    ・就職ガイダンス(入学後早い段階から受講可能なものも実施しています。)
    ・インターンシッププログラムの提供
    ・就職面接会の実施

センターの窓口は東京・大阪・名古屋・福岡にあります。
企業向けには外国人を雇用する事業主への雇用管理に関する指導・援助の支援がありますので、外国人を採用するとき、雇用し続けるための手続きなどで不安がある方は、ここに相談することができます。

ハローワーク

ハローワークでも外国人に特化した就職支援を行っています。
外国人居住者・労働者が多い地域のハローワークには「外国人雇用サービスコーナー」が設置されています。ここでは、当該地域に多い外国人の言語を話せる通訳を設置し、専門相談員による就職相談を実施しています。

通訳がいるハローワークはこちらから調べることができます。
さらにハローワークには、求職中の外国人だけでなく、外国人を採用したい企業向けの支援サービスもあります。

企業が利用できる支援

  • 求人情報の公開(無料)
  • 外国人雇用管理アドバイザーへの相談

ハローワークを利用するメリットは、何と言っても無料であるという点です。また、政府が運営するサービスであることから多くの人が掲載している求人を見ます。

さらに、外国人雇用管理アドバイザーへの相談では、外国人の雇用について専門家から無料でアドバイスをもらうことができます

〈相談例〉

  • 外国人を雇用するにあたり、どのような点を考慮したらよいだろうか?
  • 現在外国人を雇用しているが、今のやり方で問題ないだろうか?
  • 日本語の不慣れな外国人へ、どのように職場教育したらよいだろうか?
  • 労働契約、職務配置、福利厚生、退職・解雇時の注意点はなんだろうか?

「言語の壁・日本の文化や慣習への理解不足によるトラブル」で挙げたトラブルの解決にもつながるでしょう。相談窓口・日時などについては「3-1.外国人雇用管理アドバイザー」で詳しく解説しています。

登録支援機関

登録支援機関とは、在留資格「特定技能」に関わる機関です。
特定技能外国人を雇用した時に、受入れ機関から委託され、その外国人の支援を代行します。

在留資格「特定技能」では職場や日常生活で外国人に対する支援が必ず必要になります。ただこの支援は書類作成などの専門的な知識も必要になる場合もありすべて受入れ機関で行うことは困難です。そこで登録支援機関が受入れ機関に委託され、外国人の支援を代わりに行います

特定技能外国人を採用する際に、その外国人の支援を登録支援機関に一任すれば、外国人への生活オリエンテーション・生活支援・日本人との交流促進・外国人との定期的な面談などを請け負ってもらえます。

企業で働く特定技能外国人にとっても、社外の日本人に就労環境について相談できる場があるというのは大きなメリットになります。

さらに、企業側も雇用した外国人とトラブルがあった場合や、職務配置・退職時の手続きについて分からないことがある場合に、登録支援機関に相談することができます。

登録支援機関については、こちらの記事も参考にしてください。

NPO

日本で生活する外国人の就労・生活支援を行っているNPOも数多くあります。NPOによって対象となる外国人や支援内容が変わってきますので、それぞれの企業にあったNPO法人を探してみてください。

出典:厚生労働省「外国人雇用管理アドバイザー」
出典:外務省「登録支援機関について」

2-2. 民間団体

民間団体には、大手就職支援サイトを運営する企業や、外国人求職者と企業のマッチングサービスを提供する企業があります

メリット
・マッチングサービスを受けることで、直接外国人を紹介してもらえる
・1社ごとに担当者がつき、手厚いサポートが受けられる場合が多い

デメリット
・紹介される外国人の質が必ずしも高いわけではない

3. 外国人を雇用する事業者への支援

外国人の就労支援を行う機関は、同時に外国人を雇用する事業者への支援も行っています。ここでは代表的な支援を3つ紹介します。

  1. 外国人雇用管理アドバイザー
  2. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)
  3. 外国人労働者の人事・労務に役立つツール

3-1. 外国人雇用管理アドバイザー

「前項のハローワーク」でも少し触れましたが一部のハローワークには外国人の雇用についての相談を受ける外国人雇用管理アドバイザーが設置されています

〈相談例〉

  • 外国人を雇用するにあたり、どのような点を考慮したらよいだろうか?
  • 現在外国人を雇用しているが、今のやり方で問題ないだろうか?
  • 日本語の不慣れな外国人へ、どのように職場教育したらよいだろうか?
  • 労働契約、職務配置、福利厚生、退職・解雇時の注意点はなんだろうか?

相談の申し込みには、事業所近くのハローワークへ問い合わせる必要があります。アドバイザーによる相談日を限定しているハローワークもあるため、事前に電話で問い合わせることをおすすめします。

アドバイザーが直接事業所へ訪問し、相談内容を検討、アドバイスしてくれる場合もあります。

3-2. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)

外国人従業員を新たに採用するには、職場環境の多言語化や、日本人従業員への「やさしい日本語」研修・異文化研修などで費用が追加でかかる場合がほとんどです。

政府は、そのような外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、人材確保等支援助成金を給付しています。

主な受給条件

  • 外国人労働者を雇用している事業主であること
  • 認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1及び2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること

    1. 雇用労務責任者の選任
    2. 就業規則等の社内規程の多言語化
    3. 苦情・相談体制の整備
    4. 一時帰国のための休暇制度の整備
    5. 社内マニュアル・標識類等の多言語化
  • 就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること

これらの条件以外にも雇用関係助成金共通の要件などいくつかの追加要件があります。
詳しくは問い合わせ窓口(労働局・ハローワーク等)まで、直接問い合わせてください。 助成金の受給額は、要件をすべて満たした場合に、支給対象経費に助成率を乗じた額が支給されま

受給涼

支給対象経費

  • 通訳費(外部機関等に委託をするものに限る)
  • 翻訳機器導入費(事業主が購入した雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限り、10万円を上限とする)
  • 翻訳料(外部機関等に委託をするものに限り、社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
  • 弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限り、顧問料等は含まない)
  • 社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)

助成金の詳細については、パンフレットも参考にしてください。

その他助成金についてはこちらの記事をご覧ください。

3-3. 外国人労働者の人事・労務に役立つツール

日本の就労環境は、日本人にとっては当たり前でも、外国人従業員には疑問に感じる点が多くあります。

「8時就業開始なので、8時に来ればいいと思います。」
「最初に聞いた給料と振り込まれている金額が違うのは何で?」

厚生労働省は、このような質問・要望に答えるための、便利なツールを3つ提供しています
外国人従業員を雇用している、又は雇用する予定のある企業の方には、非常に役立つでしょう。

~日本人社員、外国人社員ともに働きやすい職場をつくるために~

  • 雇用管理に役立つ多言語用語集
  • モデル就業規則

『外国人社員と働く職場の労務管理に使えるポイント・例文集』

雇用管理で実際に想定される場面ごとに、事業主・人事担当者の方が理解しておくとよいポイントと、実際に外国人の方に説明するときに使える「やさしい日本語」による説明の例文や図表を紹介しています。

外国人社員と働く職場の労務管理に使えるポイント・例文集

就業前オリエンテーションや、個別の質問への回答時に活用できます。
PDF版はこちら

雇用管理に役立つ多言語用語集

人事・労務の場面でよく使用する労働関係、社会保険関係の用語約420語の定義・例文を検索できる用語集です。

〈検索できる言語〉

  • やさしい日本語
  • 英語
  • 韓国語
  • 中国語
  • タガログ語
  • ベトナム語
  • ネパール語
  • ポルトガル語
  • スペイン語
  • インドネシア語
  • カンボジア語
  • タイ語
  • ミャンマー語
  • モンゴル語

Excel版の他に、カテゴリー別・五十音順に検索できるウェブサイトもあります。

モデル就業規則

モデル就業規則に、やさしい日本語訳をつけたものです。
外国人向け就業規則を作る時に活用できます。

出典:厚生労働省『外国人の人事・労務に役立つ3つの支援ツール』

より良い関係を築くための「外国人労働者とのコミュニケーションマニュアル」のダウンロードはこちら

4. 外国人採用をご検討中の企業様へ   

当社JJS(Japan Job School)では、主に以下の2つのサービスを提供しています。

  • 外国人材採用サービス
  • 登録支援サービス

4-1. 外国人材採用サービス

当社の運営するスクールで日本文化・日本人理解の教育・研修を受けた外国人のみを紹介するため、日本人従業員と良好な関係を築けるのが特徴です。

外国人人材採用サービス

求人掲載の費用はかかりません。当社スタッフがヒアリングを基に最適な生徒をマッチングをし、マッチングに成功した場合のみ報酬をいただいています。

4-2. 登録支援サービス

在留資格「特定技能」で外国人採用をお考えの企業の方へ、当社では在留資格「特定技能」の専門的な知識、経験が豊富なスタッフが登録支援機関として、外国人従業員の雇用をサポートします。

登録支援サービス

過去3000人以上の外国人を見てきた実績のある当社だからこそできる、手厚いサポート体制が特徴です。

5. まとめ

初めて外国人を採用しようと考えている企業の採用担当の方はぜひ外国人の就労支援を行っている機関に、心配事を相談してみてはいかがでしょうか。

当社では求人掲載だけでなく、外国人採用についての相談も承っております。少しでも不安がある方はぜひこちらからお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!
Divership公式キャラクター
ものしりシップくん
たくさんの外国人求職者が登録しています

いま、外国人求職者の登録が増えています。ご相談や求職者を見ていただくだけでも結構です!まずは、今まで1000名以上の紹介実績のあるJapanJobSchoolにお問合せください!

この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

☆☆☆JapanJobSchool☆☆☆
紹介実績1,500名以上!支援実績250名以上!
主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」外国人の人材紹介と支援を行っています。また、入社してからのスキルアップのために日本語授業も提供しています。

目次