【事例あり】就労ビザ申請が不許可になる理由と対処法をご紹介|外国人をスムーズに採用するために

執筆者:趙(外国人就労アドバイザー)

企業が外国人を採用すると、就労のためのビザ申請が必要です。しかし、ビザ申請は必ずしも許可されるわけではなりません。不許可の結果が分かり、外国人はもちろんがっかりしますが、企業にとっても大きなダメージになります。

そこで本記事では、外国人の採用をよりスムーズにするために、就労ビザの申請が不許可となった理由及び対処法を、事例をあげながらご紹介いたします。外国人材ご採用の際、ぜひご参考いただければと思います。

ビザ申請が不許可になるか不安な方はお気軽にJapanJobSchoolにご相談ください。

目次

1.就労ビザ申請が不許可になる主な原因

就労ビザ申請が不許可になる原因をご紹介します。主な原因として、以下の5つをあげることができます。

  1. 外国人の経歴に問題があること
  2. 外国人の現在のビザや従事予定の仕事内容がビザに該当しないこと
  3. 外国人が最終学歴の学校で勉強したことと仕事内容が合致しないこと
  4. 企業の経営状況や外国人に提示した労働条件に問題があること
  5. 入管が指示した追加資料などを提出しないこと

以下、そのそれぞれについてご解説します。

1-1.外国人の経歴に問題があること

外国人の経歴、とりわけ日本での経歴に問題があれば、就労ビザ申請が許可される可能性が低くなります

たとえば外国人留学生は在学中の学校の出席率・成績が悪く、あるいは週最大28時間という入管法の制限を超えてアルバイトしたことがありましたら、卒業の後で企業に採用されても、その就労ビザ申請が許可されない恐れがあります。

また、弊社の外国人は以前、ビザを申請し、入管に経歴を申告したことがありますが、今回の就労ビザ申請に当たり、以前申告したものとは違った経歴を書類に記載しました。このような場合でも、外国人の経歴に問題があると認められ、その就労ビザ申請が不許可とされる可能性が高いです。

1-2.外国人の現在のビザや従事予定の仕事内容がビザに該当しないこと

外国人の現在のビザでは就労ビザを申請できない場合や、従事する予定の仕事の内容がビザに該当しない場合、就労ビザ申請が許可されません。

代表的な就労ビザの「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請を例として挙げると、外国人の現在のビザが「技能実習」であれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザを申請しても許可される確率が低いです。「技能実習」ビザでは、実習期間が終わった後、外国人が帰国し、日本で学んだ技術を自国で活かすことが求められているからです。

また、「技術・人文知識・国際業務」ビザは、エンジニア、会社員、通訳などのホワイトカラーの仕事に向けてのビザです。そのため、外国人が飲食店でレジ打ちに従事する予定として「技術・人文知識・国際業務」ビザを申請すれば、申請が不許可になります。

1-3.外国人が最終学歴の学校で勉強したことと仕事内容が合致しないこと

「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請が不許可になる可能性があるもう1つの重要な原因は、外国人が最終学歴の学校で勉強したことと仕事内容とは合致しないことです。

このビザでは、外国人が最終学歴の専門学校や大学で勉強したことを活かして仕事をしなければなりません。言い換えれば、最終学歴の学校で勉強したことと仕事内容とは関係がないとき、「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請が不許可になる可能性が高いです。

具体的にいえば、文学部を卒業した外国人は、会社の事務に従事する予定で「技術・人文知識・国際業務」ビザを申請すれば、許可の可能性が高いです。一方、エンジニアに従事する予定であれば、申請が許可される可能性が低くなります。

1-4.企業の経営状況や外国人に提示した労働条件に問題があること

企業全体の経営状況や、外国人に提示した労働条件に問題があると認められるとき、外国人が悪いわけではありませんが、就労ビザ申請が不許可になり得ます。

たとえば企業が数年間赤字の連続で、あるいは外国人に最低賃金よりも低い給料を提示すれば、外国人の経歴などに問題がなくても、入管は外国人の権利・利益の保護の視点から、就労ビザ申請を不許可とします。

1-5.入管が指示した追加資料などを提出しないこと

入管は申請を審査しているうちに書類の不備を発見し、あるいはほかの資料も必要であると考える際、不備の修正、追加資料の提出を指示します。入管から指示があること自体は、申請が不許可になることを意味しません。しかし、入管の指示を放置し、締切までに対応しなければ、申請がほとんど不許可になります。

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2.就労ビザ申請が不許可になった事例

本章では、就労ビザ申請が不許可になった事例をいくつかご紹介します。

2-1.出入国在留管理庁が公開した不許可事例

出入国在留管理庁のホームページでは、以下の就労ビザ申請が不許可になった事例が掲載されています。

「在留資格「日本人の配偶者等(1年)」の上陸許可を受けて入国し、以後2回の在留期間更新許可を受けて在留していたところ、大麻取締法違反、関税法違反により懲役10か月執行猶予3年の刑に処せられたもの。」

「同人から、その後、日本人配偶者と離婚したが、引き続き本邦に在留し通訳、翻訳業務に従事することを希望して、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請がなされたところ、在留状況に問題があるとして、在留資格の変更が認められなかったもの。」

参考在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について|出入国在留管理庁

2-2.当校が経験した不許可事例

当校は、次のような不許可事例を経験しました。

当校の生徒が企業に採用され、「特定技能1号」ビザへの在留資格変更許可申請をしました。ところが、外国人はこれまで不法就労したことがあり、今回の申請に当たり、以前の職歴について正しい履歴書を提出せず、不法就労の経験も入管に申告しませんでした。

結局、入管はご本人の履歴書を信用できないことを理由に、申請を不許可としました。

もう一つの事例として、当校の生徒が当初、母国で大学を卒業したにもかかわらず、高卒の学歴を以て留学ビザを申請しました。ところが、生徒は留学ビザで来日した後、日本の企業に内定されました。入社のため、生徒は大卒者として改めて「技術・人文・国際業務」ビザを申請しました。

結果として、前回の申請に際して申告した学歴と相違があるという理由で、今回の申請が許可されませんでした。

3.就労ビザ申請が不許可になってしまった場合の対処法

本章では、就労ビザ申請が不許可になってしまった場合の対処法をご紹介します。対処法は、大きくいえば以下の二つのステップがあります。

  • 入管にて原因などを聞き
  • 再申請が可能であれば再申請する

以下、詳述します。

STEP
入管にて原因などを聞く

入管から就労ビザ申請不許可のお知らせが来れば、まず入管に行き、不許可になる原因や、再申請が可能であるかどうかを明らかにすべきです。今回不許可の原因をクリアすると、再度申請すれば許可される可能性があるからです。

聞き取りのポイントは以下の3点です。

  • 今回の不許可の詳しい原因
  • 再申請が可能であるかどうか
  • 再申請が可能であれば、書類作成の際に改善すべき部分や追加すべき資料(但し、入管は必ずしも詳しく教えてくれません。このような場合、必要最大限の資料を準備しましょう)

また、聞き取りが終わった後、直ちに入管からの回答及び聞き取りの日時、担当者の氏名をメモしておいたほうがよいです。外国人自身が十分にポイントを押さえて聞き取ることができない場合、企業の担当者や行政書士・弁護士に同行してもらったほうがよいです。

STEP
再申請が可能であれば再申請する

入管から再申請可能の回答を得ましたら、入管のアドバイスをふまえて再申請しましょう。再申請の際、必須書類でなくても、以前の不許可の経歴及び今回の申請の改善点について、説明書を作成して提出することをお勧めします。

また、再申請の準備に時間がかかる一方、残された在留期間が短い場合、外国人は日本の専門学校や大学の卒業生、あるいは海外の大学の学歴をもちながら日本の日本語学校からも卒業したものであれば、先に「特定活動(出国準備)」ビザを申請できます。

参考:特定活動(本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合)|出入国在留管理庁

再申請不可のケースもある

ところで、再申請自体ができない、あるいは再申請自体が可能であるものの許可の見込みがないケースがあります。たとえば以前の経歴に重大な問題があれば、同じビザを何回申請しても許可されません。

このような場合、方針を変更して取得できそうな種類のビザを改めて申請したほうがよいです。また、外国人は一旦母国に戻り、暫く経ったら日本への入国申請と合わせて、改めて就労ビザを申請するのも、とり得る方策の一つです。

4.就労ビザ申請が不許可にならないために

本章では、再申請の場合を含めて、就労ビザ申請をスムーズに許可してもらうポイントをお伝えいたします。ポイントには、以下の4つがあると思います。

  • 最終学歴・資格・現在のビザや仕事内容と合わせてビザを申請すること
  • 申請書類の内容と以前ビザ申請時のそれとは整合的であること
  • 経歴に問題がある場合、説明書・謝罪文を提出すること
  • 企業の労働条件の適正を確保すること
  • 入管からの指示に丁寧に対応すること

以下、企業の担当者に注意していただきたいこと、及び担当者が外国人をサポートできることに焦点を合わせて、ポイントのそれぞれについてご解説します。

4-1.最終学歴・資格・現在のビザや仕事内容と合わせてビザを申請すること

一口に就労ビザといっても、就労ビザには16種類もあります(既述)。そのため、外国人の最終学歴・所持の資格・現在のビザ及び従事予定の仕事内容と合わせて、種類を選び、就労ビザを申請することは重要です。どの種類の就労ビザを申請すべきかが分からなければ、入管や行政書士・弁護士にアドバイスを求めるべきです。

外国人は必ずしもビザのルールを十分に理解していません。その際、企業の担当者が積極的に外国人に申請すべき就労ビザを助言し、あるいはビザ申請に詳しい行政書士・弁護士を紹介してあげたほうがよいです。

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4-2.申請書類の内容と以前ビザ申請時のそれとは整合的であること

外国人が以前ビザを申請したことがあれば、就労ビザ申請書類の内容と、以前ビザ申請時の書類の内容とは整合的でなければなりません。たとえば前回申請時に申告した経歴と、今回申請の書類に記載した経歴は、一致しなければなりません。

そのため、以前のビザ申請書類を参照しながら、就労ビザ申請の書類を作成することをお勧めします。以前の書類が紛失されれば、入管にて情報開示を請求したほうがよいかもしれません。

4-3.経歴に問題がある場合、説明書・謝罪文を提出すること

外国人の経歴に問題がある場合、説明書・謝罪文を申請書類の一つとして提出すれば、許可の確率が高められます。説明書・謝罪文には、以下の内容が必要です。また、全文自筆をお勧めします。

  • 問題がある経歴の詳細、その原因
  • 経歴に問題があることに対するお詫び
  • 二度と同じようなことをしないという誓約

企業の担当者として、まず、内定の段階で外国人の経歴に問題があるかどうかを確実に確認することが必要です。また、経歴に問題があることが判明すれば、外国人に、就労ビザ申請の際に説明書・謝罪文を提出すべきことを助言する必要があります。

4-4.企業の労働条件の適正を確保すること

企業の労働条件の適正を確保することも、就労ビザ申請の許可の要件です。外国人社員も日本人と同じく労働基準法に適用されていますので、企業は、労働基準法を守って労働条件を決定する必要があります

また、入管から労働条件修正の指示がありましたら、企業は積極的にそれを受け入れ、対応していただければと思います。

4-5.入管からの指示に丁寧に対応すること

最後に、入管から書類修正や追加資料提出の指示がある場合、それに丁寧に対応すれば、就労ビザ申請許可の可能性が高くなります。逆にいえば、入管の指示を放置すれば、申請はおそらく不許可になります。

入管の指示に対応できない場合、事前に入管と連絡すれば、締切の延長や代わりの資料の指示をいただけます。指示は対応しにくいものであっても、諦めずに解決策を探しましょう。

企業の担当者は、外国人の就労ビザ申請の審査が異常に長くなる場合、入管からの指示の有無を外国人に確認し、外国人に入管の指示の対応を催促していただければと思います。

5.就労ビザ更新も不許可になる場合がある

ところが、せっかく就労ビザを取得しても、ビザに在留期間という有効期限がついています。期限が切れるまで、就労ビザを更新する必要がありますが、この更新申請(在留期間更新申請)も、不許可になる場合があります。

本記事は最後のところに、就労ビザ更新が不許可になる原因、及び更新不許可の場合の再申請についてご説明します。

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5-1.就労ビザ更新が不許可になる原因

就労ビザ更新が不許可になる原因は、ビザ申請不許可の原因とほぼ同じです。

但し、就労ビザ取得以降の外国人の経歴が特に重視されます。経歴に問題があれば、更新が不許可になる可能性が高いです。出入国在留管理庁のホームページでは、次のような事例が掲載されています。

「在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を受け、以後3回在留期間更新許可を受けて在留していたところ、児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制および処罰並びに児童の保護等に関する法律違反により罰金50万円に処せられた。
同人から、引き続き、プログラム作成業務に従事するとして在留期間更新許可申請がなされたが、在留状況に問題があるとして、在留期間の更新が認められなかった」。

参考:在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について|出入国在留管理庁

当校が経験した、次のような事例もあります。

外国人は「技術・人文・国際業務」のビザを取得できましたが、入社後、主にホールのお掃除などの単純労働に従事することとなってしまいました。また、ビザ更新申請のとき、このような業務内容を素直に申請書類に記載しました。その結果、ビザ更新が不許可になり、外国人は帰国をせざるを得ませんでした。

5-2.不許可になっても再申請は可能

更新の不許可も再申請が可能です。また、不許可になってしまった場合の対処法は、就労ビザ申請の不許可の際のそれと同じです。

だが、ここで一つ注意すべきことがあります。再申請の場合、審査は初回の申請よりも厳しくなり、長く時間がかかります。一方、ビザ期限がきれると、たとえ再申請がまだ審査中であっても、外国人は日本から出なければなりません。

以上の事態を防ぐために、最初から余裕をもって就労ビザ更新の書類を入管に提出したほうがよいと思われます。書類はビザ期限の3か月前から提出できますが、少なくとも期限の1か月前に、書類を入管に提出することをお勧めします。

6.まとめ

以上、就労ビザが不許可になった原因と対処法をご説明しました。まとめると、

  • 外国人の経歴に問題がある、などの原因で、就労ビザ申請及びその更新が不許可になる可能性があります
  • 事前に確実に準備し、必須書類だけでなく、プラスαの資料も提出すれば、ビザ申請の許可の確率が高められます
  • 不許可になっても再申請が可能です。また、当初の問題をクリアできれば、再申請が許可される可能性があります

就労ビザ申請が不許可になれば企業にとっても損しかありません。また、申請の書類の準備には、企業の協力が必要です。企業の担当者も就労ビザ申請に関する知識を勉強し、外国人のビザ申請を積極的にサポートしていただければと思います。

また弊社では特定技能、技術・人文知識・国際業務外国人の人材紹介とその支援を行っております。何かご不明点、お困りのことなどございましたらお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)のビザ担当

中国・北京出身、2012年来日。法学・政治学の大学院を修了した後で教師に就職し、高度人材として永住権も取得。10年間日本で生活・仕事してきた経験から「日本で努力している外国人を助けたい」と強く希望し、教育業界から転職し、株式会社JJSに入社。現在、法学の専門知識を生かして外国人のビザ申請・更新をサポート。

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