【最新情報】特定技能に木材産業が新しく追加|職種や企業の要件をわかりやすく解説

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

これまで特定技能で受入れが可能な「特定産業分野」は12分野ありましたが、2024年3月、新たに木材産業など4分野が特定産業分野に追加されることになりました。

木材産業もまた慢性的な人手不足が指摘されており、特定技能外国人を活用して人手不足を解消したい経営者もしくは人事担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では木材産業で特定技能外国人を雇用するケースを中心に、受入れまでの流れや注意点などをご紹介します。

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目次

1.特定技能「木材産業」とは?

まずご紹介するのは特定技能「木材産業」に関する基本的な情報についてです。

1-1.特定技能「木材産業」外国人が従事できる業務

特定技能「木材産業」の資格で外国人が従事できる業務には、「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」があります。

しかし、「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」だけでなく、業務区分に関連した業務を付随的に担うことも差し支えないというルールが設けられています。例えば、特定技能外国人が、原材料の運搬や受け入れ、検査にかかわる作業や清掃などの仕事に従事することも可能です。

1-2.受け入れ見込み数

特定技能に木材産業が追加されることを受け、内閣府は受入れの目標値として令和6年度から5年間でおよそ5,000人の特定技能外国人を活用していくことを明らかにしています

令和10年度には57,000人程度の人手不足が想定され、生産性を高めても44,000人が不足し、国内人材をフルに活用しても5,000人程度不足するとされ、この人数が受入れ上限として設定されました。

平成22年の就業者数は123,000人で、令和2年になると103,000人とわずか10年で20,000人ほど減っており、有効求人倍率も令和4年時は2.80倍と高止まりしています。
※:法務省「木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

一方、賃金に目を向けると、他の産業よりも年間の平均所得が低く、30代以降の上昇度もあまり高くありません。しかも労働災害の割合が他の産業より多いなど、日本の若者が木材産業を回避する動きにつながっています。特定技能外国人を活用することで、人手不足感を補っていくことが期待されているのです。

2.そもそも特定技能とは?

特定技能は、人材不足に陥っている産業において外国人を活用して補っていくために作られた在留資格の1つです。これまでは技能実習生として雇用を確保してきましたが、特定技能では正社員として雇用することになっています。

特定技能の資格を得ると自動的に1号として扱われ、通算5年を修了すると特定技能2号に移行できます。仮に特定技能2号で一定の年数を働けば、日本での永住権を獲得できるチャンスです。特定技能「木材産業」に関しては現状1号のみですが、今後2号の追加も十分考えられます。

特定技能についてさらに知りたい方
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3.受け入れる企業の要件

企業側が特定技能外国人を受け入れるには、企業側が要件を満たす必要があります。一番の要件は「木材産業特定技能協議会」に入って、構成員となることです。木材産業特定技能協議会は農林水産省が設置する協議会で、加入してからは木材産業特定技能協議会の活動への協力が求められます。

また、特定技能外国人を受け入れる際には、登録支援機関に委託するなどの対応も必要です。現状、協議会の設置を含め、加入する方法なども検討中の段階となっています。本格的に動き出すのは、協議会が設置されてからと言えるでしょう。

参考:木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

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4.外国人側の要件

次に、特定技能「木材産業」で働きたい外国人側が満たしていくべき要件についてです。実際に特定技能外国人として働くための要件をまとめました。

4-1.2つの試験に合格する

特定技能「木材産業」で働くためには2つの試験に合格する必要があります。

技能試験

特定技能「木材産業」に限らず、特定技能外国人は「技能評価試験」を合格する必要があります。そのため、木材産業で働きたい場合にはそれに関連した技能試験をクリアしなければなりません。

特定技能「木材産業」の技能試験は「木材産業特定技能1号測定試験」が対象となりますが、どの国で行われるかなどの詳細はこれから詰めていくことになります。

ちなみに「木材産業特定技能1号測定試験」をパスしなくても、木材産業において第2号技能実習を修了した実習生に関しては特定技能に必要な技能を満たしたと扱われます。

日本語試験

日本語試験では「国際交流基金日本語基礎テスト」もしくは「日本語能力試験」において一定レベルの日本語能力を示すことが求められます。日本語能力試験ではN4レベルをクリアすればOKです。

この場合の、日本語能力試験におけるN4レベルは、基本的な日本語が分かるレベルとされています。少しゆっくりとした会話であれば、日常レベルの会話だと理解できるような状態です。N4レベルをクリアしたからといって、ビジネスの場面で日本人と同等にやり取りが確実にできるわけではありません。

そのため、特定技能外国人として雇用してから日本語教育対策が必要です。例えば、日本語の習熟度を高めるトレーニングを実施することや従業員が特定技能外国人に配慮しながらコミュニケーションをとっていくなどが挙げられます。

↓特定技能外国人への日本語支援に関してはこちらの記事をご覧ください↓

日本語試験に関しても、第2号技能実習を修了した実習生に関しては日本語能力を満たしていると判断されるため、日本語試験が免除されます。

5.特定技能外国人受け入れまでの流れ

実際に特定技能外国人を企業側が受け入れるまでにはいくつかのプロセスを経ていく必要があります。以下が受け入れまでの流れです。

STEP
特定技能外国人雇用の事前準備をする

特定技能外国人を受け入れるための環境整備を事前に行っておく必要があります。具体的には、特定技能外国人に支払う給与や支給時期、手当や福利厚生などが挙げられ、特定技能外国人にしっかりと示す必要があるでしょう。

また、特定技能外国人の負担軽減に向けた事前準備も必要で、日本語教育やコミュニケーションの取り方、日本人スタッフへの外国人理解などをしておくとスムーズな受け入れにつながりやすいです。これらの事前準備に関して、自分の会社で支援を行うのか、それとも登録支援機関に委託するのかも決めておくことが求められます。

STEP
募集をかける

特定技能外国人を初めて採用していく場合には、いくつかのルートで募集をかけていきます。一般的には求人サイトで求人募集をかける、ハローワークを利用するなどの方法が挙げられますが、特定技能外国人の募集では、現地の機関や人材紹介会社の活用がおすすめです。

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STEP
面接の実施

特定技能外国人を採用する際には、日本人を採用するのと同じように面接を実施します。特定技能外国人を採用する際の面接における質問も基本的に日本人のケースと大差がありません。

他にも外国人を送り出す現地の機関で働くスタッフの同席や通訳の存在なども検討していく必要があるため、事前に対応を検討していくことが大切です。

外国人の採用面接では何を聞けばいいかわからない方が多いです
▶「外国人採用面接質問シート」をご活用ください

STEP
雇用契約の締結

面接を行って、雇用しても問題ないと判断すれば雇用契約の締結を行います。特定技能外国人との契約は「特定技能雇用契約」と呼ばれ、雇用契約書を作成していきます。

ちなみに、特定技能外国人とかわす雇用契約書は外国人の母国語などで記すのが確実です。雇用契約書の中身をしっかりとチェックしてもらった上でサインする必要があるためで、母国語ないしは英語で作られた契約書が欠かせません。

また雇用契約書には、日本人と交わす一般的な雇用契約書の内容とは別に、待遇面や外国人が一時帰国をする際に有給休暇の扱いをどうするかなどの要素も記載する必要があります。記載すべき内容が多いため、漏れがないようにすることも大事です。

STEP
在留資格の申請を行う(認定・変更)

雇用契約書を交わしたら、いよいよ在留資格の申請を行っていきます。

前のビザが技能実習生や留学の場合は、「在留資格変更証明書交付申請」を行い、海外にいてまだ日本の在留資格を持っていないという外国人は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

特定技能「木材産業」に関してはまだ必要書類などの詳細が決まっていないため、これから細部が詰められていく形です。一方、特定の国籍を持つ外国人に関しては入国前に「結核スクリーニング」を受けて、結核非発病証明書の提出も用意することも必要です。

↓ビザ申請に関してはこちらの記事で解説しています↓

6.注意点

最後に、特定技能「木材産業」で働く外国人を雇用する際の注意点をまとめました。

6-1.直接雇用のみ

特定技能外国人を確保する際には、直接雇用を行うことが原則です。そのため、特定技能外国人はフルタイムで働くことだけが認められ、社会保険なども日本人の従業員たちと同等でなければなりません。

農業と漁業に関しては派遣も認められていますが、現状では木材産業分野が認められるかどうか定まっていません。原則は直接雇用のみと考えた方がいいでしょう。

6-2.給与は日本人と同等かそれ以上

特定技能外国人を雇用する際の給与は、日本人と同等もしくはそれ以上であることが求められます。この場合の「日本人」とは技術や職種などが外国人と変わらない日本人を指し、同じ技術かつ同じ経験年数であれば本来は同じ給与になります。

給与の設定において、意味もなく日本人と差をつけないよう、ルールが定められているのです。この方針は給与の他、ボーナスの支払い、昇給制度などにも当てはまります。一方で、社内に同じような技術・経験年数を持つ従業員がいないケースもあるでしょう。その場合は別の会社で働く特定技能外国人との比較で決めていきます。

実際に給与を決めて特定技能外国人に伝える際には、なぜこの給与なのかという外国人からの質問に、根拠を示せるようにすることが重要です。確かな根拠を示すことで日本人と同等もしくはそれ以上の給与であることを証明できます。

↓外国人の給与に関してはこちらの記事で解説しています↓

7.まとめ

特定技能外国人の数は全体的に増加傾向にあり、既に技能実習を修了した外国人を中心に、積極的に採用したい企業は多いと言えます。

今回ご紹介した内容を踏まえて、特定技能「木材産業」で働きたい外国人を積極的に採用し、いち早く人手不足の状態を脱して、安定した経営を目指しましょう。

弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

株式会社JJS(JapanJobSchool)の代表

主に「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」を対象とした人材紹介と支援を行っており、年間300名以上の卒業生を輩出しています。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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