【特定技能 介護 事例】受け入れる職員の勉強会から始めた介護医療院|東京多摩病院に聞く、迎える準備と夜勤までのステップ

外国人スタッフを迎えるとき、本人への教育と同じくらい悩むのが「教える側の日本人職員をどう準備するか」ではないでしょうか。「現場が不安がっている」「教える人によって言うことが違う」「いつから夜勤を任せてよいか分からない」という声は、多くの施設で聞かれます。
東京都狛江市の介護医療院 東京多摩病院では、ミャンマー出身の特定技能スタッフ4名が働いています。事務長と介護長に伺った取り組みの要点は、次の3つです。
- 受け入れる前に、まず日本人職員が学んだ(都の研修、パンフレット、外部の勉強会)
- 教える人を絞り、チェック表で「見学→見守り→一人で」の進み具合を誰でも分かる形にした
- 早番・遅番・夜勤をそれぞれリーダーと2回ずつ組み、面談をはさんでから夜勤を任せる
今回のインタビュー:介護医療院 東京多摩病院
| 法人・施設 | 医療法人社団豊徳会 介護医療院 東京多摩病院(東京都狛江市) |
| 施設の種類・規模 | 介護医療院(2021年10月に療養病床から転換)、136床 |
| 外国人スタッフ | ミャンマー出身の特定技能スタッフ4名 ※2026年10月時点 |
| Japan Job Schoolの関わり | 人材紹介、登録支援機関としての支援 |
| お話を伺った方 | 理事・事務長/介護長 |
東京多摩病院は1953年に長期療養型の病院として創立し、2021年に介護医療院へ転換しました。介護職は看護師と連携しながら、病棟でケアにあたっています。
介護医療院も、特定技能「介護」で外国人を受け入れられる施設に含まれます。受け入れ可能な施設の種類は「特定技能「介護」の受け入れ可能な施設種別」で解説しています。
1.若い世代を迎えるため、特定技能の採用を始めた
年齢構成の偏りを変えたい
日本人の若い人は、なかなか来てくれません。でも、それでは組織としていびつです。若い人を入れたいと考えたとき、特定技能なら問題ないと思いました(事務長)
Japan Job Schoolから紹介を受けた最初の2人に会い、「この2人が来てくれるのはすごくいい」と感じたことが受け入れの始まりでした。
面接では人柄と体調を確かめる
海外に住む候補者とは、オンラインで面接をしています。事務長は「自分の部屋から参加するので、部屋の様子からもどんな人か、なんとなく分かる」と、オンラインならではの見方を挙げます。
介護長がまず見るのは、ハキハキと、明るく笑顔で話せるか。そして必ず聞くのが体調です。
腰や肩に痛いところはないか、通院していないか、薬を飲んでいないか。体調面は必ず確認しています(介護長)
2.受け入れる前に、まず日本人職員が学んだ
きっかけは「準備なしで受け入れていいのか」という現場の声
東京多摩病院では以前から、家族と日本で暮らす海外出身の職員が働いていました。特別に意識せず接してきましたが、あるとき、注意したときの受け止め方の違いから、指導役の職員が「どう接したらいいか分からない」と悩んでしまったことがあります。
これから海外の人がたくさん入ってくるのに、何の土台も準備もないまま受け入れていいのか、という声がスタッフから出たんです。(介護長)
ここから、受け入れる側の学びが始まりました。
都の指導担当者向け研修をリーダー・副リーダーと共有
介護長がまず活用したのは、東京都の「外国人介護従事者指導担当職員向け研修」です。Web上の動画を視聴する形式で、病棟のリーダー・副リーダーに視聴用の情報を共有して各自で見てもらい、忙しくて見られない職員には資料を印刷して渡しました。
学んだのは、特定技能とはどんな制度か、在留資格によって働き方がどう違うか、日本語能力試験のN1〜N3がそれぞれどのくらいの力を表すのか、といった基本です。「特定技能もビザも、最初は何を言われているのか全然分からなかった」と介護長は振り返ります。
都内の施設であれば、今年度の配信期間や申込方法を東京都福祉保健財団の案内ページで確認できます。
一般の職員には「やさしい日本語・短い指示」のパンフレット
リーダー層での共有だけでは、毎日現場に立つ職員全員にまでは届きません。そこで分かりやすいパンフレットを作り、「やさしい言葉で」「指示は短く」と、話し方のポイントを伝えました。
謝り方や自分の伝え方が日本人と違っても、それは何も分かっていないとか、ごまかしているということではない。そこを知ってほしかったんです。(介護長)
Japan Job Schoolの勉強会で、接し方が変わった
さらに介護長は、Japan Job Schoolに職員向けの勉強会を依頼しました。
私がみんなにこうだよと言うより、たくさんの外国人を紹介して、受け入れ先の困りごとも聞いている人に話してもらう方が、スムーズに受け入れられると思ったんです。(介護長)
勉強会では、ミャンマーの事情や、スタッフが日本に来る背景を紹介しました。参加した職員からは「家族のために日本に働きに来てくれていると知って感動した」「接し方が変わった」という感想が寄せられています。

受け入れ前に職員と共有できる資料をお探しの方は、特定技能「介護」の受け入れをまとめた「特定技能介護 受け入れ完全ガイド」もご活用ください。
3.教える人を絞り、できたことを誰でも見える形に
指導はリーダー・副リーダーと決まった2人だけ
介護の現場には「絶対にこう」という答えがなくて、いろいろな人に聞くと、いろいろな答えが返ってくるんです。(介護長)
新人を迷わせないよう、指導はその日のリーダー・副リーダーが担当し、2人がいない日に教える職員も2人に決めています。
チェック表で「見学→見守り→一人で」を週単位に
育成には、業務ごとに目標の週を決めたチェック表を使っています。1週目に病院の決まりと病棟の1日の流れ、1か月で利用者の特徴をつかむことが目安です。
たとえばおむつ交換は、1週目に見学、2週目に見守りを受けながら実施、3週目に一人で。車いすへの移乗は、1週目に見学、3週目に見守り、4週目に一人で、と段階を踏みます。記入のルールは「説明した日と実際に行った日を書き、大丈夫と確信したら日付を○で囲む」です。

毎日の指導記録にリーダーがコメントする
指導した日は、その日の指導者が記録を書き、リーダーが確認して赤字でコメントを返します。病棟共通の利用者名簿にも、おむつ交換を担当した日付を書き込むことで、「今日はこの方のケアを経験してもらおう」と誰が見ても判断できるようにしています。

教え方の違いが、マニュアルを見直すきっかけに
介護の現場には、おむつを捨てる際、右から丸めるか左から丸めるかといった、細かな「作法」が受け継がれていることがあります。介護長は指導役の職員に、押さえるべきポイントを伝えればよく、細部まで指摘しすぎなくて大丈夫だと伝えました。
「新人さんに教えるとき、なんでみんな教え方が違うの?」というところを、みんなで検討しました。マニュアルの曖昧な部分の見直しにもつながって、だいぶ意識は変わったと思います。(介護長)
今では現場で「外国人だから」という言い方をすることも減りました。休憩中に母国語で話していることに意見が出たときも、介護長は「休憩中なのだから、楽しく過ごしていい」と伝えています。
4.夜勤は、早番・遅番・夜勤をリーダーと2回ずつ組んでから
夜勤に入る目安は「利用者の理解・おむつ交換・看護師との連携」
日勤で病棟の1日の流れと雰囲気を覚えたら、早番、遅番、夜勤の順に入ります。どの勤務も、最初はリーダーと組んで2回ずつ経験します。
夜勤に入る時期は決めていません。目安は、利用者のことをよく分かっていること、おむつ交換ができること、看護師とコミュニケーションが取れることです。
夜勤は2人、3人だけの病棟になります。困ったときにきちんと伝えられるか、相談できるかが大事。最初のうちは「これでいいですか」と確認することも必要だと思います。(介護長)
介護医療院では、看護師との連携が欠かせません。病棟の介護職リーダーの業務説明には「ナースリーダーとの連携(報告・連絡・相談)」「入職順に関係なく、病棟スタッフ同士で声掛け・協力」が掲げられ、新しく入った職員は初めての遅番の前にリーダー業務の指導を受けます。

1・2・3か月と夜勤前に面談し、支援機関の面談にも同席
国籍に関係なく、新人には入職1・2・3か月で面談を行い、夜勤に入る前にもう一度面談します。「今までやってきたようにやれば大丈夫」と伝え、不安を取り除いてから夜勤に送り出します。
登録支援機関であるJapan Job Schoolの定期面談にも、介護長が同席してメモを取っています。その内容をその日にいないリーダーへ共有し、後から見返して成長を振り返るのにも使っています。

面接や日々のコミュニケーションで気をつけたい点は「介護で外国人採用|在留資格別メリット比較と採用のポイント、定着のコツ」で、日本人職員向けの研修に取り組んだ特養の事例は「八潮いこいの里様のインタビュー」でも紹介しています。
5.休暇も資格支援も、日本人と同じ仕組みで
休暇は勤務表のルールで早めに相談
休暇の決まりは、日本人職員と同じです。勤務表の希望は前月5日まで(約1か月前)に出し、希望休は月2か所まで。長い休みは他の職員と重ならないよう調整が必要なため、分かった時点で早めに伝えてもらいます。
職員本人の結婚には1週間の休暇があり、帰国を伴う場合は事情を踏まえて話し合って決めます。「外国人だからどうこう」ではなく、個別の事情ですから。(事務長)
編集部注:特定技能の一時帰国と休暇
特定技能の雇用契約では、本人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることが基準の一つになっています(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 第1条)。有給休暇の日数や申し出の時期を採用時に説明しておくと、本人と現場の双方が計画を立てやすくなります。
受験料の一部を補助。手続きは先輩が後輩に教えている
介護福祉士になって、長く日本で働いてもらいたい。そうでないと、せっかく来てもらった意味がありません。(事務長)
介護福祉士の受験料は病院が一部を補助し、試験の勉強はJapan Job Schoolの講座で進めています。合格後に「何年働くこと」といった条件は設けていません。
心強いのは、最初に入職したスタッフの存在です。後輩の実務者研修や介護福祉士試験の申し込み、ハローワークでの手続きまで教えてくれており、介護長が声をかける前に「もうやりました」と返ってくることも多いそうです。
6.これからは病棟や勉強会のリーダーを担ってほしい
介護長は、遠くから来たスタッフが孤立しないよう食事に誘うなど気にかけてきました。いまリーダーたちと話し合っているのは、職員の年齢や体力の差を踏まえ、日本人か外国人かに関係なく無理なく働ける役割の分け方です。
介護長が期待するのは、外国人スタッフがリーダーとして周りを引っ張っていく姿です。
病棟のリーダーや勉強会のリーダーをやってもらえたらいいなと思います。認知症の資格を取って研修に行ったり、最終的にはケアマネに挑戦したり。海外の方が頑張れば、日本の方も頑張ると思うんです。(介護長)
事務長も、役割を国籍で分けるつもりはありません。
外国人だからこうしろ、というのは何もありません。できることを広げてほしいのは、日本人もミャンマー人も一緒です。若い人に来てもらえないなら特定技能の人に頼ることは十分あり得るので、いい人がいれば採用を続けたいと思います。(事務長)
7.受け入れる側から準備するためのポイント
東京多摩病院の取り組みから、外国人スタッフを迎える前後に施設側で準備できることをまとめました。
| 受け入れ側の学び | 現場の不安を聞き、まずリーダー層が研修で制度と指導のポイントを学ぶ |
| 全職員への共有 | 「やさしい言葉」「短い指示」など、話し方のポイントを短い資料にまとめて配る |
| 指導担当 | 教える人を絞り、不在の日の担当も決めておく |
| 到達の見える化 | 業務ごとに目標の週を決め、「見学→見守り→一人で」の進み具合を表に残す |
| 夜勤まで | 各勤務をリーダーと組んで経験し、夜勤前に面談をはさむ |
外国人スタッフの受け入れをきっかけに教える側が学び、施設全体の教え方を見直したことが、東京多摩病院の育成の土台になっています。
外国人介護スタッフの採用・定着のご相談
Japan Job Schoolは、東京多摩病院様に特定技能の外国人スタッフをご紹介し、入社後は登録支援機関として定期面談などの支援も担当しています。
外国人スタッフの採用をお考えの施設様、受け入れる職員の準備や育成の進め方にお悩みの施設様は、お気軽にご相談ください。

