【7月更新】外国人労働者が働きやすい環境を作る3ステップを紹介 具体的な問題点と改善策も併せて解説
外国人採用を考えている企業の採用ご担当者の中には、「外国人従業員が定着するような労働環境はどのように作ればいいのだろう?」「外国人従業員を雇用するときに気を付けなければならない点は何だろう?」といった疑問を持っている人もいるかと思います。
この記事では、外国人労働者が働きやすく、定着しやすくなるような環境の作り方を3ステップで解説します。
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1.外国人労働者の受け入れ状況
外国人労働者は近年増え続けており、2023年10月には204万人に達しています。2022年10月に比べて20万人も増加しました。
特に2019年から始まった「特定技能」は人手不足が深刻な業種で外国人を雇用できる在留資格で、こちらも受け入れ人数は増加しています。
2023年12月には20万人を超え、特定技能2号で受け入れられる業種も広がっていることから、今後も受け入れ人数が増加していくでしょう。
一方で、外国人従業員の労働環境に関する問題も顕在化しています。
- 長時間労働
- 賃金の未払い
- 使用する機器の安全衛生管理の不十分さ
- 労働条件を明示していない など
外国人従業員を雇用して発展を図りたい会社にとっては、外国人労働者に適切な労働環境を提供することが、必要不可欠となっています。
2.外国人労働者における問題点と改善策
ここでは外国人労働者における問題の中でも特に大きな3つを紹介し、その改善策を示します。
劣悪な労働環境
低賃金・賃金未払い
コミュニケーションが不安
それぞれ詳しく解説します。
2-1.劣悪な労働環境
劣悪な労働環境と言っても様々な問題がありますが、具体的には「長時間労働」「労働災害」などが挙げられます。
労働基準法によって労働者の労働時間は定められており、これはもちろん外国人従業員にも適用されます。
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない。
しかし、外国人従業員は日本の労働基準法を知らない場合が多く、1日に休憩なしに12時間働かせられることや、休日出勤を強制されることがあります。
また、外国人従業員の労働災害は日本人従業員に比べて多いです。
大型機械を扱う建設業・製造業はもちろん、他の業種でも転倒や夏の時期は熱中症などの労働災害が発生しています。
外国人従業員の労働災害ももちろん、企業側が負うべき責任は少なくありません。外国人従業員に対する適切な安全衛生教育が求められます。
📍外国人の労働災害についてはこちらの記事も参考にしてください。 https://corp-japanjobschool.com/divership/industrial-accident |
外国人労働者に対する待遇を平等に
外国人従業員を雇用したときには、同ポジションの日本人従業員と同等の給料が必要となります。また、最低賃金を下回ることもできません。
また、雇用保険をはじめとした他の労働条件についても、外国人であるということを理由に日本人従業員と差別することは法律上認められていません。
〈労働基準法 第三条〉
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
不平等な待遇をされたときに外国人従業員本人が気付けるように、外国人従業員にも日本の労働基準法や、雇用契約内容について母語で説明するといいでしょう。
日本の法律や雇用契約内容を知らずに搾取されてしまう外国人従業員も少なくありません。
また、労働災害を防ぐために、同時に安全衛生教育も行うと、外国人従業員にとって働きやすい職場環境に近づいていきます。
2-2.低賃金・未払い
雇用契約書の書面上では最低賃金を守っていても、実際の手取りがかなりの低水準であることや、賃金が支払われないといった事例も数多く起きてしまっています。
特に雇用契約書に書かれている賃金と実際の賃金が異なると、外国人従業員が会社への不信感を抱く原因になることが多いです。
手取りが明確にわかる求人票を提示する
給与について、会社側と外国人従業員ですれ違いが起きないように、求人票には実際の手取りがいくらになるか書くといいでしょう。
控除額は人によって異なるため、確実な手取り額を表示するのは難しいですが、月収(または年収)がいくらで、そこからおよそいくらの控除が引かれて、実際の手取りがいくらになるのかを分かりやすく求人票に書く必要があります。
2-3.コミュニケーションが不安
企業が外国人従業員とのコミュニケーションが不安に感じる理由は大きく2つあります。
外国人従業員の日本語能力が十分でなく、意思疎通が十分に図れない
日本の独自の働き方・会社の雰囲気に合うか分からない
外国人従業員は日本語を十分に理解しているが、1の外国人従業員の日本語能力に不安がある場合、採用時に日本語要件をつけるといいでしょう。
会社内での雑談や、日常会話レベルのコミュニケーションなら日本語能力試験N3以上、会社ごとの専門的な用語を覚えて会話をし、ビジネスレベルの日本語を身につけてほしいのならN2以上が必要となります。
2の日本の働き方についてですが、これは日本で働く多くの外国人従業員が最初に戸惑うポイントです。
特に以下のような点に困惑することが多いです。
- 時間に対する考え方(5分前行動、遅刻厳禁など)
- 電話は新入社員が取る
- 雑談をすることはあっても、プライベートなことには口をはさみすぎない など
外国人従業員の入社時のオリエンテーションで、日本企業の働き方・当然と考えられている習慣などを、できる限り明文化して、はっきりと外国人従業員に伝えることをおすすめします。
厳しいことだからと曖昧な表現で伝えても、外国人には理解するのが難しいことがあります。
はっきりと伝えたほうが、その後の外国人従業員のためにも、企業のためにもなるでしょう。
外国人従業員とのコミュニケーションに不安な方
『外国人労働者と良い関係を築くためのコミュニケーションマニュアル』をご参考ください。
母国語でサポートできる支援体制を整える
そして、外国人従業員が働きやすい環境を作るためには、外国人従業員が働いている企業について気軽に相談できる場が必要です。
そこで、外国人従業員が母国語で相談できる支援体制を整えることをお勧めします。
一人でも外国人従業員の母語がわかるスタッフがいれば、日本人とのコミュニケーションに困った時にすぐに相談できるため、外国人従業員が抱える不安もかなり減らすことができます。
外国人従業員の支援体制でお困りのことがあればぜひJapanJobSchoolにご相談ください。
外国人採用に特化した多国籍のスタッフがご対応いたします。
3.働きやすい労働環境を作る3ステップ
ここからは、「2.外国人労働者における問題点と改善策」を踏まえて、外国人労働者が働きやすい労働環境の作り方を3ステップで解説していきます。
3-1.募集方法や採用までの流れを明確にする
日本で仕事を探している外国人は、勤務開始日や、応募から勤務開始までの流れが明確になってほしいと思っています。
採用後に研修がある場合、その日程や、研修後にいつから勤務開始になるのか伝えなければなりません。研修などで勤務開始が遅くなることで、トラブルの原因になることもあります。
また、採用後に外国人側が一時帰国することも考えられます。
面接時には、企業側はいつから働いてもらいたいと思っていて、外国人側がいつから勤務が可能なのかすり合わせをしておきましょう。
3-2.社内制度の整備
外国人従業員を受け入れる社内制度を整備し、日本人従業員にも異文化への理解を促しておくといいでしょう。
具体的には以下のようなことが挙げられます。
- 外国人従業員を母国語で支援する体制
- 日本人従業員に対する、外国人従業員の文化を理解するための研修
- 日本人従業員と外国人従業員が交流できる場の設定
外国人従業員が勤務を開始したときに、日本人従業員との壁をなるべく感じることなく、困った時に質問できる先を明確にしておくことが必要です。
3-3.文化理解とコミュニケーションの促進
外国人従業員を雇用することは日本人従業員にとっても、異文化に触れる機会が多くなるということです。そのため、日本人従業員も外国人従業員の母国の「タブー=やってはいけないこと」を知っておくことは重要です。
日本人と外国人がお互いの文化でのタブーを知らないせいで、タブーにうかつに触れてしまいトラブルに発展してしまうことがよくあります。
日本企業様のための外国人理解ブックです。
外国人の国民性や特徴など雇用する際に知りたい方はぜひご覧ください。\ 外国人の理解は定着率にもつながる/
外国人従業員の入社前に、その外国人従業員の母国の文化について会社全体で理解し、受容できるような研修を行っておくことが必要でしょう。
4.外国人を採用するメリット
外国人を採用すると、外国人従業員・日本人従業員共に快適に働ける労働環境を整える必要があります。そのような労働環境を整えることは、一朝一夕でできることではありません。
しかし、労働環境を整える苦労をしてでも、外国人従業員を採用するメリットがあります。
4-1.人手不足の解消
※参考:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体番)|高齢化の状況|図1-1-2 高齢化の推移と将来推計
日本の人手不足の最大の原因は、少子高齢化による労働人口の減少です。
日本では出生率が低下し、高齢者の割合が増加しているため、労働人口は年々減っています。
2020年時点で7,600万人いた労働人口は、2030年には6,800万人まで減ると予測されました。これは、約10年で800万人もの労働力が失われることを意味します。
現状ではまだ人手不足を感じていない企業でも、今後5年10年で突然人手不足を実感する可能性が高いです。
人手不足を感じる前に外国人採用を始めることで、外国人従業員を受け入れる素地を作ることができます。
4-2.社内活性化
日本で働く外国人労働者の多くはモチベーションが高く、勤勉であることが多いです。
弊社で特定技能人材の採用を支援した企業の方から、外国人従業員についてこんな声をいただいています。
- 外国人スタッフが何事にも真面目に、一生懸命取り組んでくれている
- 指示したことを素直に取り組んでくれる
- 外国人従業員の働き方を見て、日本人従業員もいい刺激を受けている
外国人従業員の働き方を見ると、一緒に働く日本人従業員のモチベーションが上がることも多いです。
仕事について国籍関係なく話すようになれば、社内の雰囲気もより一層明るくなるでしょう。
4-3.日本人の指導力向上
外国人従業員に仕事を教えるとき、日本人従業員であれば「なんとなく」の感覚で伝わっていたことが伝わらないことが多いです。
そのため、なるべく1つ1つの作業をわかりやすく、簡単な日本語で伝えなければいけません。日本人従業員の作業に対する解像度も上がり、より効率的な方法を思いつくこともあるかもしれません。
4.企業事例
実際に弊社JJSが支援して、特定技能外国人を採用した企業の方から、外国人採用についてお声をいただいています。
ここでは特に、すべての従業員が気持ちよく働ける労働環境の整備のために何をしたか紹介します。
4-1.事例①【有限会社 松月旅館】
こちらの旅館では、ベトナム人とネパール人の従業員を1名ずつ受け入れています。
ベトナム人の方は接客、ネパール人の方はフロント業務を担当しています。
こちらの旅館が工夫している点は、外国人従業員のよかった点を直接伝えていくということです。
笑顔がすてきな従業員には「笑顔や温かさが皆すごくうれしいんだよ!」「笑顔が良いね!」と伝えて、自分の強みを伸ばせる環境を作っているとのことです。
従業員からだけでなく、お客様からのいい口コミも伝えて、外国人従業員がモチベーションを高く持ちながら仕事をできるような工夫をしているそうです。
4-2.事例②【株式会社 赤壁】
こちらの飲食店はベトナム人の従業員を1名雇用しています。
工夫した点は、外国人従業員を雇用する前に、今まで曖昧だった部分を見直してルールを定め直しましたことです。
雇用前に、就業規則などの雇用契約を入管に提出しなければならないため、それまで曖昧になっていたルールを日本人従業員で話し合いながら決めたそうです。
そのおかげで、それまで曖昧になっていたルールを再度確認できるいい機会になったということです。
5.まとめ
外国人従業員を雇用するには、日本人従業員も外国人従業員も気持ちよく働ける社内環境が必要となります。
外国人従業員の労働環境を整備することは簡単なことではありませんが、それを乗り越えて外国人従業員を雇用することで、企業としてさらに先のステップに進むことができるでしょう。初めての外国人採用で社内環境の整備に不安がある方、現状の外国人従業員の様子で何か心配に思うことがある方は、ぜひお気軽に弊社にお問い合わせください