【完全版】外国人雇用におすすめのキャリアアップ助成金とは?正社員化コースや申請書・計画書について徹底解説
事業主向けの雇用助成金として、キャリアアップ助成金があります。従業員のキャリアアップを図り助成を受けるなら、ぜひチェックしておきたい制度です。非正規労働者は助成金を利用して、資格取得や講座の受講費用に充てられるでしょう。その結果、仕事に対するモチベーションの向上や雇用の安定につながります。
この記事では、キャリアアップ助成金への理解を深めるために受け取る条件や対象になる事業主・労働者、助成金額、手続きの流れについてまとめました。助成金の申請を検討している企業さまは、ぜひ参考にしてみてください。
外国人雇用をするときはキャリアアップ助成金がお勧めです。ご質問等ございましたらお気軽にお問合せください
1.キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する助成金です。助成金を支給する背景には、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者の正社員化や処遇改善があります。 キャリアアップ助成金は、労働者1人あたりに数十万円ほど助成されます。助成金を受け取るには、事業主による申請が必要です。事業主の皆さまは、この助成金を活用して、労働者のキャリアアップを促進しましょう。
外国人を雇用するときに使えるほかの助成金に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
2.対象となる事業主(全コース共通)
労働者を雇用している事業主は、助成金の対象となる可能性があります。ただしいくつか条件があるため、確認しましょう。
助成金の対象となる事業主は、以下の条件を満たすものです。
- 展開しているのは「雇用保険適用事業所」
- 各事業所に「キャリアアップ管理者」を配置している
- 各事業所で「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長から受給資格を認定されている
- 労働条件・勤務状況・賃金支払い状況などを書類(就業規則)にまとめ、賃金の計算方法を明確にしている
- キャリアアップ計画に基づき、期間中に非正規雇用労働者のキャリアアップを図っている
【対象となる事業者の種類】
- 民間の事業者
- 公益法人
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 医療法人
- 社会福祉法人
※参考:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)|厚生労働省
3.正社員化支援の各コースについて
キャリアアップ助成金の正社員化支援は、非正規雇用労働者のキャリアアップと雇用安定を目的としています。助成されるのは「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2コースです。
3-1.正社員化コース
正社員化コースの助成金は、誰でも受け取れるわけではありません。申請に向けて、各種条件を確認しておきましょう。ここでは、以下について解説します。
- 対象となる事業主
- 対象となる労働者
- 助成金額
- 加算額
- 申請期間
- 申請書類チェックリスト
- 注意点
対象となる事業主
正社員化コース助成金の対象となるのは、条件をすべて満たす事業主です。条件は多数あるため、ここでは一部を紹介します。詳しくは、厚生労働省が公開している「キャリアアップ助成金のご案内」をご覧ください。
【有期雇用労働者・無期雇用労働者を正社員化する事業主】
- 「有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換する制度」に基づき、有期雇用者を正社員化した
- 正社員化から6か月継続して雇用し、それに応じる給与を支払った
- 助成金の支給申請日に、継続してキャリアアップ計画を運用している
- 正社員化により、以前の賃金に3%以上増額している
- 労働者本人の同意を得て、正社員化の制度を運用している
- 母子家庭・父子家庭の加算を受ける場合、正社員化の開始日に有期雇用労働者へと転換した
- 「勤務地限定正社員制度」「職務限定正社員制度」または「短時間正社員制度」の加算を受ける場合、キャリアアップ計画書の期間中に、規定を新たにして有期雇用労働として転換した
【派遣労働者を正規雇用で直接雇う事業主】
- 「派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用する制度」に基づき、正規雇用に転換した
- 派遣先の事業所で、6か月以上継続して同一の派遣労働者を受け入れていた
- 「正規雇用」として直接雇ってから、6か月経過し、転換後の賃金を支給した
- 助成金の支給申請日に、制度に該当した者を継続して雇用している
- 直接雇用後に、以前の賃金より3%以上増額している
- 正規雇用後は労働者を「雇用保険」に加入させている
対象となる労働者
正社員化コース助成金の対象となる労働者は、以下の条件を満たすものです。
- 有期雇用もしくは無期雇用の労働者
- 正社員雇用の労働契約を結んでいない有期雇用者
- 正社員化の前日から過去3年以内に、事業主と資本的・経済的・組織的関連性や密接な関係がない
- 正社員化の前日から過去3年以内に、事業主と請負や委託、取締役・役員・監視役・協同組合・財団役員といった関係にない
- 適用事業所の事業主ではない、また取締役の3親等以内の親族ではない
- 支給申請日も正社員として働き、離職していない
- 支給申請日に有期雇用や無期雇用に転換を予定していない
- 正社員化から定年退職まで1年以上の期間がある
- 適用事業所において定年退職を迎えていない
- 就労継続支援A型事業所の利用者ではない
上記に加えて、以下1〜4のいずれかに該当している必要があります。
- 正規雇用者と異なる雇用区分の「就業規則」に適用し、6か月以上雇用されている有期雇用者または無期雇用者
- 6か月以上継続して「派遣先の事業所」で働いている有期派遣労働者または無期派遣労働者
- 有期実習型訓練(人材育成支援コース)を受講し修了した有期雇用労働者で、1も満たしている
- 新型コロナウイルスの影響により未経験の職業への転職を希望する者で、紹介予定派遣により2か月以上6か月未満継続して派遣先事業所で働いている有期派遣労働者または無期派遣労働者
助成金額
正社員化コースの助成金額は、企業規模や労働者の雇用形態によって違います。1人あたりの助成金額は、以下のとおりです。
ただし助成金額には、上限があります。各事業所への助成金額は、1年間で20名までです。
加算額
どのような条件でキャリアアップしたのかによって、助成金の加算が受け取れます。加算対象と加算額については、以下をご覧ください。
申請期間
正社員化コースの助成金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
- 正社員後6か月分の賃金を支払い、起算して2か月以内
- 正社員化したのはキャリアアップ計画期間内
申請期間は限られているため、必要書類を準備して、スムーズに手続きを進めましょう。
申請書類チェックリスト
正社員化コースの助成金を受給するには、事業主が必要書類を揃えて申請する必要があります。申請に必要な書類は、以下のリストを参考にしてください。
【申請書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
キャリアアップ助成金支給申請書 (様式第3号) | 記載ミス・漏れがない | |
(様式第3号・別添様式1-1) | 正社員化コース内訳記載ミス・漏れがない | |
正社員化コース対象労働者詳細 (様式第3号・別添様式1-2) | 正社員後6か月分の賃金支払日が記載されている正社員という前提なく雇用した事業主・取締役の3親等以内の者ではない正社員化から定年まで1年以上ある | |
(共通要領様式第1号) | 支給要件確認申立書 記載ミス・漏れがない ※問4~15に「いいえ」があると助成金を受け取れません | |
※未登録または振り込み口座変更の場合に限る | 支払方法・受取人住所届記載ミス・漏れがない |
【添付書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(変更届を提出している場合、当該変更届を含む) | 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画(写) 正社員化の前日までに受理されている | |
正社員化前後の就業規則または労働協約等(写) | 就業規則に労働基準監督署の受理印がある労働者代表と事業主の氏名等を記載した申立書がある※労働者10人未満の事業所転換制度について明らかにし周知済み 転換制度に基づいている 当該賃金規定等を提出している※賃金規定等を別途作成している場合「賞与または退職金の制度」と「昇給」の適用が確認できる正社員化前に「正社員と異なる就業規則・賃金計算」の適用を6か月以上受けていると確認できる有期雇用だった者は契約期間に関する規定を確認できる | |
対象労働者の正社員化前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写) | 正社員を前提として雇用していない就業時間・賃金形態等が就業規則と一致している | |
および賃金台帳3%以上増額に係る計算書 | 対象労働者の正社員化前後の賃金台帳等(写)賃金が正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額している正社員化後、社会保険料や雇用保険料の控除が確認できる | |
対象労働者の正社員化前後の出勤簿またはタイムカード等(写) | 雇用期間が条件を満たしている |
【雇用期間のチェック】
チェック | 確認すること | |
労働者の雇用期間 | 正社員化前6か月、正社員化後6か月分がある (正社員化後について勤務した日数が11日以上の月が6か月に達するまでの月分) (有期実習型訓練修了者の場合は、訓練開始日から正社員化後6か月分) (特定紹介予定派遣労働者の場合は、紹介予定派遣開始日から正社員化後6か月分) | |
定年までの期間 | 正社員化した日から定年までの期間が1年以上ある |
上記の他に、雇用した条件に応じて必要な書類があります。代理人の場合は「委任状」、中小企業なら「事業所確認表(様式第4号)」などを用意しましょう。追加で必要な書類については、厚生労働省の公開しているページにある「その他、追加で必要な書類等」の項目を参考にしてみてください。
※参考:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)|厚生労働省
注意点
通常の正社員に対して、昇給・賞与・退職金の引き上げ措置をしても、本制度の対象になりません。本制度の目的は、「非正規社員のキャリアアップ」です。目的や条件を理解し、趣旨にあった取り組みをしましょう。
また令和4年度以前の取り組みには、旧要件で取扱います。助成金の制度は、定期的に改訂があるため、変更点や新しい条件などをチェックしておくとよいでしょう。
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3-2.障害者正社員化コース
障害者正社員化コースとは、障害者の雇用を促進するとともに職場定着を図るための助成金です。対象になるのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者などです。障害者正社員化コースでは、以下の2つの措置があります。
- 有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換する
- 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する
これらの措置を実施した場合に、助成金を受けることができます。支給額については、以下をご覧ください。
※出典:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)|厚生労働省
4.処遇改善支援の各コースについて
キャリアアップ助成金の処遇改善支援は、4コースあります。主に賃金・賞与・退職金の増額や、短時間労働者の労働時間延長による処遇改善が目的です。
4-1.賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースには条件や対象となる事業主・労働者が決まっています。ここでは、以下の項目についてチェックしてみましょう。
- 受け取る条件
- 対象となる事業主
- 対象となる労働者
- 助成金額
- 加算額
- 支給申請期間
- 申請書類チェックリスト
受け取る条件
賃金規定等改定コースでは、基本給・時間外手当・通勤手当といった「賃金規定」を改定または新たに作成し、過去の賃金より3%以上増額している場合に助成対象になります。
対象となる事業主
賃金規定等改定コースの助成金を受け取れるのは、以下の事業主です。
- 有期雇用労働者等に対する賃金規定等を作成している
- 賃金を3%以上増額改定し、有期雇用者に適用させた
- 増額改定前の賃金規定等を3か月以上運用していた
- 増額改定を6か月以上継続し、対象となる労働者の諸手当を減額していない
- 支給申請日において増額改定を継続している
【加算措置】
職務評価に基づき賃金規定等改定をする場合には、有期雇用労働者等および正規雇用労働者に「職務評価」を実施している
対象となる労働者
賃金規定等改定コースの助成対象となるのは、以下の条件を満たす労働者のケースです。
- 賃金が上がった日の3か月前から働き、賃金が上がってからも雇用される有期労働者等
- 賃金増額改定前の基本給より3%以上昇給している者
- 賃金増額改定により賃金が上がった日の3か月前からから支給申請日までの間に、理由なく基本給および定額で支給されている諸手当を減額されていない者
- 賃金増額改定してから6か月間、雇用保険被保険者として働いている者
- 事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族ではない者
- 支給申請日において離職していない者
助成金額
有期雇用労働者の賃金規定等では、基本給を「3%以上増額」または「5%以上増額」改定し適用した場合に助成金が支給されます。ただし中小企業と大企業では助成金額が異なるため、以下の表を確認してみましょう。
こちらはひとりあたりの助成金額です。各事業所は、1年度で100人まで支給申請できます。
加算額
賃金規定等改定コースでは、職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合、加算の対象です。以下の表に、企業規模に応じたその加算額をまとめました。
支給申請期間
賃金規定等改定コースには、支給申請期間があります。賃金改定後6か月分の賃金を支給した日の翌日から数えて2か月以内に申請しなければなりません。また改定により時間外手当を給与とは別に翌月に支給しているなら、6か月分支給される日から起算します。
申請書類チェックリスト
賃金規定等改定コースの助成金を受給するには、必要書類を揃える必要があります。申請に必要な書類は、以下のリストを参考にしましょう。
【申請書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(様式第3号) | キャリアアップ助成金支給申請書記載ミス・漏れがない | |
(様式第3号・別添様式3) | 賃金規定等改定コース内訳記載ミス・漏れがない | |
(共通要領様式第1号) | 支給要件確認申立書※問4~15に「いいえ」があると助成金を受け取れません | 記載ミス・漏れがない|
※未登録または振り込み口座変更の場合に限る | 支払方法・受取人住所届記載ミス・漏れがない |
【添付書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(変更届を提出している場合、当該変更届を含む) | 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画(写) 賃金規定等改定の前日までに受理されている | |
または労働協約等(写) | 改定前後の就業規則就業規則に労働基準監督署の受理印がある労働者代表と事業主の氏名等を記載した申立書がある※労働者10人未満の事業所当該賃金規定等を提出している※賃金規定等を別途作成している場合改定により3%以上賃金が上がっている | |
または労働条件通知書等(写) | 改定前後の雇用契約書有期雇用労働者等である賃金の増額改定を明らかにできる | |
改定前後の賃金台帳等(写) | 改定前3か月、改定後6月分がある | |
賃金台帳等に関する確認書 | 適用から6か月分の賃金支給を、事業主がすべての労働者に確認している | |
またはタイムカード等(写) | 改定前後の出勤簿改定前3か月、改定後6月分がある |
上記の他に代理人を通す場合は「委任状」、中小企業の場合「事業所確認表」などを用意します。また職務評価を実施している事業所は、その取り組みを示す書類も提出しましょう。職務評価に関する書類の例として、「評価ごとの職務レベル定義書」「評価結果の一覧表」などが挙げられます。
※参考:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)|厚生労働省
4-2.賃金規定等共通化コース
賃金規定等改定共通化コースとは、「有期雇用者」に対して「正規雇用者」と共通の職務に応じた賃金規定を新しく作成し適用したときに助成されるケースです。またこの規定は、就業規則や労働協約の定めに従います。 1事業所あたりの助成金額は、以下のとおりです。
対象となる事業主
賃金規定等改定コースの助成金を受け取れるのは、以下のすべてに該当する事業主です。
- 就業規則または労働協約の定めるところにより、その雇用する有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに設け、賃金規定等の区分に対応した基本給等の賃金の待遇を定めている事業主
- 正規雇用労働者に係る賃金規定等を、新たに作成する有期雇用労働者等の賃金規定等と同時またはそれ以前に導入している事業主
- 当該賃金規定等の区分を有期雇用労働者等と正規雇用労働者についてそれぞれ3区分以上設け、かつ、有期雇用労働者等1人以上と他の雇用する正規雇用労働者1人以上をそれぞれ共通化した区分に格付け、その有期雇用労働者等を共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者と同等またはそれ以上の区分に格付けし、適用している事業主(※令和5年度から変更)
- 上記③の同等またはそれ以上の区分における、有期雇用労働者等の基本給など職務の内容に密接に関連して支払われる賃金の時間当たりの額を、正規雇用労働者に適用される同等の区分における時間当たりの額と同額以上とする事業主
- 当該賃金規定等が適用されるための合理的な条件を就業規則または労働協約に明示した事業主
- 当該賃金規定等をすべての有期雇用労働者等と正規雇用労働者に適用させた事業主
- 当該賃金規定等を6か月以上運用している事業主
- 当該賃金規定等の適用を受けるすべての有期雇用労働者等と正規雇用労働者について、適用前と比べて基本給および定額で支給されている諸手当を減額していない事業主
- 支給申請日において当該賃金規定等を継続して運用している事業主
対象となる労働者
賃金規定等共通化コースの助成対象となるのは、以下のすべての条件を満たす労働者のケースです。
- 就業規則または労働協約の定めるところにより、賃金に関する規定または賃金テーブル等(賃金規定等)を共通化した日の前日から起算して3か月以上前の日から共通化後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
- 共通化した区分に格付けられている正規雇用労働者以上の区分(等級)に格付けされている者
- 賃金規定等を共通化した日以降の6か月間、当該対象適用事業所において雇用保険被保険者であること
- 賃金規定等を新たに作成し、適用※5した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
- 支給申請日において離職していない者
助成金額
※1事業所に1回のみ支給されます
支給申請期間
賃金規定等共通化コースにも支給申請期間があります。対象労働者の賃金規定等共通化後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請してください。
申請書類チェックリスト
賃金規定等共通化コースの助成金を受給するには、必要書類を揃える必要があります。申請に必要な書類は、以下のリストを参考にしましょう。
【申請書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(様式第3号) | キャリアアップ助成金支給申請書記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(様式第3号・別添様式4) | 賃金規定等共通化コース内訳記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(共通要領様式第1号) | 支給要件確認申立書(問4~15について「いいえ」がある場合、助成金の支給を受けることはできません) | 記入漏れがなく、記載事項が適切か|
※未登録または振り込み口座変更の場合に限る | 支払方法・受取人住所届記入漏れがなく、記載事項が適切か |
【添付書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(変更届を提出している場合、当該変更届を含む。) | 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)賃金規定等共通化日(共通化した賃金規定等を適用した日)の前日までに受理されているか | |
共通化前後の就業規則または労働協約等(写) | ・労働者が10人未満の場合、労働者代表と事業主の氏名等を記載した申立書があるか ・賃金規定等を別途作成している場合、当該賃金規定等が提出されているか ・賃金規定等の区分について、有期雇用労働者等と正規雇用労働者についてそれぞれ3区分以上かつ同一の区分を2区分以上設け、有期雇用労働者等を正規雇用労働者と同一の区分以上に格付けし、適用しているか ・同一の区分において、有期雇用労働者等の時間当たりの賃金額が正規雇用労働者と同額以上か ・賃金テーブル等が適用されるための合理的な区分の条件が明記されているか | ・就業規則に労働基準監督署の受理印があるか |
有期雇用労働者等と正規雇用労働者が賃金規定等の適用を受けていることを証明する労働者名簿等(写) | 労働者ごとに賃金規定等の区分を示していることが確認できるか | |
共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者1人及びこの者以上の区分に格付けされている対象労働者1人の共通化前後の雇用契約書または労働条件通知書(写) | ・賃金規定等共通化前後の雇用契約、労働条件等がわかるか | ・共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者1人及びこの者以上の区分に格付けされている対象労働者1人が確認できるか|
及びこの者以上の区分に格付けされている対象労働者1人の共通化前後の賃金台帳等(写) | 共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者1人・共通化前3か月、共通化後6か月分があるか(共通化後について勤務した日数が11日以上の月が6か月に達するまでの月分) | ・共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者1人及びこの者以上の区分に格付けされている対象労働者1人が確認できるか
4-3.賞与・退職金制度導入コース
賞与・退職金制度導入コースとは、すべての有期雇用者に賞与・退職金制度を用意して、支給や積み立てを始めた場合に助成される仕組みです。この規定は、就業規則や労働協約の定めに従い実施します。
対象となる事業主
次のすべてに該当する事業主が対象です。
- 就業規則または労働協約の定めるところにより、その雇用するすべての有期雇用労働者等に関して、賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設けた事業主であること
- 対象労働者1人当たり次に掲げる(a)もしくは(b)またはその両方に該当する事業主
(a)賞与については、6か月分相当として50,000円以上支給した事業主
(b)退職金については、1か月分相当として3,000円以上を6か月分または6か月分相当として18,000円以上積立てした事業主であること - ①の制度をすべての有期雇用労働者等に適用させた事業主であること
- ①の制度を初回の賞与の支給または退職金の積立て後6か月以上運用している事業主であること
- ①の制度の適用を受けるすべての有期雇用労働者等について、適用前と比べて基本給および定額で支給されている諸手当を減額していない事業主であること
- 支給申請日において賞与もしくは退職金制度またはその両方を継続して運用している事業主であること
- ②(b)の適用を受ける場合にあっては、支給決定後に積立金等が確認できる書類を提出することに同意している事業主であること
対象となる労働者
次のすべてに該当する労働者が対象です。
- 賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設けた日(制度施行日。以下「新設日」という。)の前日から起算して3か月以上前の日から新設日以降6か月以上の期間(新設日以降について勤務をした日数が11日未満の月は除く。ただし、有給休暇等の労働対価が全額支給された日は出勤日と見なす。)継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
- 賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設け、初回の賞与支給または退職金の積立てをした日以降の6か月間、当該対象適用事業所において、雇用保険被保険者であること
- 賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設け適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
- 支給申請日において離職していない者
助成金額
1事業所に対する助成金額は、以下をご覧ください。
賞与・退職金制度導入コースの助成対象になる事業所でも、すでに「旧諸手当制度共通化コース」および「旧諸手当制度等共通化コース」に申請した場合には、支給対象外になるので注意しましょう。
支給申請期間
対象労働者に、初回の賞与の支給または退職金の積立て後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請してください。
申請書類チェックリスト
賞与・退職金制度導入コースの助成金を受給するには、必要書類を揃える必要があります。申請に必要な書類は、以下のリストを参考にしましょう。
【申請書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(様式第3号) | キャリアアップ助成金支給申請書記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(様式第3号・別添様式5) | 賞与・退職金制度導入コース内訳記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(共通要領様式第1号) | 支給要件確認申立書(問4~15について「いいえ」がある場合、助成金の支給を受けることはできません) | 記入漏れがなく、記載事項が適切か|
※未登録または振り込み口座変更の場合に限る | 支払方法・受取人住所届記入漏れがなく、記載事項が適切か |
【添付書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(変更届を提出している場合、当該変更届を含む。) | 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)賞与・退職金制度新設日(就業規則等に規定した日)の前日までに受理されているか | |
(制度新設前について就業規則等を作成していなかった場合はその旨を記載した申立書) | 制度新設前後の就業規則または労働協約等(写)・労働者が10人未満の場合、労働者代表と事業主の氏名等を記載した申立書があるか ・賃金規定等を別途作成している場合、当該賃金規定等が提出されているか | ・就業規則に労働基準監督署の受理印があるか|
または労働条件通知書等(写) | 対象労働者全員の制度新設前後の雇用契約書・賞与・退職金制度が確認できるか | ・有期雇用労働者等であるか|
および賞与支給月分の賃金台帳等(写) | 対象労働者全員の初回の支給・積立て前後・①賞与について、6か月分相当として5万円以上支給されているか ②退職金について、「1か月分相当として3千円以上を6か月分」または「6か月分として1万八千円以上」積立てされているか ・賞与・退職金制度適用前と比べて、基本給および定額で支給されている諸手当を減額していないか | ・初回の賞与の支給または退職金の積立て前3か月、初回の賞与の支給または退職金の積立て後6か月分に加えて、賞与の支給月分(退職金制度のみを新設した場合は不要)があるか(制度新設後について勤務した日数が11日以上の月が6か月に達するまでの月分)|
賃金台帳等に関する確認書 | 適用後6か月分の賃金が支給されていることについて、事業主が対象労働者全員へ確認しているか | |
またはタイムカード等(写) | 対象労働者全員の制度新設前後および初回の支給・積立て前後の出勤簿(制度新設後について勤務した日数が11日以上の月が6か月に達するまでの月分) | 制度新設前3か月、制度新設後6か月分に加えて、初回の賞与の支給または退職金の積立て前3か月、初回の賞与の支給または退職金の積立て後6か月分があるか
4-4.短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者労働時間延長コースの助成金は、有期雇用者の労働時間を延長したことにより、新たに社会保険に加入となった場合が対象です。支給される金額は延長時間や、配慮の方法によって異なります。詳しくは、以下の表で確認しましょう。
対象となる事業主
次のすべてに該当する労働者が対象です。
- 雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を3時間以上延長したまたは週所定労働時間を1時間以上3時間未満延長するとともに基本給の増額を図った事業主
- 上記①により週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者となった労働者を、延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給した事業主
- 新たに社会保険の被保険者となった有期雇用労働者等について、基本給および定額で支給されている諸手当を新たに社会保険の被保険者となる前と比べて減額していない事業主
- 上記①により週所定労働時間を延長した日以降の全ての期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主
- 上記①により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主
対象となる労働者
次のすべてに該当する労働者が対象です。
- 週所定労働時間を延長した後、6か月以上の期間継続して支給対象事業主に雇用される有期雇用労働者等
- 次の(1)から(3)までのいずれかに該当する労働者であること。
(1)週所定労働時間を3時間以上延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者
(2)週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて10%以上昇給している者
(3)週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて6%以上昇給している者 - 週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者
- 週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
- 支給申請日において離職していない者
支給額
- 労働時間を3時間延長し、新たに社会保険に加入したケース
- 給与の手取りを減らさず労働時間を延長するために基本給を上げ、新たに社会保険に加入したケース
1は令和6年9月30日まで支給額を増額します。2は令和6年9月30日までの暫定処置です。助成を受ける場合は、支給される期間を改めてチェックしておくとよいでしょう。
支給申請期間
短時間労働者の週所定労働時間延長後6か月分の賃金を支給した日※の翌日から起算して2か月以内に支給申請してください。
申請書類チェックリスト
短時間労働者労働時間延長コースの助成金を受給するには、必要書類を揃える必要があります。申請に必要な書類は、以下のリストを参考にしましょう。
【申請書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(様式第3号) | キャリアアップ助成金支給申請書記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(様式第3号・別添様式6) | 短時間労働者労働時間延長コース内訳 記入漏れがなく、記載事項が適切か | |
(共通要領様式第1号) | 支給要件確認申立書(問4~15について「いいえ」がある場合、助成金の支給を受けることはできません) | 記入漏れがなく、記載事項が適切か|
※未登録または振り込み口座変更の場合に限る | 支払方法・受取人住所届記入漏れがなく、記載事項が適切か |
【添付書類リスト】
チェック | 書類名 | 確認すること |
(変更届を提出している場合、当該変更届を含む。) | 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)週所定労働時間延長実施日の前日までに受理されているか | |
または労働条件通知書(写) | 対象労働者の延長前後の雇用契約書が確認できるか) | 延長前後の契約内容、労働条件(週所定労働時間が明確であること|
対象労働者の延長前後の賃金台帳(写) | (延長後について勤務した日数が11日以上の月が6か月以上に達するまでの月分) ・延長後、社会保険の被保険者として加入していることが確認できるか | ・延長前後6か月分があるか|
またはタイムカード等(写) | 対象労働者全員の週所定労働時間延長前後の出勤簿(延長後について勤務した日数が11日以上の月が6か月以上に達するまでの月分) | 延長前6か月、延長後6か月分があるか|
賃金台帳等に関する確認書 | 適用後6か月分の賃金が支給されていることについて、事業主が対象労働者全員へ確認しているか |
4-5.社会保険適用時処遇改善コース(新設)
2023年10月から「106万円の年収の壁」に対応するため、社会保険適用時処遇改善コースが新設されました。本コースを利用することにより「社会保険適用後は手取りが減少するのでは……」という不安を払拭した環境づくりが目指せます。
社会保険適用時処遇改善コースは、主に3つのメニューがあります。それは「手当等支給メニュー」「労働時間延長メニュー」「併用メニュー」です。
手当等支給メニュー
手当等支給メニューは、「社会保険適用促進手当」の支給により、労働者の収入アップを図る助成金です。具体的な要件・申請時期・助成金額は、以下を確認してみてください。
【活用ケース1】
※出典:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)|厚生労働省
【活用ケース2】2年目に前倒しで3年目の取り組みを実施するケース
※出典:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)|厚生労働省
労働時間延長メニュー
労働時間延長メニューは名称のとおり、所定労働時間延長により社会保険を適用させると助成対象になります。助成対象となるかどうかは、下記にて延長した時間と賃金の増額を確認しましょう。
※出典:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)|厚生労働省
併用メニュー
併用メニューでは、「手当等支給メニュー」と「労働時間延長メニュー」をかけ合わせて助成を受けます。どのように併用するのか、イメージするのが難しいかもしれません。以下の表より、要件・助成金額・活用ケースをチェックしてみてください。
※出典:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)|厚生労働省
5.キャリアアップ助成金の手続きの流れ
キャリアアップ助成金を受けるには、各コースの実施までに「キャリアアップ計画」を提出する必要があります。ここでは、キャリアアップ計画書の作成についてまとめました。各コースの概要にも触れているので、申請の手続きにお役立てください。
5-1.キャリアアップ計画書の作成
キャリアアップ計画書は、厚生労働省のホームページからダウンロードできる様式に沿って作成します。計画書に記載するのは、対象者や目標、期間、具体的な取り組みなどです。キャリアアップ計画書を作成したら、各コースを開始する前に管轄労働局長に提出しましょう。
管轄労働局長から認定を受けるのに、時間がかかるかもしれません。余裕を持って1か月前に、計画書を作成・提出しておくことをおすすめします。もし当初の計画に変更がある場合には、「キャリアアップ計画変更届」を提出しなければなりません。変更の届出を忘れると、助成金を受け取れない可能性もあるので注意してください。
5-2.正社員化支援コース
正社員化支援コースの手続きは、上記の流れで進めます。計画書は労働組合の意見を取り入れて、各事業所で作成しましょう。労働局にキャリアアップ計画書を提出したら、労働局長による認定印(確認印の押印)をもらいます。
正社員に関する規定がない場合、社内規定の見直し・修正が必要です。就業規則の変更やキャリアアップ計画書の作成について不明点があれば、労働局・ハローワークに相談しましょう。
就業規則に基づく正社員化と、転換に応じた賃金の支払いを実施したら、支給申請ができます。支給申請は、取り組み後6か月間の支払いをした日の翌日から数えて2か月以内です。審査が完了し支給額も決まったら、助成金が振り込まれます。
5-3.処遇改善支援コース
処遇改善支援コースの手続きは、上記の流れで進めます。おおまかな流れは、正社員化支援コースと同様です。
6.キャリアアップ助成金の電子申請について
令和5年4月から「雇用関係助成金ポータル」を利用して、キャリアアップ助成金の電子申請ができるようになりました。ただし電子申請をする前に、「GビズID」の申請・取得が必要です。
GビズIDとは、「ID」と「パスワード」でさまざまな行政サービスにログインできるサービスを差します。もし電子申請を社会保険労務士や代理人に依頼する場合でも、GビズIDを取得しましょう。取得方法については、GビズIDの専用ページを確認してみてください。
電子申請なら来所せずに申請できますし、窓口の営業時間を気にする必要もありません。一度入力したら情報は繰り返し反映して使えるため、申請の負担も減るでしょう。時間や労力の削減をするために、電子申請を検討してみるのもおすすめです。
7.不正受給した場合の処置
不正受給を防ぐために、キャリアアップ助成金の手続きは厳しくなっています。申請時にミスがあると、助成金が受けられないことも少なくありません。そのため申請書類は正確に記載し、必要な書類をすべて添付しましょう。もし不安な点があれば、社会保険労務士といった専門家に相談するのも大切です。
もし不正受給をしてしまった場合は、助成金を全額返還するだけでなく、「年間3%の延滞金」や「返還額20%の違約金」も支払わなければなりません。加えて5年間は助成金を受けられなくなります。これは、事業主にとっても労働者にとっても大きな損失です。不正受給をすると非正規雇用の労働者のキャリアアップを阻害するため、正しく申請して助成金を活用しましょう。
※参考:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)|厚生労働省
8.よくある質問
9.まとめ
キャリアアップ助成金は、従業員のキャリアアップや処遇改善をするための制度です。正社員化や給与の増額により、働く人の意欲を向上させ、職場への定着率も高めるのに役立ちます。雇用の安定性につなげるために、ぜひキャリアアップ助成金を活用してみてください。