飲食業でミャンマー人の採用|知っておきたい文化や性格もわかりやすく解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

「人手不足の解消にミャンマー人の採用を検討している」
「現場のスタッフやパートさんとコミュニケーションが取れるだろうか」

飲食店でミャンマー人を初めて採用する場合、いくつかの不安や疑問を抱くでしょう。

この記事では採用の検討に役立つ情報として、ミャンマー人の特徴や雇うメリット、採用方法、採用する上での注意点をまとめました。

初めて飲食業で外国人を採用する場合、何から始めればいいかわからない方が多いです

目次

1.ミャンマーはどんな国?

飲食店でミャンマー人の雇用を検討しているなら、基本情報から押さえておきましょう。ここではミャンマーの地理や人口推移、現在の情勢に触れています。

1-1.ミャンマーの基本情報

ミャンマーの正式名称は「ミャンマー連邦共和国」で旧首都はヤンゴン、新首都はネーピードーです。

地理的な優位性が高いといわれており、中国やラオス、タイ、インドに接しており、南はアンダマン海とベンガル湾に面しています。

※ミャンマー連邦共和国|外務省

ミャンマーの基本情報を以下にまとめました。

面積68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)
人口5,114万人 ※2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発表)
首都ネーピードー
民族ビルマ族(約70%)、その他多くの少数民族
言語ミャンマー語(公用語)、シャン語、カレン語
宗教仏教(90%)、キリスト教、イスラム教
※ミャンマー基礎データ|外務省

1-2.ミャンマーの人口推移

経済産業省のデータによると、ミャンマーでは総人口に占める生産年齢(15 歳以上 65 歳未満)の人口比率の上昇が続いています。

反対に少子高齢化の進む日本では、働き手不足が見込まれるでしょう。そのため、ミャンマーからの人材確保が期待できる状況です。

※医療国際展開カントリーレポート 新興国等ヘルスケア市場環境に関する基本情報 ミャンマー編|経済産業省

飲食店で「人手が足りないけど募集をかけても応募がこない」という状況になったら、ミャンマー人の雇用を考えるのも方法のひとつです。また「現状どうにか人材が確保できている」という場合でも、将来的な人材不足を見越して備えておくのも大切です。

JapanJobSchoolではミャンマー校を保有している為、多くのミャンマー人をご紹介できます

1-3.ミャンマーの現在の情勢

インフラや政治の課題は徐々に改善に向かっているものの、2021年2月1日に国軍によるクーデターが発生し、難民問題や課題が残っているのが現状です。

社会主義政策に不満を抱いていた国軍により、当時の国家顧問アウン・サン・スー・チー氏や大統領、国民民主連盟の幹部などが拘束されたという報告もあります。

クーデター以降のミャンマーでは「軍事政権には従いません」という、抗議デモや武力衝突が始まりました。抗議に対する軍からの弾圧も激しくなり、経済の発展に手が回らない状況です。

ミャンマー基礎データ|外務省

↓こちらの記事でもミャンマーの現状をご紹介しています↓

1-4.ミャンマーから日本への出稼ぎニーズ

自国と比べたときの治安のよさや賃金の高さにより、ミャンマーから日本への出稼ぎニーズが高まっています

2019年3月には、日本とミャンマー間でMOC(特定技能を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書)が結ばれました。

また人手不足の12分野14業種で外国人を正社員として雇用できる「特定技能」による在留資格の登場により、日本の企業にとってもミャンマー人の採用がしやすくなっています。2024年6月現在、国内の特定技能外国人のうちミャンマー人の割合は、全体の7.6%(19,059人)です。

※特定技能在留外国人数(令和6年6月末現在)|出入国在留管理庁

参考:日本国とミャンマー連邦共和国との間の在留資格「特定技能」に係る協力覚書(MOC)について|出入国在留管理庁

2.ミャンマー人の特徴・性格

ミャンマー人の主な7つの特徴・性格を紹介します。

①日本文化に親しみがある

東南アジアのなかでも、ミャンマー人は特に親日家だといわれています。

ミャンマーのあるメディアでは日本のマンガやアニメ、着物文化を楽しむミャンマー人の姿を報じました。

記事の内容は「ジャパン・カルチャー・ハウス」という日本の文化発信拠点のオープンに、多くのミャンマー人がかけつけた様子です。

また2022年12月、国内外で実施された「日本語能力試験(JLPT)」では、ミャンマー人の受検者数がアジア(東南アジア・東アジア・南アジアの3地域)のなかで1位を記録しています。

受検者数の多さからも、日本文化や日本語への興味関心が高いとわかるでしょう。

参考:実施国・地域別応募者数・受験者数 /過去の試験データ|日本語能力試験(JLPT)

②目上の人を敬う

ミャンマーでは、上司や先輩など目上の人を敬う文化があります。

日本でも上下関係を重んじるため、文化が似ていると職務上のコミュニケーションが取りやすいでしょう。例えば上司や先輩から指示を出されたとき「素直に従ってくれるだろうか」と、気になるかもしれません。

しかし目上の人を敬うミャンマー人なら、言われたことを受け入れて取り組んでくれる可能性が高いといえます。

③穏やかで優しい

ミャンマー人の90%は、上座部仏教を信仰しています。

上座部仏教では戒律を重んじており、悟りを開くための瞑想も欠かしません。「徳を積む」行為を大切にしているため、人に対して穏やかで優しい印象を受けるでしょう。

参考:世界一周「何でもレポート」|外務省

④ポジティブに考える

ミャンマー人の性格として、ポジティブな面も挙げられます。

物事を前向きにとらえる傾向にあり、一緒に働く同僚も明るい気持ちになるかもしれません。 もし難しい仕事を依頼してもコツコツ進めてくれるでしょう。

ミャンマー人と他の国籍の特徴を比較したい方

⑤叱られるのは苦手

ミャンマー人は、叱られるのに慣れていません

日本の感覚で注意すると、自己承認欲求の強いミャンマー人のプライドを傷つけてしまう恐れも。

その場合、自分のミスでも言い訳をしたり、避けられたりする可能性があります。

⑥挨拶をしない

日本の場合、出社時や社内で人とすれ違うとき挨拶するのがマナーです。

しかしミャンマーには、挨拶をする習慣がありません。すれ違っても無言なので、日本人の感覚だと「失礼な人」だと感じるでしょう。

しかし習慣がないだけなので、挨拶するシチュエーションや日本語での挨拶を教えれば覚えてくれます。

⑦寂しがり屋

母国や家族から離れて暮らしているため、来日しているミャンマー人は寂しさを感じやすいようです。

特に日本に滞在して間もない場合は、ホームシックになりやすいでしょう。「最近採用したミャンマー人の元気がない」と感じたら、優しく声をかけてあげるのが大切です。

また先輩や同僚とコミュニケーションが取れているか気にかけ、孤立しないように配慮する必要があります。

3.飲食業界の現状

日本の飲食業界では近年、人手不足が叫ばれています。

人手不足の要因として「新型コロナウイルスによる離職」「飲食業界の離職率の高さ」などが挙げられるでしょう。厚労省では「労働経済動向調査(令和5年2月)」において以下の結果を公表しました。

【産業別未充足求人の有無】
令和5年2月1日現在の未充足求人がある事業所の割合は、調査産業計で 58%となった。 産業別にみると「医療,福祉」72%、「宿泊業,飲食サービス業」66%、「サービス業(他に分類されないもの)」65%などとなった。(表7)

※労働経済動向調査(令和5年2月)の概況|厚生労働省

飲食業界の未充足求人の割合は、66%です。半分以上が感じている人手不足を解消する方法として、外国人労働者の受け入れがあります。

4.ミャンマー人を採用するメリット

日本で在留資格を所持している外国人は、ミャンマー人のほかにフィリピン人やベトナム人もいます。あえてミャンマー人の雇用を検討する理由が知りたい方に、3つのメリットを紹介しました。

4-1.日本語の習得が早い

ミャンマー語(ビルマ語)と日本語の文法は、基本的に「主語・動詞・目的語」で構成されています。文法が似ているので、日本語の単語さえ覚えれば母国語と同じ思考で会話できるでしょう。

そのためミャンマー人の場合、早く日本語を習得できると考えられます

ミャンマー人に接客を任せたい飲食店では、日本語で意思疎通できる人材が欲しいでしょう。早く日本語を覚えそうなミャンマー人は、飲食店向きだと考えられます。

4-2.文化が似ている

一般的にミャンマー人は、勤勉で年上を敬う傾向にあります。

ミャンマー人を雇う上で「指示通りに働いてくれるだろうか」「礼儀正しく接客できるだろうか」と不安になるかもしれませんが、文化の似ている点でミャンマー人は雇用しやすいでしょう。

4-3.ホスピタリティ精神が強い

ミャンマー人の特徴のひとつに、思いやりやおもてなし精神があります。

上座部仏教を信仰しているため「人のためになることをして徳を積む」という精神が根底にあるのでしょう。飲食店では「お客様の求めていることは何か」を考えて、接客する姿勢が重要。

ホスピタリティ精神が強いミャンマー人を雇用すれば、顧客満足度の高い接客が期待できます。

参考:世界一周「何でもレポート」|外務省

5.飲食業界でのミャンマー人の採用方法

ミャンマー人と日本では、採用方法に違いがあります。ここでは人材の見つけ方や必要な在留資格、内定・雇用の締結まで紹介します。

5-1.ミャンマー人材を見つける

ここでは、ミャンマー人材の見つけ方を3つ紹介します。

求人サイトで募集をかける

ミャンマー人材を見つける方法として、求人サイトの活用が挙げられます。求人情報を作成すれば、全国に発信できるのが強みです。

ただし不特定多数が閲覧するため、希望と異なる応募が集まるかもしれません。そのため求める日本語レベルや応募者の年齢、性別などを応募条件に記載する必要があります。

外国人の日本語レベルがどのくらいあるか知りたい方はこちらの資料をダウンロードください

派遣会社・人材会社に紹介してもらう

派遣会社・人材紹介会社から、ミャンマー人材を紹介してもらう方法もあります。

会社によっては「日本語教育」「日本社会を理解する研修」を実施しているケースも。

ミャンマー人の紹介を依頼すれば、面談の設定や在留資格手続きの確認、語学やマナーなど、採用にかかる手間が省けるでしょう。

ただし、欲しい人材の条件をアドバイザーと擦り合わせる必要があります。想定外の人材を紹介されないように、応募条件の内容を整理して共有しましょう。

飲食でミャンマー人を採用したい方

日本語学校に依頼する

ミャンマー人の留学生や新卒の採用を検討している場合、日本語学校に直接依頼するのもよいでしょう。学校経由の応募者なら、必要最低限の日本語を話せる可能性があります。

各エリアの日本語学校や大学のキャリアセンターに問い合わせて、登録方法を確認してみてください。

応募者を獲得するためには、複数の日本語学校に登録しなければなりません。その場合、登録手続きや登録先の管理に時間を要する恐れも。

「採用に時間や手間をかけたくない」という場合は、採用方法を見直す必要があります。

5-2.在留資格を確認する

採用したいミャンマー人が見つかったら、在留資格があるか確かめましょう。アルバイトと正社員では、必要な在留資格が異なるので要チェックです。

アルバイトの場合

アルバイトでミャンマー人を雇う場合でも、在留資格を確認しなければなりません。

正社員に比べると、アルバイトで雇用できる在留資格は多めです。雇用前に以下の資格があるか、チェックしましょう。

  • 永住者
  • 定住者
  • 永住者の配偶者等
  • 日本人の配偶者等
  • 留学
  • 特定活動(ワーキングホリデー)
  • 文化活動
  • 家族滞在

正社員の場合

飲食店でミャンマー人を正社員として雇う場合、「技能」「特定技能」いずれかの在留資格が必要になります。

技能

母国で10年以上の特殊な技能の実務経験がある外国人は、技能ビザを取得できます。

ただし調理師で技能ビザ取得を目指す場合、アルバイトや調理補助の期間はカウントされません。「技能」とは、産業上の特殊な分野における熟練した腕前だと定義されています。

そのため技能ビザを所持しているミャンマー人は、非常に少ないのが現状です。

参考:外国人を雇用する事業主の皆さまへ|厚生労働省

特定技能

特定技能は、2019年4月に新設された取得難易度が低いビザです。

技能測定試験への合格が技能要件で、雇用期間は通算5年です。しかし特定技能2号取得者の場合、雇用期間は無制限になります。

特定技能ビザを所持している外国人は、飲食店のホールやキッチンでも採用できます。

参考:新たな在留資格「特定技能」について|厚生労働省

ミャンマー人は月収いくらほしい?どんな会社で働きたい?

5-3.内定・ビザの変更

ミャンマー人の採用が決まったら、内定を出して雇用契約を締結します。 アルバイトと正社員、それぞれ労働契約を締結する方法を確認しましょう。

アルバイトの場合

外国人のアルバイト採用の流れは、ほとんど日本人と変わりません

業務内容や労働条件を説明して、雇用契約を結びましょう。

そしてマイナンバーや基礎年金番号が発行されている場合、法定調書や保険書類作成のために提出してもらいます。

日本に中長期滞在している外国人には住民票があるため、在留資格だけでなく公的書類を所持しているか確認してみてください。

ただ、採用時・退職時にハローワークへ届け出をださなくてはいけないので忘れないようにしましょう。

正社員の場合

正社員の場合、日本人の採用と同様に内定を出して労働契約を締結します。

労働契約書がなければ、外国人は就労ビザを取得できません。不法就労にならないために、スムーズに労働契約書を発行しましょう

入社後のトラブルを回避するために、採用する人材の母国語による契約書作成がおすすめです。特に「就業場所」「業務内容」「賃金の計算方法や支払日」の項目は、正しく理解してもらいましょう。

外国人の採用方法はこれらの記事でも詳しく解説をしているので気になった方はぜひご覧ください。

外国人を正社員で採用する上でご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください

6.ミャンマー人を採用する上での注意点

ミャンマー人を採用するにあたって、主な注意点が2つあります。思わぬトラブルを防ぐために、叱り方と海外労働で必要なスマートカードについて説明しました。

6-1.叱り方に気を付ける

ミャンマーでは、叱られたり注意を受けたりする文化がありません。

業務でミスをしたからといって強い口調で注意すると、激しく落ち込んで業務に支障をきたす可能性があります。

もし研修や業務で失敗しても、ミャンマー人には優しく丁寧に伝えるようにしましょう。 一方的に注意するのではなくミスの原因について話を聴いた上で、解決策を提示するといった工夫も大切です。

6-2.スマートカードについて

特定技能ビザで滞在するミャンマー人は「スマートカード(海外労働許可証:OWIC)」を取得しなければなりません。

そのため飲食店でミャンマー人を雇う場合、特定技能用のスマートカードを所持しているか確認しましょう。

スマートカードの申請から発行まで、数週間〜数か月かかると見込まれます。

申請遅れによる不法就労にならないように、注意が必要です。

とはいえ手続きをするのは、企業ではなくミャンマー人自身です。

雇用前に申請手続きが進んでいるか、確認しておくと安心です。

参考:東南アジア地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(ミャンマー)|厚生労働省

7.まとめ

「ミャンマー人の採用を検討しているが手間をかけたくない」という飲食店オーナー様は、ぜひ当スクールへご相談ください。

当スクールでは外国人の人材紹介だけでなく、雇用契約のサポートや入社後の日本語教育、ビジネスマナー研修も実施しております。

無料カウンセリングもできますので、まずはご要望・悩みなどをお聞かせください。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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