飲食店でフィリピン人を採用!就労できる業務内容や雇用方法、注意点について解説
慢性的な人手不足に悩まされている飲食店では、フィリピン人を積極的に採用する動きがあります。フィリピン人の明るくフレンドリーな性格なら、ホールやキッチンスタッフ、デリバリー業務においても活躍が期待できます。
しかし、実際にフィリピン人を採用する際にどのような点に注意すべきか、不安に感じるかもしれません。この記事では、飲食店におけるフィリピン人の雇用方法や、注意点を詳しく解説しました。これからフィリピン人の雇用を考えている飲食店の皆様にとって、有益な情報をお届けします。
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1.日本で働くフィリピン人は年々増加
令和5年末時点において、在留外国人数は341万992人と半年前と比べて33万5,779人増加し、過去最高を更新しました。
※令和5年末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁)
国籍別でみると、1位は中国の82万1,838人、2位はベトナムの56万5,026人、3位が韓国の41万0,156人です。3位の韓国の伸びは低下しており、4位フィリピンが322,046人と続いています。フィリピン人は、前年と比べて2万3,306人増えており、今後も増加する可能性が高いでしょう。
2.フィリピン人の国民性
初めてフィリピン人を雇用する飲食店なら、どのような国民性か気になるでしょう。主な特徴として4つを解説したので、自店への受け入れを検討するときや、接し方のヒントを得るときにご覧ください。
2₋1.明るくてフレンドリー
南国の温暖な気候の影響か、フィリピン人にはとにかく明るく、陽気でフレンドリーな人が多いです。多くのフィリピン人が海外で働いているのは、社交的な性格が一因でしょう。
フィリピン人のフレンドリーで明るい性格は、お客様に対して親しみやすい印象を与えます。さらに、明るくポジティブな性格は、職場の雰囲気を活気づけ、他のスタッフともすぐに打ち解けることが期待できます。
2⁻2目上の人を敬う
仕事をする際、礼儀や敬意を重んじながら、同僚や上司とコミュニケーションを取ってほしいものです。フィリピン人は、目上の人には敬意を払い、丁寧に接する文化があります。礼儀正しさを重んじる日本人にとって、好印象を受けるでしょう。
2-3.計画・時間にルーズ
フィリピン人は、計画的に動くのは苦手で時間にルーズな傾向があります。生活の基本がその日暮らしなケースも多く、長期的な視点で考える習慣がないのも大きな要因かもしれません。また時間を守れないのではなく、「時間どおりに動く」という感覚がない可能性もあります。
カレンダーや時計をほとんど見ない人もおり、時間を気にしない一面があります。勤務時間にルーズだと感じる場合には、積極的な声かけやタスク管理の促進などのサポートが必要です。
2-4.英語が得意
フィリピンの第二公用語が英語なので、話せる人が多いといわれています。海外への出稼ぎにも抵抗が少なく、実際に働いている人も大勢います。
近年、日本の飲食店では海外からの旅行者も多くみられます。英語が話せるスタッフがいれば、メニューの説明や注文を取るときに頼もしく感じるでしょう。
ただしなかには英語が不得意なフィリピン人もいます。もし英語を使う飲食店なら、採用前の面接で英語レベルを確認しましょう。
3.飲食店で必要な在留資格ビザ
日本の飲食店でフィリピン人を雇用する場合、就労可能な在留資格を取得してもらいましょう。ただし雇用形態によって必要な在留資格が違うため、それぞれ確認してみてください。
3-1.アルバイトで雇用する場合
以下の在留資格なら「資格外活動許可」を申請することで、アルバイトとして雇用できます。
在留資格の種類 | 特徴 | 就労できる業務内容の一例 |
---|---|---|
留学 | 日本の教育機関に属する学生 | 1週間に28時間以内の アルバイト業務 |
家族滞在 | 在留者に扶養されている家族 (配偶者・子ども) | 1週間に28時間以内の アルバイト業務 |
3-2.正社員で雇用する場合
「正社員」としてフィリピン人を雇用するなら、下記表のうちいずれかの在留資格を取得してもらいます。就労できる業務内容が異なるため、併せて確認してみましょう。
在留資格の種類 | 特徴 | 就労できる業務内容の一例 |
---|---|---|
特定技能 | 人手不足解消を目的としている | 接客、調理補助、衛生管理、清掃、洗い場業務など |
技能実習 | 専門的・技術的な分野に与えられるため、実務経験が必要 | 外国料理の調理 |
技術・人文知識・国際業務 | 専門性の高い業務向けで、飲食店は中~大規模な店舗が対象 | マーケティングや営業、 店舗経営など |
特定活動46号 | 日本の大学・大学院卒のあとに 正社員として働ける | 接客、店舗管理 |
定住者/永住者/日本人の配偶者/永住者の配偶者 | 定住者は第三国定住難民、 日系3世、中国残留邦人、 永住者は永住許可を受けた者 | 制限なし |
以下の記事も参考にしてみてください。
4.飲食店でフィリピン人を雇用する方法
フィリピン人を雇用する前に、独自のルールを確認しましょう。ここでは、必要な審査と重要な機関についてまとめました。
4-1.送り出し機関の審査を受ける
フィリピン人を雇用する場合には、「現地採用」「国内採用」に関わらず、受け入れ企業としての審査を受ける必要があります。そのため東京にある「フィリピン大使館」、または大阪にある「在大阪フィリピン総領事館」に出向きます。審査をするのは、出稼ぎをするフィリピン人の「送り出し機関」です。
またフィリピンの場合、現地エージェントを介さない直接雇用が禁止されています。日本の採用担当者が現地に出向いてスカウトするのはルール違反になるので注意しましょう。
独自ルールが生まれたのは、フィリピン人の就労環境を管理・監督するためです。フィリピンの人口増加と国外への出稼ぎに拍車がかかることを見越した、国の対策だと考えられます。
4-2.3つの重要機関を知る
フィリピン人を雇用するには、3つの機関について知る必要があります。東京にある「フィリピン大使館」と、大阪にある「在大阪フィリピン総領事館」は下記のMWOに該当します。
DMW (旧POEA) | 出稼ぎをするフィリピン人を送り出す機関で、 2023年にPOEAはDMW(フィリピン移住労働省)に統合された。 フィリピン人を雇用したい企業の審査をしている |
DOLE /労働雇用省 | フィリピンの労働や雇用について監督を行う官庁。雇用についての問題が発生した場合は、DOLEに不服の申し立てをする |
MWO (旧POLO)/出先機関 | 上記で紹介した2つの機関「DOLE」「MWO(旧POLO)」の出先機関(本局の補助的位置づけ)。日本で働くフィピリン人とその家族を福祉的に保護・支援している |
※表・画像引用:介護現場でフィリピン人を採用!必要なビザと採用の流れ、問題を防ぐ注意点
※参考:フィリピンに関する情報|出入国在留管理庁
5.飲食店でフィリピン人を雇用する流れ
フィリピンの独自ルールに沿った雇用の流れは、以下のとおりです。
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6.飲食店でフィリピン人を採用する際の注意点
飲食店でフィリピン人を雇用するには、注意点があります。適切にフィリピン人を採用するために、チェックしましょう。
6-1.直接雇用は原則禁止
フィリピンでは、「エージェントを介さない直接雇用は禁止されています」。例えば、日本の企業担当者がフィリピンを訪れてスキルのあるフィリピン人を直接採用することは許可されていません。
2017年8月から、DMW(旧POEA)が認定する現地エージェントを通じた雇用のみが認められるようになりました。DMW(旧POEA)の審査を通過すると、OEC(海外雇用許可証)が発行されます。このOECがないと、フィリピンに戻った際に再度出国することができなくなるため、注意が必要です。
ただし一定の条件を満たす場合、直接雇用が認められるケースもあります。例を挙げると、高度技術・専門職の業種のケースや、DMW(旧POEA)が指定する基準をクリアしているケース、十分な学歴・職歴を有している者を雇用するケースです。詳しくは、DMW(旧POEA)にて確認する必要があります。
6-2.送り出し機関の選定と連携
フィリピン人を雇用するには、現地の送り出し機関を選定し、人材紹介契約を結びます。しかし送り出し機関は複数あり、何を基準に選んだらよいのか迷ってしまうでしょう。機関によって「地域特化」「業種特化」「サポート特化」「教育・研修特化」など特色があり、自社にとって適切な判断をしたいところです。
また採用に関する手続きだけでなく、ビザ取得・変更の申請も必要となり、自社で全て対応するには相当な知識と労力が求められます。フィリピン人の雇用やビザ取得に関するノウハウが不足している場合、国内の人材紹介会社に相談してみましょう。
7.まとめ
フィリピンでは、労働者の管理・監督を強化しています。この5年間で数多くの制度が整備され、労働環境を取り巻く状況は大きく変化してきました。認可する官庁が変更され、フィリピンの労働環境は、非常に流動的な状態です。飲食店の採用担当者は、フィリピン人を雇用するうえで、状況の把握に困難を感じるでしょう。
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