特定技能外国人の再雇用がスムーズになった新機能「再雇用申請」とは?
特定技能外国人が退職した後、再び同じ企業に再就職する場合、「またあの手間がかかる手続きが必要になるのか」と不安に感じている企業の人事担当者も多いのではないでしょうか。
特に、建設分野では「再雇用申請」の導入により、手続きの簡素化と期間が大幅に短縮されました。
本記事では、この「再雇用申請」の具体的な内容とメリット、手続き方法などについて詳しく解説します。
特定技能外国人が再就職を希望する際、スムーズな手続きは企業にとって、外国人側からの信頼を得ることができます。ぜひ最後までお読みください。
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1. 特定技能外国人が再雇用になるケース
一旦退職した特定技能外国人を再び雇用するケースがあると思います。その場合、新たに特定技能外国人を雇うときと同じ手続きが必要なのではと思われるかもしれませんが、契約変更や再雇用などの比較的簡素な手続きで済むケースも多くあります。
また、建設分野の特定技能外国人とその他の分野では違いもあります。どんな場合にどんな手続きが必要なのか、みていきましょう。
1-1.一時帰国後、再入国できなかった場合
特定技能の滞在資格を持って働いている外国人は、一時帰国が認められています。雇用契約、在留期間のあるうちに再入国する想定で一時帰国したものの、なんらかの事情で再入国ができなくなることがあります。
その場合に、一旦退職した後で再び日本に入国し、以前勤務していた会社で再び働くという場合、「再雇用」の状態となります。
1-2.脱退一時金を受け取り再就職したい場合
外国人であっても、加入条件を満たす場合には、必ず社会保険に加入しなければなりません。
しかし、「外国人の場合は、滞在期間が短く、保険料納付が老齢給付に結び付きにくいという特有の事情」があります。そのため、外国人が日本国内に住所を有しなくなった場合、本人からの請求に基づき、納めた保険料額に応じた額を一時金として支給する「脱退一時金制度」ができました。
ただし、脱退一時金の計算対象(保険料納付期間)は、最大5年分です。5年以上、社会保険料を納付していたとして脱退一時金の金額は増えません。
このため、特定技能の資格で就労する以前から日本に滞在し、保険料の納付期間が5年間になる外国人の間では、一旦、会社を退職して一時帰国し、年金の脱退一時金を請求し、その後に再来日して再就職をするという対応をする人がいます。脱退一時金は、就労中や住民票が日本にあるうちは請求できないからです。
こうした外国人が以前と同じ会社に再雇用されて働くケースがあります。
参考:厚生労働省「脱退一時金等について」 P3
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001224070.pdf
1-3.建設分野以外は入管への随時届出だけが必要
建設業は、他産業と比べて技能実習生の失踪が多く、失踪した実習生が不法就労の状態でまた別の建設現場で働いているなどの問題が指摘されていました。そのため、建設分野の特定技能外国人については、他分野の特定技能外国人についての規制に「上乗せ」した規制が設けられています。
建設業は、他産業と比べて技能実習生の失踪が多く、失踪した実習生が不法就労の状態でまた別の建設現場で働いている現状があります。また、ライバル会社が安価な労働力として外国人を雇うことになれば、建設業者間の公正な競争環境をゆがめるのではないかとの懸念もあり、業界として賃金や社会保険、安全衛生のルールをしっかり整備して、ルールを守らない企業を排除していく必要があります。 失踪した実習生が不法就労で安価な労働力として働いているのを適正化する こうした問題に対して建設分野では、特定技能外国人を受け入れる企業は、出入国在留管理庁からの在留資格取得の前に、受入計画を作成して国土交通省の認定を受け、認定後も認定計画の実施状況について国土交通省または適正就労監理機関から確認を受けることが義務付けられました。 |
出典:(一社)建設技能人材機構 特定技能外国人制度の概要
https://jac-skill.or.jp/system/
その上乗せ規制の一つが、建設分野の特定技能外国人を受け入れる企業は、受入計画を作成し、国土交通大臣による審査・認定を受けることです。退職や再雇用は受入計画の変更に該当し、「外国人就労管理システム」から申請が必要になります。
建設分野の特定技能外国人の再雇用の手続きについては、次の章で説明します。
建設以外の分野の特定技能外国人が一度、退職(雇用契約終了)した後、再び雇用契約を結んだ場合は、新たな雇用契約を締結したときの届出(随時届出)を行います。脱退一時金を受け取るために一時帰国した場合も同様です。なお、退職時には、雇用契約の終了についての届出(随時届出)を提出していなければなりません。
参考様式第3-1-2号(契約の終了した又は新たに締結した場合)
出典:出入国在留管理庁 特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00187.html
2.新機能「再雇用申請」とは?
建設分野の特定技能外国人の受入計画は、失踪や不法就労などの問題を改善するために設けられました。しかし、脱退一時金を受け取った後の再雇用の場合でも、審査・認定の手続きに数カ月かかることがありました。しかし、2023年11月、外国人就労管理システムに「再雇用申請」の機能が新設され、2週間から1カ月で手続きが完了するようになりました。
2-1.「再雇用申請」とは?
「再雇用申請」とは、建設分野の1号特定技能外国人が、一旦退職・出国し、再入国後に退職前と同じ会社に再雇用され、雇用条件に変更がなく就労する場合に行われる手続きです。国交省の外国人就労管理システムで「再雇用申請」を行い、「退職日」「再雇用予定日」を入力し認定を受けます。
参考:国土交通省 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【再雇用申請】
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001709561.pdf
出国時の外国人の状況が
- 雇用契約:継続中(退職していない)
- 社会保険:加入中(脱退していない)
- 1号特定技能の在留資格を保持(単純出国していない)
の場合は、特別な手続きは不要です。
①から③に該当しない項目があった場合は、その状況によって手続きが異なります。
出典:国土交通省 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【再雇用申請】
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001709561.pdf
2-2.「再雇用申請」のメリット
再雇用申請の最大のメリットは、手続きから認定までの期間の大幅な短縮です。従来の受入計画の変更申請では、手続きに2~3カ月を要するとされていました。これが「再雇用申請」では2週間から1カ月になりました。
また、手続きも簡素化されました。従来は「退職報告」と「変更申請」という2つの手続きが必要でしたが、「再雇用申請」をすると自動的に一度、退職をする手続きが進められます。
出典:国土交通省 1号特定技能外国人の出国と国交省への手続について(再雇用申請)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001491957.pdf
3.再雇用の手続きについて
国土交通省外国人就労管理システムでの再雇用の手続きは、特定技能外国人の出国時の状況によって変わります。出国時の状況ごとに、もう少し詳しくご案内します。なお、別途、出入国在留管理庁への出入国や退職、契約についての届出(随時届出)が必要となります。
3-1.出国時の外国人の状況によって変わる
建設分野の特定技能外国人の状況が
- 雇用契約:継続中(退職していない)
- 社会保険:加入中(脱退していない)
- 1号特定技能の在留資格を保持(単純出国していない)
かどうかによって、国交省外国人就労管理システムでの手続きが変わります。
すべてに該当している場合
3つの項目すべてに該当している場合は、退職もしておらず、一時帰国をしたという状況です。手続きは不要で、再入国後、そのまま就労を再開できます。
該当しない項目があり、雇用契約に変更がない場合
社会保険の脱退一時金を受け取るため、一旦、退職・帰国し(雇用契約を継続していない、社会保険は脱退など)、再び同じ会社で同条件で就労する場合などで、「再雇用」の手続きを行うことになります。
この場合は、外国人が退職後、速やかに外国人就労管理システムで手続きを行います。システムにログインし、システムメニューから「再雇用申請」を選択し、外国人の氏名、退職日、再雇用予定日(外国人が日本に戻り就労を再開する予定日)などを入力します。
再雇用申請が正常に行われると、従事状況が一旦「退職」になります。「再雇用申請」は、「退職報告」を兼ねているので、「退職報告」は行わず、「再雇用申請」のみを行います。「退職報告」をしてしまった場合は、「再雇用申請」はできません。
出典:国土交通省 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【再雇用申請】
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001709561.pdf
該当しない項目があり、雇用契約に変更がある場合
該当しない項目があり、同じ会社で再び働く場合でも、雇用契約に変更がある場合は、「再雇用申請」の対象外となります。「新たな特定技能外国人」として、受入計画の変更申請の手続きを行う必要があります。
なお、対象の外国人を受け入れてから1年以上経過し、定期昇給によって基本賃金が上昇している場合は、元の契約通りに昇給した結果ですので、契約の変更にはあたりません。「雇用契約の内容に変更がない」として再雇用申請の利用が可能です。
出典:国土交通省 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【再雇用申請】
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001709561.pdf
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4.自己都合退職による再雇用は?
特定技能外国人が自己都合退職をした後に同じ会社に再雇用されるケースでも、建設分野か建設以外の分野かで必要な手続きに差があります。
4-1.脱退一時金を受け取るための退職も自己都合退職
社会保険の脱退一時金を請求するために一度退職する場合も自己都合退職となります。
建設分野以外の特定技能外国人の場合は、退職(雇用契約の終了)と、再雇用(雇用契約の締結)の届出(随時届出)を出入国在留管理庁に提出するのみです。
建設分野の特定技能外国人の場合は、出入国在留管理庁の手続きに加えて、国交省の外国人就労管理システムで「再雇用申請」の手続きが必要になります。雇用契約に変更があれば、「変更申請」となります。
4-2.転職を考えて退職したが以前の受入企業に再雇用された場合
別の企業への転職を考えていたが、条件に合う転職先がなかったなどで、再び以前の会社と雇用契約を結んだ場合、
建設分野以外の特定技能外国人の場合、退職(雇用契約の終了)と、再雇用(雇用契約の締結)の届出(随時届出)を出入国在留管理庁に提出します。
建設分野の特定技能外国人の場合は、国交省の外国人就労管理システムで一旦、「退職報告」をしていることになるため、「再雇用申請」の手続きはできず、あらためて受入計画を作成し、認定を受けることになります。
4-3.一度、別の会社で勤務した場合
一度、他社と雇用契約を結んで働いた後、再度、以前の勤務先と雇用契約を結ぶ場合は、再雇用の手続きとはなりません。
この場合は、建設分野も他の分野も同様で、在留資格変更許可申請の手続きが必要となります。
建設分野は、あらためて受入企業の受け入れ計画を外国人就労管理システムから申請し、認定を受ける必要があります。
5.まとめ
いかがでしょうか。特定技能外国人を再雇用する場合、新たな特定技能外国人を雇用する場合と比べて、手続きがかなり簡単になることがおわかりいただけたのではないでしょうか。建設分野では、出入国在留管理庁への随時届出に加えて、外国人就労管理システムでの手続きが必要ですが、再雇用申請の機能追加でかなりスムーズになりました。
しかし、この記事だけで行動に移すのはまだ不安な点があるかもしれません。特定技能外国人の再雇用にお悩みの企業様は、ぜひ弊社(JJS)にご相談ください。外国人雇用に関するご質問や、適切な手続きに関するアドバイスが可能です。無料相談ができますので、問い合わせをお待ちしております。