建設業界の人手不足をベトナム人採用で解決する|その方法と手続きを分かりやすく解説
建設業界は若者離れが進み、深刻な人手不足が課題となっています。
そんな建築業界では、現在ベトナム人が急増しており、ベトナム人の採用を始める企業も少なくありません。
この記事では建設業界でベトナム人を雇用するメリットや、雇用するための手続きについてわかりやすく解説します。
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1.建設業界でベトナム人が急増中?
日本で働く外国人を国別に分けたとき、一番多い国籍はどこか知っているでしょうか。
実は2020年以降ベトナム人が最多で、全体の約25%を占めています。
また、建設業は外国人労働者の増加率が最も高い産業であり、今後も外国人労働者が増加し続けると予想されます。
1-1. ベトナム人が4割を占めている
2023年10月時点で、建設業で働く外国人労働者の約4割がベトナム人です。
また、日本で働く約50万人のベトナム人のうち12%が建設業界で働いています。これは製造業に次ぐ2番目の数字です。
1-2.特定技能外国人の人数も大幅増加に
外国人労働者を在留資格別でみると、ベトナムは「技能実習」、「特定技能」で最も多い国です。
こちらは建設業界において「特定技能」で働く外国人の国別割合です。
建設分野において、特定技能1号で働く31,853人のうち21,291人(69%)がベトナム人です。これは他の産業に比べて圧倒的に高い比率です。
さらに2022年から、豊富な実務経験を持ち現場監督も任せられる在留資格として、建設分野でも「特定技能2号」が始まりました。
2023年までで30人が特定技能2号を得ましたが、そのうち17人がベトナム人です。
特定技能2号を得るためには、豊富な実務・監督経験と、特定技能2号評価試験(または技能検定1級)の合格が必要です。どちらも単調に日々の業務をこなすだけではなく、自分から積極的に現場の日本人と関わり、足りない知識や経験を補わないと取得できない資格です。
特定技能1号のベトナム人を雇用すれば、将来特定技能2号を取得できるような優秀な現場リーダーが見つかるかもしれません。
[出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」]
[出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」]
[出典:国土交通省北海道開発局「建設分野における外国人材の受入状況」]
2.ベトナム人を建設業で採用するメリット
「1.建設業界でベトナム人が急増中?」で述べた通り、特定技能2号を取得できるような優秀な人材を発見できることもベトナム人を雇用する大きなメリットの1つですが、それ以外にもベトナム人を雇用することで事業所それぞれに大きなメリットがあります。
ここでは3つ紹介します。
- 勤勉な性格
- 給料に対する満足度が高い
- 若い人材が多い
2-1.勤勉な性格
ベトナム人は真面目で向上心が高い人が多いと言われています。仕事に対しても真面目に、そして熱心に取り組むため、語学や技術を吸収するスピードが速いです。
📍ベトナム人の性格・働き方についてはこちらも参考にしてください
ベトナムの識字率は98%を誇っており、教育水準が決して低くないことがわかります。分からないことは積極的に質問する人も多いので、その時は1つ1つの作業を丁寧に伝えるといいでしょう。
一方で、一度聞いたことをもう一度質問するのを遠慮することや、自信がない日本語の言い回しをするときは口ごもってしまうことがあります。このような性格は日本人と似ているのではないでしょうか。
積極的に質問したり、日本語を話せる環境を作ることで、ベトナム人のやる気もさらに上がっていくでしょう。
2-2.給与に対する満足度が高い
ベトナムの平均月給は初任給で約3万円程度です。日本では18~25万円程度なので、日本で安定的な高収入を得るために働きに来るベトナム人がほとんどです。
さらに、ベトナムでは社会保険制度や福利厚生が充実している会社は一握りです。雇用保険や健康保険だけでなく、住宅支援や資格取得支援などを受けられることに魅力を感じるベトナム人も少なくありません。
2-3.若い人材が多い
ベトナムの人口は2023年には1億30万人に達しましたが、そのうち6,700万人以上が生産年齢人口(15歳~64歳)です。この生産年齢人口の割合の高さは、東南アジアではインドネシア、フィリピンに次ぐ数字です。
特に建設業は力仕事が多いため若い人材が求められます。
しかし、現在の建設業界は約36%が55歳以上で、29歳以下の若い人材は約10%しかいません。高齢化が急速に進んでいる建設業界では、ベトナム人の若者を雇用することで高齢化に歯止めをかけることができるのではないでしょうか。
[JETRO「深刻化する人材確保の課題、多様な人事施策の検討がカギ(ベトナム)」]
3.ベトナム人を雇用する方法とは?
ベトナム人を就労系在留資格で雇用するには①特定技能「建設」、②技能実習、③技能のいずれかから選択する必要があります。
それぞれの在留資格の特徴、メリットについて説明します。
3-1.特定技能「建設」
特定技能とは、特に人手不足が深刻な産業分野において一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための制度です。2019年から始まった比較的新しい制度ですが、現在までに2万人以上のベトナム人を受け入れています。
外国人が特定技能1号の在留資格を得るためには、①特定技能評価試験、②日本語試験(日本語能力試験N4程度)の2つの試験に合格しなければなりません。または、技能実習2号を良好に修了した場合であれば試験を受けずに移行することもできます。
特定技能のメリットは基礎的な日本語能力と、建設の知識を持った人材を雇用できる点です。技能実習はあくまで「日本の建設業の技術を習得し母国に移転する」という制度なので、建設業の知識がほとんどない外国人もいます。
特定技能では基礎的な建設業の知識を試験で確認されているため、教える側の負担も軽くなります。
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3-2.技能実習
技能実習とは1993年に「日本で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与する」ことを目的として始まった制度です。つまり、国際協力の推進としての制度です。
技能実習生は労働力として日本に来たわけではなく、技能実習法には、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。
技能実習制度は始まって30年が経っており、新設された特定技能と比較しても、その人数はかなりの差があります。
2022年時点では、建設業界で働く技能実習生は約7万人でした。(特定技能は12,700人)
技能実習生は原則実習先の変更が認められていないため、一度受け入れれば最長5年間働いてくれます。特定技能は転職が認められているため、外国人本人の事情で離職する可能性があります。
技能実習生も国別人数ではベトナムが第一位です。次いで中国、インドネシア、フィリピンが続きます。
3-3.技能
就労系在留資格の1つである「技能」ですが、耳慣れない方も多いのではないでしょうか。
📍在留資格「技能」とは
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動。該当例としては、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等。
建設業において「技能」で雇用できる外国人材は、外国特有の建築の専門的な知識・技能を有し、原則として実務経験が10年以上ある人材です。外国特有の建築とは、例えばヨーロッパのゴシック様式、ロマネスク様式、中国式、韓国式などです。
[出典:JITCO「外国人技能実習制度とは」]
[出典:出入国在留管理庁「在留資格『技能』」]
4.ベトナム人を受け入れる際の注意点
ベトナム人を雇用する際には、受入機関が「在留資格認定証明書交付申請」や、「在留資格変更許可申請」などの手続きを行います。
ここでは手続きの際の注意点を紹介します。
4-1.在留資格を確認する
特定技能で他の機関から転職してきたベトナム人を雇用する際など、日本在住のベトナム人を雇用する際には必ず在留資格が正当なものか確認してください。
在留資格の確認は、面接の際に受け取る在留カードから確認できます。
📍偽造在留カードの見極め方についてはこちらも参考にしてください。
しかし、近年偽造在留カードが増えています。日本国内に偽造の在留カードを製造する業者が増えたことで相場が下がり、現在では1枚あたり1500~7000円と安く作ることができるようになったためです。
本物の在留カードの見分け方は以下の通りです。
・目視で確認する
・出入国在留管理局のWEBサイトを使って確認する
目視の確認基準はこちらを参考にしてください。
現在はホログラムや絵柄まで精巧に作られた偽造在留カードが出回っていますが、目視だけで判断できるものもあります。面接で在留カードを受け取った時に一番に確認してみましょう。
より確実な方法として、出入国在留管理局のWEBサイトでの確認があります。出入国在留管理局では「在留カード等番号失効情報照会」というページがあります。ここに①在留カード等番号と②在留カード等有効期間を入力すれば、失効しているか否かが表示されます。
不法就労の外国人を雇った場合
もし在留カードの確認を怠り、不法滞在(オーバーステイ)の外国人を雇用してしまった場合、雇用した企業も不法就労助長罪で罰せられる可能性があります。
📍不法就労助長罪(入管法第73条の2)
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者
不法就労助長罪は上記のように、外国人に不法就労をさせた、またはあっせんした場合に処罰の対象となりますが、それ以外にも在留カードなどの確認をしない過失があったために、結果的に不法就労を見逃してしまった場合に処罰の対象になることがあります。
雇用主には、雇用前に外国人の身分確認をするという義務があります。その義務を怠って罪に問われないように、在留カードの確認・適切な管理を徹底しなければなりません。
外国人雇用で何かお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
4-2.企業側が提出する書類
建設業界で外国人を雇用する際に提出しなければならない書類が2つあります。
これらは「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」に必要な書類に加えて準備しなければなりません。
「外国人雇用状況の届出」
「外国人雇用状況の届出」とは、国が各事業所の外国人の雇用状況を把握するために、各事業所が提出を義務付けられているものです。
在留資格「外交」、「公用」及び特別永住者を除くすべての外国人の雇入れ・離職の際に提出しなければなりません。届出を怠ったり、虚偽の申告をした際には30万円以下の罰金の対象となります。
提出期限は以下の通りです。
・雇入れの場合:雇入れの翌月10日までに
・離職の場合:離職の翌日から起算して10日以内
様式はこちらの通りです。
届出先は、雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークです。
電子申請も可能です。
雇用保険被保険者の場合は「e-Gov」から、雇用保険被保険者でない場合は「外国人雇用状況届出システム」から申請できます。
「外国人建設就労者等現場入場届出書」
本書類は、「特定技能制度及び建設就労者受入事業に関する下請指導ガイドライン」に基づき、現場管理に責任を持つ元請企業が下請企業に対し確認を行うための書類です。
記載対象となるのは、在留資格「特定技能1号」で、建設分野で従事する外国人のみです。
書類の様式は元請企業によって異なりますが、最も一般的な様式は「全建統一様式第1号―甲―別紙」です。
記載内容は主に以下の通りです。
さらに添付書類が5種類必要です。
パスポート
在留カード
受入企業と外国人建設就労者等との間の雇用条件書
建設キャリアアップシステムカード(登録の義務のあるもののみ)
「外国人建設就労者等現場入場届出書」及び添付書類は、下請企業が元請企業に提出します。
[出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」]
[出典:国土交通省「外国人建設就労者等現場入場届出書」についてのQ&A(令和5年3月31日)」]
5.まとめ
建設分野では、すでに多くの企業や事業所がベトナム人を雇用しています。向上心があり、何事にも責任を持って取り組むベトナム人は、人手不足だけでなく、事業所の様々な問題を解決する足掛かりになるかもしれません。
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