【特定技能】ミャンマー現地からの完全採用マニュアル

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

日本人と国民性が似ていて、控えめで温和、勤勉な性格を持つと言われるミャンマー人。
特定技能として現地から採用してみたいと考えている経営者、人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にミャンマー人を特定技能として採用するにあたり、

  • どのような手続きや流れが必要になるのか
  • どのようなメリット・デメリットがあるのか
  • 採用までにどのくらいの費用がかかるのか

といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
そこで、この記事では、ミャンマーにも学校を有する当校が、ミャンマー人を特定技能として現地から採用する際に知っておきたい手続きの流れやメリット・デメリットなどについて、図解を用いながら分かりやすく解説していきます。

受入前に採用の流れを把握し、疑問を解消しておくことで採用活動がよりスムーズに進みますので、ぜひ最後までご覧ください。

JapanJobSchoolミャンマー校
ミャンマー人採用なら当校におまかせください

ミャンマー現地にも学校があり、現地で6ヶ月〜1年程度の長期日本語教育により、人材の適性や性格の把握・精査をしているため、定着率の高い人材の紹介が可能です。

目次

1.  特定技能で働くミャンマー人の人数

特定技能として日本で就労するミャンマー人は2022年12月末時点で5,956人となり、国籍別では第5位の受入人数を誇っています。

特定技能1号受入人数(2022年12月時点)
参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和4年12月末現在)」

圧倒的な受入人数を誇るベトナムやインドネシアと比較すると少ないように見えますが、特定技能制度が創設された2019年以降、ミャンマー人特定技能外国人の人数は大幅に増加しています。

ミャンマー特定技能外国人受入人数の推移

2019年の受入人数が100人であったのに対し、2022年には約6,000人と3年間で60倍にも急増し、特定技能でのミャンマー人の採用が高い関心を集めていることが伺えます。

2.ミャンマー人採用の将来性

ミャンマーは農業国であるがゆえに大学を卒業しても就職先が少ない上、国内情勢の不安定さから、海外での就労を選択するケースが近年増加しています。

新卒・第2新卒の初任給が月額約133~166ドルと言われ、東南アジアの他国と比較しても賃金水準の低いミャンマーでは、10倍以上の賃金が得られる日本は人気の就労先の1つとなっています。

日本での就労に関心の高いミャンマーは0~14歳までの年少人口、15~64歳までの生産年齢人口の割合が高く、65歳以上の高齢者の割合が非常に低い点が特徴です。

日本とミャンマーの年齢別人口の割合(2019年時点) 日本ミャンマー
年少人口(0~14歳)12.1%27.2%
生産年齢人口(15~64歳)59.5%66.4%
高齢人口(65歳以上)28.4%6.4%
参考:総務省統計局「人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)」
参考:独立行政法人日本貿易振興機構「連載:途上国・新興国の2020年人口センサス 第4回 ミャンマー――揺れる社会の静かな痕跡」

少子高齢化の進む日本とは反対にミャンマーは若年層に人口が集中していることから、今後も長期にわたって若い人材の確保が見込める国として有望視されています。

日本企業のミャンマー進出による影響や治安の良さ、日本のポップカルチャーへの人気の高まりなどから、留学生や実習生として来日するミャンマー人の数も増加しています。

そのため、今後はミャンマー現地からの採用のみならず、日本に在住するミャンマー人の採用も進んでいくと予想されます。

3.ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する流れ

ミャンマー人の特定技能申請では、他国とは異なるミャンマー独自の手続きが必要となるため、受入前に手続き全体の流れを把握しておくと採用活動がスムーズに進みます。

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用するまでには次の7つのステップがあります。

ミャンマーから特定技能外国人を採用するまでの流れ

上記の手順のうち、①求人票の提出⑤海外労働身分証明カード(OWIC)申請はミャンマーのみ必要となる手続きです。

必要な手続きが多いために他国よりも入国までにかかる期間も長くなりますので、ミャンマー人を現地から採用する際は余裕を持って手続きを進めるとよいでしょう。

以下では各ステップでの手続きについて解説していきます。

3-1.求人票の提出

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、ミャンマー政府が認定した送出し機関を通じて手続きを行わなければなりません。

初めにミャンマー政府の認定を受けた送出し機関の中から契約する機関を選定し、契約を締結します。

その後、受入機関が求人票を作成し、送出し機関を通じてミャンマー労働・入国管理・人口省へ提出して審査を受けます。

求人票は「デマンドレター」とも呼ばれています。

3-2.募集・面接

ミャンマー労働・入国管理・人口省による求人票の承認後、送出し機関が候補者の募集を行います。

候補者が集まり次第、面接を実施しますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現時点ではミャンマーへ着陸する国際線の運航が停止とされているため、ミャンマー現地での面接ができません。

そのため、ミャンマー行きの国際線の運航が再開するまではオンラインで面接を実施することになります。

3-3.雇用契約の締結

内定者の確定後、業務内容や賃金、就業場所といった労働条件について本人に確認を行い、本人・受入機関双方の合意が取れたら雇用契約を締結します。

雇用契約書には本人が十分に理解できる言語(母国語または英語)を併記しておくと、入社後の労使トラブルを防ぐことができます。

3-4.在留資格認定証明書交付申請

本人との雇用契約締結後、必要な書類が揃ったら、日本の出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を提出します。

海外にいる外国人を呼び寄せる場合は、原則として受入機関の職員が本社住所を管轄する出入国在留管理局に出向いて申請を行います。

出入国在留管理局へ出向くことが難しい場合、オンラインシステムを利用した申請や申請等取次者の資格を持つ行政書士などに申請取次を依頼するといった方法も可能です。

3-5. 海外労働身分証明カード(OWIC)申請

出入国在留管理局での審査が終了し、在留資格認定証明書(COE)が交付されたら、在留資格認定証明書の原本を本人宛に送付します。

在留資格認定証明書の受け取り後、本人がミャンマー労働・入国管理・人口省に海外労働身分証明カード発行の申請を行います。

海外労働身分証明カードは「スマートカード」とも呼ばれています。

3-6.査証申請

海外労働身分証明カード(スマートカード)の発行後、本人が大使館や領事館などの在外公館にて査証の申請を行います。

3-7.日本へ入国

海外労働身分証明カード(スマートカード)と査証が交付されると日本への入国ができます。

日本に入国後、到着した空港で在留カードが発行され、この日から特定技能として就労することが可能となります。

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ミャンマー現地にも学校があり、現地で6ヶ月〜1年程度の長期日本語教育により、人材の適性や性格の把握・精査をしているため、定着率の高い人材の紹介が可能です。

4.採用までに発生する費用

ミャンマー人を現地から特定技能として採用するまでには一般的に以下の費用がかかります。

 費用相場
特定技能外国人の紹介費用 ※登録支援機関や民間職業紹介機関に依頼した場合1人あたり10~60万円
特定技能協議会加入費用加入する協議会により異なる
出入国在留管理局への申請代行費用1申請あたり10~20万円
送出し機関手数料1人あたり約20万円(1,500ドル相当)
登録支援機関への支援委託料
※登録支援機関に支援業務の一部または全部を委託した場合
1人あたり月額1万5千円~3万円
入国時の渡航費時期や航空会社によって異なる
住居の手配にかかる費用(敷金、礼金等)物件により異なる

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、必ず送出し機関を通じて手続きを行うため、送出し機関へ支払う手数料が発生します。

また、送出し機関の他に特定技能外国人の採用に関わる機関として「登録支援機関」を利用するケースもあります。

特定技能外国人の受入前や受入期間中にはさまざまな支援業務を行う必要がありますが、自社ですべての支援を実施できない場合は、登録支援機関に支援業務の一部または全部を委託することが可能です。

登録支援機関へ支払う支援委託料は登録支援機関によって大きく異なり、さまざまな料金体系が存在します。そのため、支援業務の委託を検討している場合は複数機関で相見積もりを取り、どのようなサービスにいくらかかるのかを事前に確認しておくことが重要です。

出入国在留管理局の許可が下り、本国での海外労働身分証明カード(スマートカード)と査証が発行されると入国時の航空券と住居の手配が必要となります。

入国時の渡航費と敷金・礼金といった住居の手配にかかる初期費用の負担は義務ではありませんが、特定技能外国人の負担を考慮し、受入機関が負担するケースが多くなっています。

5.ミャンマー現地採用のメリット・デメリット

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する際にはメリットがある一方、デメリットも存在します。

日本に在住するミャンマー人を採用する方法とは異なり、特定技能外国人を現地から採用するまでには多くの費用や時間、手間がかかります。

採用活動開始後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、採用活動を開始する前にミャンマー現地からの採用のメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。

5-1.ミャンマー現地採用のメリット

ミャンマー現地からの採用には主に以下のようなメリットがあります。

  • 豊富な候補者の中から選定できる
  • 定着率の高い人材の採用ができる

5-1-1.豊富な候補者の中から選定できる

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、日本国内に在住するミャンマー人の中から選定するよりも豊富な候補者の中から選定できます。

日本での在留経験がある元留学生や元実習生の他、日本での就労を希望していて特定技能の試験にすでに合格している方や試験合格を目指して準備している方も多く、幅広い候補者の中から自社が求める人材を採用できる点はメリットと言えるでしょう。

定着率の高い人材の採用ができる

ミャンマー現地からの採用の場合、日本在住外国人の採用と比べて、定着率が高い傾向があります。この理由としては、日本の就職・転職の情報を得て、自力で転職活動ができるまでに時間を要することが挙げられます。

松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

当校の場合、ミャンマーにも学校を持っています。現地で6ヶ月〜1年程度の長期日本語教育を受け、人材の適性や性格の把握・精査をしているため、定着率の高い人材の紹介が可能です。

5-2.ミャンマー現地採用のデメリット

ミャンマー現地からの採用には主に以下のようなデメリットがあります。

  • 採用までの時間と費用がかかる
  • 対面での面接のハードルが高い

5-2-1.採用までの時間と費用がかかる

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、求人票の審査や海外労働身分証明カード(スマートカード)の発行など、現地から呼び寄せる場合にのみ必要となる手続きが発生するため、日本に在住するミャンマー人を採用するケースよりも入社までにかかる期間が長くなります。

また、送出し機関への手数料や入国時の渡航費など、日本に在住するミャンマー人を採用する際にはかからない費用も発生します。

松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

ミャンマー国内では、特定技能に関してのルールも日々変わります。そのため、急な制度変更により、通常よりも時間がかかることがあります。

5-2-2.対面での面接のハードルが高い

日本に在住するミャンマー人を採用する場合は対面での面接を比較的行いやすいですが、ミャンマーに在住する人材を呼び寄せる場合は時間や費用の面でハードルが高くなります。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現時点ではミャンマーを訪問し、対面での面接を実施することはできません。

しかし、今後ミャンマーへの入国が再開した際に、実際に会って候補者の雰囲気や立ち振る舞いを確認したいと考える企業にとって対面での面接が実施しにくい点はデメリットとなるでしょう。

6.ミャンマー現地から採用する際の注意点

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、他国にはない独自の手続きやルールに注意が必要です。

ここでは特に注意が必要な2つのポイントについてご説明します。

6-1.送出し機関を通じた手続きが必須

ミャンマー現地から特定技能外国人を採用する場合、ミャンマー政府の認定を受けた送出し機関を通じて手続きを行わなければなりません。

そのため、ミャンマー人を特定技能として受け入れたい場合には、初めに送出し機関と契約する必要があります。

ミャンマー政府に特定技能外国人の取り扱いを認められた送出し機関は出入国在留管理庁が公表する認定送出し機関のリストから確認ができます。

登録支援機関に支援業務を委託する場合は、登録支援機関と取引のある送出し機関を紹介してもらええるため、自社で送出し機関を探す必要はありません。

6-2.日本での就労には海外労働身分証明カードが必要

ミャンマー人が日本で就労するためには、海外労働身分証明カード(スマートカード)を取得する必要があります。

日本の出入国在留管理局で在留資格認定証明書が交付された後に、本人が本国の労働・入国管理・人口省に海外労働身分証明カード(スマートカード)の申請を行います。

海外労働身分証明カード(スマートカード)の発行までには1~2ヶ月かかると言われているため、ミャンマー人を現地から採用する際は余裕を持った採用スケジュールを組むようにしましょう。

松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)

以前は、4~5ヶ月かかっていましたが、最近は1ヶ月程度で出ているようです。しかし、ミャンマーは未だ政情不安定なため、状況が変わることもあります。

7.よくある質問

最後に、ミャンマー人を特定技能として採用する際によくある質問をまとめました。

このほかのご質問やミャンマー人の採用に関するご相談も承っていますので、興味のある方はお気軽にお問合せください。

ミャンマー人にはどのような特徴がありますか?

国民の多くが仏教徒のため、人のためになることをする、困っている人がいれば助けるといった習慣が根付いています。

そのため、勤勉で忍耐力があり、日本では希望者の少ない介護や農業といった厳しい労働環境の仕事を希望する若者も多いと言われています。

ミャンマー人の日本語能力は?

ミャンマーでの外国語教育は英語が一般的なため、ミャンマー人の多くが日本語を話せません。

しかし、日本語とミャンマー語の文法は似ており、発音にも似ているものが多いため、東南アジアの他国と比べてミャンマー人は日本語の習得が早いと言われています。実際に当校に通うミャンマー人も発音は言い方が多いです。

特定技能を希望するミャンマー人に人気の職種は?

農業国であることやボランティア精神の高い国民性から、他国と比べて農業や介護職を希望する方も多いです。

上記の他、飲食料品製造業、外食業、ビルクリーニング、建設分野においても多くのミャンマー人が特定技能として就労しています。

ただし、現在ミャンマー国内での特定技能試験は介護・外食・農業の3業種のみです。国内で受けることができない業種を希望する場合、隣国のタイなどで試験を受けることもあります。

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和4年12月末現在)第1表」

ミャンマー人を採用する際に配慮すべき点は?

親や目上の人の言うことには従い、争いごとを極力避ける穏やかな国民性から、ミャンマー人は家庭内や学校、職場などで人から叱られるといった経験があまりありません。

日本では大したことがないと思われるような注意や叱責でも、ミャンマー人にとってはひどくプライドを傷つけられたと感じることもあるため、注意の仕方には気を付ける必要があります。

また、自己主張が少なく、嫌なことがあっても我慢してしまう傾向にあるため、こちらが気づかぬうちに不満やストレスを抱え込んでしまうこともあります。

そのため、日頃からコミュニケーションの機会を増やし、相談しやすい環境作りを心掛けることも大切です。

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ミャンマー現地にも学校があり、現地で6ヶ月〜1年程度の長期日本語教育により、人材の適性や性格の把握・精査をしているため、定着率の高い人材の紹介が可能です。

8.まとめ

歴史的な背景から日本と深い結びつきを持ち、親日国とされるミャンマー。

親や年上の人を敬い、控えめで勤勉といった国民性が日本人とよく似ているため、日本の生活や職場にも馴染みやすい点は、働く側にとっても採用する側にとっても大きなメリットになると言えるでしょう。

しかし、ミャンマー現地から特定技能外国人を採用するためには、日本に在住するミャンマー人を採用するよりも煩雑な手続きが求められ、多くの手間や時間を要します。

そのようなミャンマー現地からの採用活動を進める際には、豊富なノウハウや経験を持つ外国人雇用のプロに相談すると安心です。

当スクールではミャンマー現地にも学校を有しており、ミャンマー人採用に強いのが特徴です。ミャンマー現地からの採用を検討している方や具体的な特定技能申請の方法などについて知りたい方はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

年間300名以上の卒業生を輩出するJapanJobSchoolの代表。
「日本人と外国人がお互いに一緒に働けてよかったと思える」課題を掲げ、
外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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