外国人採用の面接|担当者が知るべき注意点・質問例の決定版!

執筆者:松本(JapanJobSchool 講師兼就職支援室長)
日本で働く外国人数は230万人を超え、過去最多を更新し続けています。
採用面接で自社にマッチする人材かを確かめるためにどんな質問をしたらよいのか、逆に差別にならないための配慮としてどのようなことをしたらよいのか、悩んでいる採用担当の方も多いのではないでしょうか。
年間200件以上の外国人の面接に同席している筆者から、これから外国人採用をお考えの方、および既に外国人採用をされている方にも、本記事で面接での注意点やよりよい面接方法のご提案ができたらと思います。
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外国人採用面接質問シート

1. 外国人採用面接|押さえておきたい確認事項

まずは外国人との採用面接で聞くべき質問項目とその意図を解説します。
注意点として、曖昧な質問をしないことが挙げられます。
例えば「○○ですけど、大丈夫ですか?」という質問ですと、質問の内容が分からなくても「大丈夫です」と答えてしまいます。
「○○はできますか」という質問も、もちろん外国人は面接に受かりたいので「はい、できます」と答えます。
なるべく外国人に文章で話させるような形の聞き方がいいでしょう。
1-1. 在留資格・在留期間
外国人を採用する際、まず確認しておきたいのが在留資格(ビザの種類)と在留期間です。
在留資格によって、日本で働ける仕事内容や条件が法律で定められており、在留期間が短い場合は長期的な雇用計画にも影響します。面接時には、書類上の確認だけでなく、本人に具体的に質問して把握することが大切です。
外国人をホワイトカラーの職で採用するときに最も一般的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」(略して 技人国 ともいう)です。
エンジニア、デザイナー、通訳・翻訳、営業などの職種で働くことができます。
在留期間は通常1年・3年・5年のいずれかで、資格更新が可能です。
▼技術・人文知識・国際業務については、こちらの記事も参考にしてください

特定技能は、建設、介護、宿泊業など、人手不足分野に限定された就労ビザです。
在留期間は1年・6か月・4か月で、一定の条件を満たせば更新可能です。
ただし、特定技能1号の在留期間は通算5年なので、過去の特定技能1号での勤務期間も確認しましょう。
もし、過去に特定技能1号で就労したことがある場合、過去の就労期間と合算して5年以内となります。
▼特定技能の在留期間については、こちらの記事も参考にしてください。

1-2. 一時帰国の希望
そんなに頻繁に帰国する人は飛行機代等の金銭的な理由であまり多くありませんが、一度帰国したらなるべく長く母国で過ごしたい、と考える方が多いです
せっかく雇用した従業員が繁忙期に一時帰国してしまっては、結局現場の人手不足は解消されません。
外国人の一時帰国の希望時期と会社の繁忙期が重なっていないか確認する必要があります。
もし会社の繫忙期と一時帰国の希望時期が重なっていた場合には、一時帰国の時期をずらすことができないか聞いてみましょう。
▼特定技能外国人の一時帰国について、こちらの記事もご覧ください

1-3. 残業の希望
外国人労働者の来日理由の中に「母国よりお金が稼げるから」ということが入っている方が多いです。
そのため、残業したくない方より、残業してたくさん稼ぎたい方のほうが多いです。
確認の仕方としては、「残業は1日何時間可能ですか」「月に何時間程度の残業なら対応できますか」といった具体的な質問を行いましょう。
「残業はできますか」という単純な質問には、もちろん「はい、できます」と答えるため、こちらが望む回答はもらえません。
1-4. 母国への仕送り予定
母国への仕送りがある場合、給与や手当の希望に影響することがあります。
面接では「仕送りを予定していますか」・「どのくらいの頻度で送金を予定していますか」と聞き、生活状況や金銭面の条件も把握しておくと、金銭面でのトラブル防止に繋がります。
給与に対して仕送り金額の割合が多いと、離職やお給料アップを求めてくる可能性があります。
▼国外に仕送りしている場合の扶養控除は?

1-5. キャリアプランの希望|日本でどれくらい長く働きたいか
将来のキャリアプランをより具体的に聞いておくと、企業側が外国人に適切なサポートをしたり、研修計画を立てやすくなるでしょう。
また、若い人の場合は結婚などライフステージが変わることで、数年以内に離職すること可能性を考えていることもあります。
「日本でどのくらいの期間働きたいですか」と聞いて、どのくらい先までこの企業で働くことをイメージしているのかを把握しておくことも必要です。
講師|松本ただ、当然、現段階でイメージをしているだけという方も多くいますので、3年で帰国を予定していた方が5,6年働いているケースもありますし、逆もまた然りです。


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2. 外国人採用面接 質問例
ここでは、今すぐに採用面接で使える質問例をご紹介します。
2-1. 今すぐに使える【採用面接 質問例】
質問は、聞きたい内容によって以下の3種類に分けられます。
- 来日した経緯・動機を確認する質問
- 能力や価値観、強みを確認する質問
- 将来のキャリアや働き方の希望を確認する質問
| 来日した経緯・動機を確認する質問例 |
| ・自己紹介をお願いします ・日本へ興味を持ったきっかけを教えてください ・日本へ留学したいと思った理由は何ですか ・留学後、日本で働き続けたいと思ったのはなぜですか ・日本語を勉強して何年くらい経ちますか |
「日本に興味をもったきっかけ」や、「日本で働きたいと思った理由」については、「母国より日本の方が経済が発展していて、稼げるから」といった表面的な回答に留まってしまう人も多いです。
なぜ同じ東アジアの韓国や中国ではなく日本を選んだのか、経済的な発展度合いで見ればアメリカの方がいいはずなのにどうして日本を選んだのか、などさらに深掘りする質問をすることで、本人の内在的な動機にまでたどり着くことができるでしょう。
| 能力や価値観、強みを確認する質問例 |
| ・専門的に学んできた学問の内容を教えてください ・これまではどんな業界で、どんな職種に取り組んできましたか ・仕事をするときにどんなことを心がけていますか ・仕事や学業で困難な状況に直面したとき、どのように対処しましたか ・その経験からどんな学びを得ましたかあなたの強み・弱みを教えてください ・ストレス解消はどのようにしていますか |
これまで取り組んできた業務内容を聞くことで、企業が求人を出しているポジションに合う人材か確認することができます。
さらに、困難を乗り越えた経験やストレス解消の方法を聞くことで、日本企業のやり方に適応できるか、日本人との協働に問題はなさそうか確認しましょう。
| 将来のキャリアや働き方の希望を確認する質問 |
| ・弊社の求人に応募した理由を教えてください ・入社後、どのような仕事に挑戦したいですか ・3年後、5年後のキャリアプランはどのように考えていますか ・休日出勤・残業についてはどのように考えていますか ・週何時間程度残業が可能ですか ・何年後まで日本で働きたいと考えていますか ・日本で働いた後、その経験をどのように活かしていこうと考えていますか |
志望動機だけでなく、3年後・5年後のキャリアプランを聞くことで、応募者が企業でどのように活躍したいかを把握することができます。
2-2. 質問は【過去→現在→未来】の順で
質問は
- 日本で働きたいと思った経緯・これまでに経験した業界・職種(過去)
- 過去の困難を乗り越えて得た学び・強みや弱み(現在)
- 志望動機・将来のキャリアプラン(未来)
この流れで行うといいでしょう。
「過去の困難を乗り越えて得た学び(現在)」の部分で、過去の職種について触れられる可能性が高いです。その時は過去の経験とその時の本人の考えをさらに深掘りしましょう。
3. 外国人採用面接でのNG質問
続いて、逆に外国人の採用面接で尋ねると不信感につながってしまう質問を紹介します。
基本的には日本人の面接と同じですが、文化差によってタブーになる質問もあるため、細心の注意を払ってください。
こちらは厚生労働省が公表している公正な採用選考の基本です。
こちらも必ずご確認ください。
3-1. 本人に責任のない事項
・本籍・出生地に関すること(注:「戸籍謄本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
本人が自分の意思で変えることができない、又はできなかった事項を面接で質問し、選考のための情報とすることは、応募者の基本的人権を侵害する可能性があります。
公正な採用選考を行うためには、家族や生活環境に関することなどを、応募用紙に記入させて把握することもしてはいけません。
把握してしまえば、差別するつもりがなかったとしても、無意識のうちにバイアスをかけてしまい採否決定に影響を及ぼしてしまいます。
加えて、個人情報保護の観点からも社会的差別の原因となる上記事項を収集することは原則として認められていません。
3-2. 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条などに関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
これらは個人の思想や信条、価値観に深く関わる事項であり、本来は本人の自由に委ねられるべきものです。
採用活動においてこれらを質問したり、評価材料として用いたりすると、本人の能力や適性とは無関係な理由で不利益な取り扱いをすることにつながりかねません。
また、支持政党や人生観、尊敬する人物、購読している書籍などは、業務遂行能力とは直接関係がない情報です。これらを面接で確認することは、応募者に心理的な圧迫感を与えるだけでなく、差別的な選考と受け取られるリスクがあります。
「業務との直接的な関連性が説明できない質問は、原則として行わない」という視点を持つことが重要です。
3-3. 人種・国籍・宗教に関する偏見を含む質問
・宗教に関すること
・人種・国籍・両親のルーツに関すること
外国人を雇用する際、宗教について配慮が必要だと感じる企業は少なくありません。
ただし、日本では信仰の自由が保障されており、宗教に関する質問が採用・不採用に影響することは認められていません。そのため、宗教そのものを評価や判断材料として聞くことは避ける必要があります。



一方で、外国人が日本で生活し、日本人従業員と一緒に働く以上、業務や生活に直接関わる範囲での確認が必要になる場合もあります。
日本では宗教に対する理解が十分でない人も多いため、あらかじめ相互理解を深めておくことが重要です。
例えば、「お客様にベトナム人の方が多いのですが、ベトナム語は話せますか」や、「勤務日は賄いを用意していますが、宗教上食べられないものはありますか」といった質問は、業務や職場環境を円滑にするために必要な確認と言えます。
このような質問をする際は、宗教や生活信条によって採用の可否を決めることは一切ないことを明確に伝えたうえで、なぜその質問をしているのかという意図を必ず説明するようにしましょう。
4. 外国人採用面接での注意事項
最近は外国人の方たちの中でも「どんな仕事でもいいから働きたい。」というのは少数派で、大体の求職者が複数の企業で面接を受け、最も条件が良い・自分にあった職場を探しています。
また、企業ごとの面接の様子・質問内容は外国人コミュニティーで頻繁に情報交換がされています。
この章では、複数の企業の中から自社を選んでもらうための留意点を紹介します。
・あいまいな聞き方はしない
・簡単な日本語での質問を心がける
・メリットだけでなくデメリットも伝える
・合否はできるだけ早く伝える
それぞれ詳しく説明します。
4-1. あいまいな聞き方はしない
外国人が質問の意図を理解しにくい質問や、「とりあえず「はい」って答えておけばいい」と考えられる質問はなるべく避けましょう。
例えば、「残業できますか?」のようなイエス・ノーで答えられる質問よりも、「一日何時間残業することができますか?」のような、具体的な数字や内容を述べる質問の方が、外国人の意見を聞くことができますし、日本語力を判断する材料ともなります。
4-2. 簡単な日本語での質問を心がける
日本語力を測る試験でない限り面接は分かりやすい日本語で行った方が、外国人の考え方をしっかり理解できます。
例えば「なぜ日本で働きたいと思いましたか?」という質問を、「日本に来たきっかけは何ですか?」や「日本に来た経緯を教えてください。」と尋ねてしまうと、外国人は質問の意図が分からなく、自分の意見を正確に伝えることができなくなってしまいます。
企業様によっては、日本人と同等の日本語能力を求めるので答えてもらわないと困る、といったケースもありますが、もう少し外国人の方たちがどんな考えなのか、分かりやすい日本語で聞き出してあげるのがいいと思います。
▼外国人が受けている日本語教育を知ることで、面接で話す日本語レベルがわかります。


4-3. メリットだけでなくデメリットも伝える
企業で働くことのメリットだけでなく、外国人の離職に繋がりそうなデメリットは面接の時点で必ず伝えるようにしましょう。
例えば、
- 周辺環境が田舎
- 重い荷物を運ぶ仕事がある
- 夜勤がある
- 繁忙期には一時帰国は避けてもらいたい
などです。
面接をして採用しても、すぐに辞めてしまっては、採用に使った経費が無駄になってしまいます。
そのため、デメリットは必ず伝え、外国人側の不安も面接でなるべく解消できるといいでしょう。
4-4. 合否はできるだけ早く伝える
面接の合否はなるべく早く伝えましょう。
求職中の外国人は複数の企業の選考に応募している可能性が高く、先に合否がわかった会社に就職するというケースも少なくありません。
面接時に「○日までに面接の結果をお知らせします。」というように、合否発表の期限を伝えると、外国人側にも親切です。
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5. まとめ
外国人の面接について繰り返しになりますが、「曖昧な表現」をせずに相手のわかる言葉で伝える、といったことが一番大切になります。
我々日本人は曖昧な表現に慣れすぎてしまって、「このくらいは言わなくてもわかるでしょう」と相手に委ねがちです。外国人にその日本人の常識は通用せず、トラブルの原因となってしまいます。
これから外国人と一緒に働いていくと決めた企業であればこそ、今ある常識を変えていく必要があると感じています。





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