ミャンマー人は帰国困難!緊急避難措置の特定活動はいつまで?│ 在留資格変更手続きと難民認定について解説

執筆者:金子(株式会社JJS 外国人採用コンサルタント)

ミャンマーでは2021年に発生したクーデターにより、現在でも情勢不安が続いています。

軍や警察からの発砲・暴力による一般市民の死亡者数は、4,400人以上で約2万人を拘束中との報告も。日本には、母国に帰れないミャンマー人が大勢いる状況です。

この記事では、帰国困難なミャンマー人への緊急避難措置と難民認定について解説しました。在留資格を延長する方法として、「特定活動」の申請方法や必要書類も説明しています。日本への在留を希望するミャンマー人、または受け入れ機関は本記事を参考にしてください。

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目次

1.ミャンマーの現状

※出典:ミャンマー危険・スポット・広域情報(2024年04月02日時点)

1-1.2021年にクーデタ発生

2021年2月1日、ミャンマーでは残念ながら軍事クーデターが発生しました。総選挙に不正があったとして、軍は民政移管を進めていた国家顧問の「アウン・サン・スー・チー」を拘束。不法に政権を握り「アウン・サン・スー・チー」の代わりに、ミャンマー国軍総司令官のミン・アウン・フラインが事実上の国家指導者になりました。

司法を含むすべての権力が、国軍総司令官に委ねられています。国軍や警察による発砲・暴力により、一般市民の死亡・負傷も報告されました。ミャンマーの人権団体によると、クーデターによる一般市民の死亡者数は、4,400人以上で約2万人が拘束されています。

このクーデタの結果、多くのミャンマー人が日本での生活を余儀なくされました。

1-2.2024年も不安定な情勢が続く

軍事クーデターが発生してから3年が経過しました。民主派勢力が掌握した地域では、クーデター以前の日常生活を取り戻そうという動きも見られます。

国軍に抗議するデモが全土で続いており、特に若者たちの間で「フラッシュモブ」(インターネットでの連絡を通じて集まる、ゲリラ的デモ)がありました。これらの動きから、ミャンマー国内の人々の抵抗の意思は強いことが伺えます。このような状況下で、日本に在留しているミャンマー人が母国に帰り、生活を続けるのは困難でしょう。

※参考:NHK

2.ミャンマー人への緊急避難措置(ミャンマー特活)

ミャンマーにおける政治的な混乱を受けて、日本政府は在日ミャンマー人に対して特別な措置を講じています。これは「緊急避難措置」と呼ばれ、ミャンマー人が日本での在留および就労を続けるための措置です。

具体的には、ミャンマー人が日本での在留を希望する場合、在留資格「特定活動」を付与して、一定の就労が許可されます。「ミャンマー特活」とも呼ばれ、原則として1年間有効です。今後もミャンマーの情勢が改善されない場合は更新できると、日本の出入国在留管理庁の公式ページでも記載されています。

難民認定申請者も、緊急避難措置が適用されます。認定を受けるにあたって「難民」の妥当性に関わらず、在留や就労を認めるとしています。

緊急避難措置は、ミャンマーの混乱した情勢に考慮し、安心して日本で生活を続けられるようにするためのものです。

※参考:本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置|出入国在留管理庁

3.特定活動(告示・告示外)とは

特定活動は、日本の在留資格のひとつです。他のビザに当てはまらない活動を許可するのが目的で、種類は多岐にわたります。「告示特定活動」「告示外特定活動」があり、ミャンマー人に付与されるのは後者です。

3-1.告示特定活動とは

告示特定活動は、法務省が定めた特定活動を指し、46種類の特定活動が存在します。例を挙げると「ワーキングホリデー」「インターンシップ」「EPAフィリピン人介護福祉士候補研修生(雇用)」です。告示特定活動の要件はそれぞれ異なり、定期的に見直しもされています。

3-2.告示外特定活動とは

告示外特定活動は、既存の制度では対応しきれない個別の事情に応じたビザです。例えば、留学生が卒業後に取り組む就職活動や起業準備の期間をサポートしたり、高齢の親を日本で扶養するために呼び寄せたり、人道上の理由が該当します。

告示外特定活動の要件・在留期間

※参考:本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置

※自己の責めに帰すべき事情(責められるべき理由や落ち度、過失)

告示外特定活動の要件や在留期間は、個々の事情に応じて審査します。ミャンマー人に対する要件は現在所有している在留資格が満了しているケースで、「最長1年」在留および就労が許可されている状況です。

現在所有している在留資格が満了していない場合でも、適正な在留をしていると認められれば、最長1年在留および就労を許可されます。ただし刑罰法令違反や入管法(出入国管理及び難民認定法)令違反をした場合、対象外です。

※上記は、2024年5月現在の情報です。

特定活動については、以下でも詳しく解説しました。ぜひご覧ください!

4.帰国困難による在留資格変更の申請方法

情勢不安により帰国困難なミャンマー人は、在留資格「特定活動」の申請により在留期間を延長できます。そのためには、在留資格の変更・更新手続きが必要です。難民申請も受け付けていますが、特定活動のみでも在留期間を延長できる状況です。

なお更新の申請は、何度もできる状況で在留期間も6か月、1年とケースによります。必要書類や申請先、申請にかかる期間は以下のとおりです。

必要書類

主な提出書類は、以下の3つです。

 1.在留資格変更許可申請書または在留期間更新許可申請書
 2.パスポートの写し(出入国印がある)
 3.理由書

※出典:本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置|出入国在留管理庁

上記の書類は、出入国在留管理庁のページで入手できます。

申請書は在留資格を変更するのか、更新するのかによって書類が異なります。パスポートの写しは、対象者であるかを確認するため出入国印のページも提出しましょう。理由書に記載するのは、国籍はミャンマーにあるか、就労を希望するか、在留資格は満了しているかといった内容です。

申請先

お住いの地域を管轄している地方出入国在留管理局

申請にかかる期間

2週間~1か月

情勢不安による特別な措置のため、申請にかかる期間を断言できません。申請状況を知りたいときは、出入国在留管理局に問い合わせると安心です。

Japan Job Schoolでは在留資格変更や更新手続きのサポートも行っております。
ご気軽にお問い合わせください。

5.ミャンマー人の難民認定

日本ではミャンマーの情勢不安に考慮して、緊急避難措置だけでなく難民制度でもミャンマー人を受け入れています。緊急避難措置と難民認定では、付与される在留の条件も異なるため、確認しておくと選択肢が広がるでしょう。

5-1.難民ビザ・難民認定とは

難民認定とは、特定の理由により自国に帰ることができない、または帰ることを望まない外国人が、保護を受ける制度です。日本では、1982年に開始した制度で、難民認定申請を行った外国人は、法務大臣から難民であるとの認定を受けられます。

難民とは、人種、宗教、国籍、政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがある者です。自国の保護を受けられないまたは、それを望まない者とされています。

難民ビザ・難民認定については、以下で詳しく解説しました。ぜひご覧ください!

5-2.難民認定者の推移

※出典:令和4年における難民認定者数等について |法務省

令和4年における難民認定申請者数は3,772人で、そのうちミャンマー人は298人と4番目に多い国籍です。前年の612人に比べて、ミャンマー人の割合は51.3%減少しました。いずれにしても、難民の割合は多い傾向にあります。

「人道配慮」による在留を認められたミャンマー人は、1,682人でした。これは国籍の分類でも一番多い割合で、2021年に起きたクーデターが影響しているとわかります。

5-3.難民認定されるとどうなる?

ミャンマー人が難民認定を受けると、以下の権利や利益が得られます。

①在留資格「定住者」が付与される
②永住権が取得しやすくなる
③日本への出入国が容易になる
④日本人と同様の公的支援・サービスが受けられる

定住権を得るには、本来「日系3世」「日本人の配偶者がいる」といった要件を満たしている必要があります。しかし要件に関わらず定住権を得られるのが、難民認定された外国人です。永住権に関しても収入や技能に関する要件が緩和されます。

難民認定を受けると、「難民旅行証明書」が交付されます。本証明書を所持していると、有効期限の間は何度でも日本から出国し、再度入国もできます。

難民条約は、日本国民と同等の待遇を受けられるとされており、国民年金や福祉手当、児童扶養手当なども受給資格が得られる制度です。

※参考:就労制限の対象となる難民認定申請者について
※参考:難民認定制度|出入国在留管理庁

6.今後ミャンマー人への緊急措置と在留許可

情勢不安が続いているため、ミャンマー人への緊急避難措置は2022年4月1日から改訂されました。改訂後、在留期間を最長6か月から「最長1年」としています。

自己の責めに帰すべき事情(責められるべき理由や落ち度、過失)により、在留期間を満了しなかった場合でも、1年間刑罰や入管法(出入国管理及び難民認定法)に違反していなければ最長1年在留および就労が認められるようになりました。

今後ミャンマー人への緊急措置や在留許可がどのように変化するのかは、はっきりしていません。ミャンマーの情勢により日本での対応は、変わるでしょう。ミャンマー人本人、または受け入れ機関は情勢や措置の動向をチェックして、必要に応じて対処することが重要です。

7.まとめ

帰国困難かつ日本への在留を希望するミャンマー人または受け入れ機関は、在留資格の変更・更新申請が必要です。必要書類を用意して、管轄の地方出入国在留管理局にて申請しましょう。

ミャンマー人は母国の情勢不安により、いつまで日本で働けるのか、いつになったら帰れるのか気持ちも落ち着かないかと思います。雇用主である企業様も、今後の対応に困っているかもしれません。

必要書類の準備・書き方・提出方法や更新申請などにご不明な点がございましたら、
弊社Japan Job Schoolがサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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