【最新版】日本にいる特定技能在留外国人数とその推移とは
出入国在留管理庁のデータを基に作成
飲食や介護、建設などの特定産業分野で働くことのできる特定技能ビザを取得している外国人はコロナ禍以降、大幅に増えています。
2023年12月末で、日本にいる特定技能外国人の人数は20万8462人となりました。
これはコロナ当初の2021年の同時期と比較すると約4倍も増えていることになります。
この記事では最新のデータである「特定技能制度運用状況(令和5年12月末)」を基に、日本にいる特定技能外国人数とその推移をグラフを使って分かりやすく解説します。
特定技能外国人の採用を考えていて、特定技能外国人についての分かりやすいデータをお探しの方はぜひ最後までお読みください。
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1.特定技能とは
「特定技能」とは、外国人が日本に滞在できる資格である在留資格の1つです。人手不足が特に深刻な特定産業分野で、外国人を正社員として雇用できる在留資格です。
外国人が在留資格「特定技能」を取得するには2種類の試験に合格する必要があります。
- 特定産業分野の試験
※ただし、特定技能1号との関連性が認められる分野の技能実習2号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。
- 日本語試験(日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストA2以上が必要です。)
特定技能1号の採用の流れについてはこちらの記事も参考にしてください。
特定技能の日本語試験に関する内容はこちらの記事を参考にしてください。
1-1. 「特定技能2号」について
在留資格「特定技能」には1号と2号が存在します。
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
在留期間 | 通算5年まで | 無期限 |
家族帯同 | 不可 | 可能(配偶者・子) |
必要とされる技能 | 特定産業分野の試験に合格している (又は、技能実習2号を良好に修了している) | 特定技能2号試験に合格し、さらに監督者として一定の業務経験を積んでいる |
対象分野 | 12分野 (介護、ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業) | 介護を除く11分野 |
支援の有無 | 受け入れ機関、または登録支援機関による支援が必要 | 支援の必要が無し |
特定技能2号を取得すると、永続的に従事可能です。さらに家族帯同も許可されるので、長期で働いてくれて、離職の可能性が少ない外国人を採用できます。
1-2. 特定技能には受け入れ人数枠は存在しない
特定技能には、受け入れ見込人数という分野全体での受け入れの目安人数は存在しますが、結論を言うと、一企業や一事業所内での受け入れ上限人数は存在しません。
ただし、「介護」と「建設」分野に関しては受け入れ人数に制限がある場合があり、たくさんの外国人を働かせられないケースもあります。
特定技能外国人の受け入れ人数制限の詳細については、こちらで紹介しています。
技能実習では常勤職員数によって受け入れ人数枠が存在しますが、特定技能では適切な対応ができる範囲で外国人従業員を雇用することが可能です。
2.【最新版】特定技能在留外国人の人数の推移
2019年6月に始まった特定技能は、コロナ禍以降急激に人数を伸ばしています。
政府が初年度(2019年)に想定した、5年間の合計受け入れ人数は約30万人でした。コロナ禍で入国が制限されたこともあり、想定の受け入れ人数には達しませんでした。また、2020年までは国内にいる外国人が他の在留資格(技能実習など)から移行して、特定技能ビザを取得していました。
しかし2022年以降は、海外からの上陸時に「特定技能」の許可を得る外国人が増えています。つまり、他のビザからの移行ではなく、日本在留当初から特定技能ビザで在留する外国人が増加しているということです。
特定技能の対象分野が拡大される(自動車運送・林業・鉄道・木材産業)こともあり、今後も特定技能外国人の数は増加していくと予想されています。
特定技能の新分野についてはこちらも参考にしてください。
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3.【分野別】特定技能在留外国人数と変化
最も人数が多いのが「飲食料品製造業」です。
この分野は、飲食料品(酒類を除く)の製造、加工、安全衛生などの飲食料品を製造する過程全般について従事する分野です。
日本語学校や専門学校在学中に飲食料品製造業の会社でアルバイトをする留学生も多いです。そのため、留学生が卒業後に正社員として雇用されることが多く、特定技能の人数も増えていると思われます。
次いで「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」、「介護」、「建設」が続きます。「農業」は人数自体は増えていますが、2021年度末から占める割合は減少しています。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は「素形材産業分野」、「産業機械製造分野」、「電気・電子情報関連製造業分野」の3つの分野が統合してできた分野で、対象業種もかなり広いです。高度な日本語のスキルを求められることが少なく、未経験でも始めやすい、さらに続ければ専門的な知識も得られるという点で外国人から人気があります。
介護・建築分野は人手不足の深刻さが顕著になっている分野の1つです。
2024年4月から5年間の受け入れ見込数も他の分野と比べても多いです。(介護は135,000人、建築は80,000人)今後も引き続き、大きな割合を占める分野となりそうです。
[出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)」
4.【国籍別】特定技能在留外国人数と変化
特定技能で在留する外国人の半数以上がベトナム国籍です。次いでインドネシア、フィリピン、中国など東南アジアと東アジアがほとんどを占めています。
しかし2021年12月末からベトナム国籍の人数は増えているものの、その割合は約6%減少しています。その分インドネシアが占める割合が少しずつ増えています。
特定技能インドネシア人が増加している理由として、インドネシア政府の政策が関連していると考えられます。インドネシア政府は、日本への特定技能を2023年までに7万人まで増加させる目標を立てていました。
結果的に、2023年12月末の時点では、インドネシアからの特定技能1号在留外国人の総数は34,253人となっており、目標の7万人に向けて今後もインドネシア人の増加が見込まれるでしょう。
今後はベトナムだけでなく、インドネシアやフィリピンなどの国でも法整備や特定技能を得るための試験の体制が整い、人数が増えてくると予想されます。
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5.特定技能受け入れ時の企業のポイント
特定技能外国人を雇用する場合、受け入れ機関は義務付けられている支援業務をしなければなりません。
5-1. 基本的に自社での支援の必要がある
上記の支援業務は、基本的には受け入れ機関が行わなければなりません。
しかし支援の内容は多岐に渡り、専門的な知識が必要なものも多いので、登録支援機関に委任する場合がほとんどです。
「事前ガイダンス」「出入国の際の送迎」「住居確保・生活に必要な契約支援」「生活オリエンテーション」「公的手続き等への同行」「日本語学習の機会提供」などの支援は、外国人を雇用したタイミングで行う必要があります。
一方で「相談・苦情への対応」「日本人との交流促進」「転職支援」「定期的な面談、行政への通報」は、日々の業務の中で支援をしていかなければならない内容となっています。特に「定期的な面談、行政への通報」は3か月に1回以上、外国人本人とその直属の上司と面談をする必要があります。
さらに、四半期に一度定期報告書類を作成し、入国管理局へ提出する義務もあります。
特定技能で定期報告が初めての方、特定技能の定期報告について理解したい方向け「特定技能定期報告ガイド」はこちらをご覧ください
初めて特定技能外国人を採用するという企業は、この支援の量の多さに不安を覚えているかもしれません。まずは自社の業務にあった登録支援機関に相談するといいでしょう。
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過去3000人以上外国人を見てきたスクールだからこそできる外国人の定着・促進サポートがありますので、特定技能外国人の採用に不安がある企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
6.まとめ
人手不足が深刻な業界への特定技能外国人の採用は今後も増えていきます。
特に2027年以降に技能実習制度に代わって始まる「育成就労制度」もあり、外国人材の活用はさらに進んでいくでしょう。
特定技能外国人の受入れ拡大は、一企業の発展だけでなく持続可能な産業の発展にも寄与します。企業側は外国人の適切なサポートや社内体制を整える必要がありますが、外国人採用に興味があればぜひお気軽にお問い合わせください。