【フィリピン人採用決定版!】独自の採用ルールPOLO・POEAについて簡単解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

令和5年6月末時点において、在留外国人数は3,223,858人と半年前と比べて148,645人増加し、過去最高を更新しています。(※)※参照:出入国在留管理庁「令和5年6月末現在における在留外国人数について」

国籍別でみると、1位は中国の788,495人、2位はベトナムの520,154人、3位が韓国の411,748人ですが、3位の韓国の伸びはほぼ横ばいで、4位フィリピンが11,203人増の309,943人と猛追している状況です。

今回ご紹介するのは、フィリピン人の独自採用ルールについてです。フィリピン人を採用するにはフィリピンならではのルールがあります。今回はPOLO・POEAなど独自の雇用ルールについて解説します。
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本記事を読むことで、フィリピン人を雇用する際にどんな点に注意をして準備を進めていけばいいかを、把握することができます。

目次

1. フィリピン人の雇用ルールとは

フィリピン人を雇用する場合には、独自のルールがあります。後程ご紹介する「エージェントを介さない直接雇用の禁止」「POLO(MWO)・POEA(DMW)に対して手続きを行う必要がある」というものです。

この2つのルールからも分かる通り、フィリピン国外で働くことが多いフィリピン人を国を挙げて守りたい、管理したいという思惑が感じられます。

フィリピンの人口は2023年10月時点で1億1300万人ほどいます。10年前の2013年と比べると1500万人以上増えており、人口増加が続いている状況です。

またフィリピンは以前から日本やアメリカなどへの出稼ぎを活発に行い、2012年には銀行送金だけで214億ドル、本人が直接帰国して現金を手渡すことを考えるとそれ以上の金額が本国に渡っているというケースもあります。2013年時点で当時の労働人口4100万人のうち、4分の1が海外で働く状況にあり、その理由はフィリピン国内に雇用の場がなかったという事情もありました。(※)
※:東京商工会議所「最新海外事情レポート」

人口が増え続け、さらに国外への出稼ぎに拍車がかかる可能性は高く、フィリピン人を保護する機運が高まったことでフィリピンならではの独自ルールが誕生したと考えることができます。

2. フィリピン人雇用に関する各機関について

フィリピン人を雇用する際には以下の機関が関与することになります。

  1. DOLE(フィリピン労働雇用省)
  2. POEA(現DMW)
  3. POLO(現MWO)

これらの機関はいずれもフィリピン政府の機関です。ここでは3つの機関が何をする場所なのかを解説していきます。

2-1. DOLE(フィリピン労働雇用省)

1つ目はDOLE(フィリピン労働雇用省)です。

DOLE(フィリピン労働雇用省)は、「Department of Labor and Employment」の頭文字をとってつけられており、フィリピンの労働や雇用について監督を行う官庁となっています。例えば、フィリピンで5人以上の雇用を行う場合、すべての事業者はDOLEへの登録が必須です。

労働者の保護を掲げて設置された背景があり、DOLEを通じてフィリピンの労働者は手厚く守られます。特に外国人の経営者に雇用されるフィリピン人が何らかのトラブルに巻き込まれた場合、DOLEに申し立てを行い、DOLEを通じて企業側に厳しい判断を迫ることがあります。

2-2. POEA(現DMW)

2つ目はPOEAです。

POEA(フィリピン海外雇用庁)は「Philippine Overseas Employment Administration」の略称ですが、2023年からはDMW(フィリピン移住労働省)に統合されています。

DMW(旧POEA)は出稼ぎを行うフィリピン人を送り出す機関となります。海外雇用庁という名の通り、出稼ぎを行うフィリピン人を守るために活動を行っています。

DMW(旧POEA)自体はフィリピンにあり、フィリピン人を雇用したい企業の審査が行われます。そのため、日本企業がフィリピン人を雇用する際にはDMW(旧POEA)の審査に合格しないといけません。

また、フィリピン人を送り出す送り出し機関に関してもDMW(旧POEA)の認定が必要です。事前に認定を受けた送り出し機関に依頼して、フィリピン人を紹介してもらう形が求められます。

2-3. POLO(現MWO)

3つ目はPOLOです。

POLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)は「Philippines Overseas Labor Office」が正式名称ですが、現在はMWO(フィリピン移住労働者事務所)に変わっています。

MWO(旧POLO)はこれまでご紹介した2つの機関の出先機関となります。MWO(旧POLO)は世界各地に拠点があり、日本は東京・六本木にあるフィリピン大使館、大阪市にある在大阪フィリピン総領事館の2つです。

日本企業がDMW(旧POEA)の審査を受ける場合には、この2か所に出向いて審査を受ける形になります。MWO(旧POLO)の営業時間は平日の午前9時から午後6時となっており、書類審査だけでだいたい5営業日から10営業日ほど掛かると言われています。

平日のみ営業していることを加味すれば書類審査に最低でも1週間、場合によっては2週間以上かかることも考えられます。しかも、書類審査に通ってからもやることはまだまだ残されています。そのため、フィリピン人労働者を雇用する際には計画的な行動が求められるでしょう。

3. フィリピンではエージェントを介さない直接雇用は禁止

1つめの項目でご紹介した通り、フィリピンでは「エージェントを介さない直接雇用は禁止」となっています。例えば、日本企業の担当者がフィリピンを訪れて、スキルがありそうなフィリピン人を見つけて採用することは禁止されています。

2017年8月よりDMW(旧POEA)が認定した現地のエージェントを介した雇用でないとフィリピン人の採用はできません。DMW(旧POEA)の審査に合格すると、OEC(海外雇用許可証)が発行されます。このOEC(海外雇用許可証)がないとフィリピンに戻ってきた際に出国できなくなるため、注意が必要です。

エージェントを介さない直接雇用は原則禁止ですが、例外もあります。それは直接雇用禁止免除の申請を行うことです。この申請を行うことで直接雇用が可能になります

免除には条件があります。

  • 企業側が一定の要件をクリアしている
  • 雇用したいフィリピン人の職種が高度技術・専門職などの業種・職種
  • フィリピン人が受け取る報酬や福利厚生がDMW(旧POEA)が求める水準以上
  • 雇用したいフィリピンが大卒以上かつ既に業務に関連した専門知識・実務経験を有している

これらの条件を満たした上で、直接雇用禁止免除の申請をMWO(旧POLO)に出して認められれば直接雇用ができます。ただし、手続き的に複雑で、結局は色々な確認が必要となるため、確実に雇用を目指すのであればエージェントを介する形が有力と言えます。

これらの免除を受けて直接雇用の手続きをする場合も、書類審査や面接といった、後程ご紹介する雇用までのプロセスを踏む必要があり、エージェントがこれまで行ってきたことを企業が直接行う形になります。後述する雇用までのプロセスはかなり複雑であり、初めてフィリピン人労働者を受け入れる企業にとっては大変です。

4. フィリピンのエージェンシーへ支払う費用相場とは

フィリピン人を雇用するためにフィリピンのエージェンシーに対していくらかの報酬を支払うことになります。

エージェンシーは送り出し機関として労働者の紹介や契約などを担うため、手続きがスピーディーなのがポイントです。その代わり、一定の費用がかかることになります。書類作成やDMW(旧POEA)への取次に限られた場合だけで、雇用するフィリピン人の1か月分の給料程度かかります。

給料の1か月分は一例に過ぎず、別のエージェントでは給料の2か月分、また1名につき15~30万円というケースもあります。フィリピン人を雇用するまでに多くのプロセスを要するからこそ、他の国と比べると高めの設定になりやすいです。

他の国と比べると費用が高めになりやすい理由は他にもあります。それは他の国では認められているフィリピン人労働者からの費用回収がフィリピンでは認められていないためです。労働者を守る姿勢が強く、企業側にその負担が回されている格好です。

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5. 【ケース別】フィリピン人雇用の流れ

ここからは実際にフィリピン人を雇用していく流れについてご紹介していきます。今回は2つのケースにまとめました。

  1. フィリピン現地からフィリピン人を雇用する場合
  2. 日本在住のフィリピン人を雇用する場合

フィリピン人を現地で調達する、もしくは日本で調達するかの違いですが、それぞれのケースについて流れを解説していきます。

5-1. フィリピン現地からフィリピン人を雇用する場合

1つ目はフィリピン現地からフィリピン人を雇用する場合です。この時の流れは以下の通りとなります

  1. DMW(旧POEA)の認定を受けたエージェントと契約
  2. MWO(旧POLO)に書類を提出して登録申請を行う
  3. 東京もしくは大阪にあるMWO(旧POLO)に出向いて面接を行う
  4. MWO(旧POLO)から許可書類が届いたらエージェントに送る
  5. エージェントがDMW(旧POEA)に書類を出して認可
  6. エージェントがフィリピンで募集や面接などを行う
  7. 雇用契約を結び在留資格認定証明書(COE)を取得
  8. 在留資格認定証明書(COE)とパスポートを提出してビザを申請
  9. ビザ取得後OEC(海外雇用許可証)を取得し出国

現地のフィリピン人を採用するためにはこれだけのプロセスが必要です。そのため、現地エージェントにある程度委託をしなければ、何かしらのトラブルが生じる可能性があります。直接雇用禁止免除の申請を行うよりも、現地エージェントに任せた方が確実です。

5-2. 日本在住のフィリピン人を雇用する場合

2つ目は日本在住のフィリピン人を雇用する場合です。実はこのケースでも「現地のフィリピン人を雇用する場合と同じようなプロセス」を辿ることになります。

日本で働いているから問題はないと思って先ほどのプロセスを辿らずに直接雇用した場合、OEC(海外雇用許可証)がないために日本に戻れなくなる可能性があります。これはフィリピン人が日本で在留資格の変更を行った場合でも同じで、先ほどのプロセスを踏まなければなりません。

ただし、日本在住のフィリピン人を雇用する場合でも例外は存在します。それは身分系の在留資格を持っている場合です。この場合の身分系の在留資格は以下の通りです。

  • 日本人の配偶者等
  • 永住者
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

これらの在留資格で日本に在留するフィリピン人を雇用する場合には申請の必要がありません。そのため、これまでご紹介したフィリピン人を雇用するまでのプロセスを避けたい場合には身分系の在留資格を持つフィリピン人を雇用することが求められます。

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6. まとめ

今回はフィリピン人を雇用する場合のルールを中心にご紹介してきました。

フィリピンでは労働者を手厚く保護する関係で、様々なルールが作られ、ここ5年で様々な整備が行われてきました。認可する官庁も変わるなど、フィリピンを取り巻く労働環境は今まさに激流の中にいると言えるでしょう。ゆえに分かりにくいと感じる採用担当者の方が多いのは当然のことです。

確実なのは認定を受けた現地のエージェントへの依頼ですが、複雑なプロセスを経てようやく雇用できるという背景もあって、法外な費用を請求するケースも見られます。そのため、複数のエージェントに見積もりを出してもらうなどして相場に見合った費用を出しましょう。場合によっては身分に基づく在留資格で働けるフィリピン人の雇用を検討することをおすすめします。

今回ご紹介した内容を踏まえて、トラブルなく確実に優秀なフィリピン人労働者をいち早く確保し、慢性的な人手不足の改善に結び付けていきましょう。弊社JapanJobSchoolでは特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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