技人国ビザで外国人を飲食店に採用するには?業務内容や注意点を解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

代表的な就労ビザ(就労系在留資格)の一つに「技術・人文知識・国際業務」があります。

来日した外国人が自分の専門分野や母国の文化を活かして、専門的な知識や技術などが必要な業務を行うための在留資格です。在留資格「特定技能」のような人手不足の解消を目的とした在留資格ではありません。

「技術・人文知識・国際業務」は、単純労働をする外国人には申請許可がおりませんが、飲食店で外国人を「技術・人文知識・国際業務」ビザで採用できないか、疑問に思ったことのある飲食店の経営者の方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では「技術・人文知識・国際業務」で飲食店で働く要件や、従事する仕事の注意点などを解説します。

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目次

1. 技人国ビザで飲食店への就労は可能か?

結論から申しますと、来日した外国人は技人国ビザで飲食店への就労が可能です。

ただし業務内容に制限があるので、注意が必要です。

1-1.そもそも技人国ビザとは?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は名称が長いため、通称で「技人国ビザ(ギジンコク)」と呼ばれています。

技人国ビザの定義は出入国在留管理庁のホームページに以下のように定義されています。

【この在留資格に該当する活動】   本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

[出典:出入国在留管理庁「在留資格 技術・人文知識・国際業務」]

この定義から、技人国ビザで働ける活動は大きく2つです。

  1. 専門分野の知識、又は技術を必要とする活動
  2. 外国の分野についての知識が必要な活動

例えば、理系・文系でこのような職種が挙げられます。

理系文系
機械工学等の技術者
プログラマー
システムエンジニア
通訳
デザイナー
私企業の語学教師
マーケティング業務
コンサルティング

1-2.飲食店で働ける業務内容

飲食店の業務は大きく4つに分類できます。

  • キッチンスタッフ
  • ホールスタッフ
  • 店舗の管理業務
  • 本社勤務

キッチンスタッフは飲食店のキッチン内の業務で、調理、盛り付け、皿洗いなどが含まれます。これは入管法上では単純労働とみなされるため、技人国ビザでは従事することができません。

ホールスタッフは、注文の受付や配膳、レジ精算などの接客業務が含まれます。こちらも入管法上では単純労働とみなされるため、技人国ビザでは従事することができません。

店舗の管理業務は、売上の管理や人員配置などの業務があり、主に店長が行うことが多いです。管理業務は技人国ビザで働ける場合もありますが、細かい注意点もありますので、詳しくは「3.マネジメント業務での注意点」を参考にしてください。

本社勤務は、比較的規模の大きい飲食チェーン店の場合に発生する業務です。商品開発やそれぞれの店舗の人員や企画の管理、経理などの事務職が含まれます。飲食店であっても本社勤務であれば技人国ビザで働ける可能性は高いです。

2. 技人国ビザで飲食店で働ける要件

技人国ビザで飲食店で働ける要件は以下の2つです。

1. 学歴(主に大卒以上)、または学歴に相当する職歴がある
2. 外国人の学歴及び職歴と従事する活動に関連性がある

外国人の専門分野の学歴は基本的に大卒以上です。提出書類には「大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書」と書かれています。

【認められる学歴の例】
・日本の大学、または短大を卒業している
・本国の大学、または短大を卒業している
・日本の専門学校を卒業している
※海外の専門学校は含まれません。

ただし専門分野の学歴がない場合でも、一定年数以上の実務経験があることを証明できれば、申請が通る可能性があります。

・「技術・人文知識(エンジニア、企画など)」の場合→10年以上の実務経験
・「国際業務(デザイナー、貿易など)」の場合→3年以上の実務経験

そして2つ目の、非常に重要な要件の一つが
「外国人の学歴及び職歴その他経歴と従事する活動の関連性が認められなければならない」ということです。

つまり、外国人本人の専門的なスキルが活かせる業務内容でない場合、この在留資格を取得するのは非常に厳しいです例えば、大学で情報セキュリティーを学んだ外国人が来日し、情報セキュリティーに全く関係のない会社でマーケティングに従事することはできません。

2-1.単純労働は認められない

技人国ビザがそれ以外の就労系在留資格(「特定技能」や「技能実習」等)と大きく違う点は、雇用した外国人に単純労働をさせてはならないという点です。外国人労働者の専門性を活かすことが目的であるためです。

単純労働とは、専門的な知識や技能を必要とせず比較的簡単にできる業務のことを指します。

単純労働には、例えばこのような業務内容が含まれます。

  • レストランでの皿洗い
  • 飲食店での接客
  • コンビニ、スーパーでの接客
  • 建設作業員
  • 工場のライン作業

飲食店のいわゆる、「キッチン」、「ホール」の業務は単純労働に含まれます。

3.マネジメント業務の注意点

「1-2.飲食店で働ける業務内容」で、飲食店の店舗の管理業務(人員配置や、売上管理など)に従事する場合には、技人国ビザの申請への許可が下りると述べましたが、許可が下りない場合もあります。

ビザを申請するときには、外国人労働者を現場業務(キッチンやホールなど)に一切関わらせないことを明らかにする必要があります。

例えば、「この外国人を店舗の売上管理業務に従事させます」と書いて申請したとしても、店舗の実態が伴わない、つまり規模が大きくない店舗(従業員が外国人を含めて2、3人しかいない)の場合、入管の審査員は、「この外国人はおそらくキッチンやホールの業務も行うだろう」と推測し、不許可になってしまいます。

技人国ビザで雇用する必要があるということは、つまり誰にでもできる単純労働ではなく、外国人の専門性が活かせる主にデスクワークに従事させる、そして飲食店にその環境が備わっていることを示さなければなりません。

そのための注意点は主に3点あります。

・店舗の規模
・店舗数
・デスクの有無

「店舗の規模」は管理業務に従事する外国人を1人以上雇用する必要があるくらいの規模が必要です。店舗の席数に対して、現在ホールやキッチンに従事する従業員の数を示し、ホールやキッチンの仕事に、この外国人が関わる必要がないことを示すのも必要でしょう。

「店舗数」に関しても、一店舗だけではなく二店舗以上あると、それぞれの店舗の売上や人員配置を行う必要が出てくるため、許可が下りる可能性が高くなります。

そして最後に、管理業務を担当する外国人専用の机があることを写真で見せられるといいでしょう。このデスクは、飲食店のテーブルを一時的に作業用としたものではなく、飲食店のホールやキッチンとは別の部屋に設置するしなければなりません。

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4.全ての仕事を任せたいなら特定技能

技人国ビザでは、雇用する外国人労働者に主にデスクワークの仕事しか任せることができません。

飲食店の人手不足を解消するために外国人労働者を雇いたい、キッチンやホールを含むすべての仕事を任せたいなら、特定技能ビザで雇用することをおすすめします。

在留資格「特定技能」

  特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2019年から受け入れを開始し、現在特定技能1号では16分野、特定技能2号では10分野で受け入れが可能です。

[出典:JICTO「在留資格「特定技能」とは」]

特定技能外国人を受け入れられる分野の1つに外食業があります。

特定技能外国人が従事できる業務は、レストランや居酒屋などの飲食店での、調理、接客、店舗管理など基本的にどんな業務もできますまた、デリバリー業務なども可能です。

従事できる業務に制限がある技人国ビザよりも、基本的な業務はすべて行える外国人従業員を雇用できる特定技能ビザの方が、多くの飲食店に適しているのではないでしょうか。

在留資格「特定技能 外食業」の受け入れ要件・雇用までの流れを以下の記事で解説しています。

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5.まとめ

飲食店において技人国ビザで外国人を雇用するには、外国人従業員の従事する仕事を管理業務などに限定する必要があります。

特定技能「外食業」では、ホールやキッチンも含め、すべての業務に従事することができます。

飲食店での外国人採用についてご質問がある方は、こちらからお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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