インドネシア人の文化・特徴・一緒に働く際のポイントなどを詳しく解説
執筆者:大路(JapanJobSchool CSマネージャー)
インドネシアは1年中温暖な気候からか、明るく、陽気な人が多い印象です。
本記事では、インドネシア人支援の実績がある当校が、インドネシア人を採用するために知っておきたい、インドネシア人の性格・特徴・仕事観を分かりやすく解説していきます。
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1. インドネシア人の性格・特徴・文化
1-1. 陽気な性格
赤道近くに位置しているインドネシアは、1年中熱帯気候な国です!そんな常夏なインドネシアでは、厳しい冬に備えてセカセカ働くという習慣がなく、陽気でおおらかな方が多いです。それもあり、リラックスしていておおらかな人が多い印象です。実際にサポートしているインドネシア人の男性は、目が合えば笑いかけてくる、とても陽気で明るい方です。
また、ご飯を食べる時に音楽を流したり、大家族で食卓を囲む習慣も陽気さを裏付ける理由の一つです。インターネットで調べても、「陽気」「前向き」「ポジティブ」という言葉がインドネシア人の性格を表す言葉として多く見受けられます。
1-2. 助け合いの精神が強い
インドネシアに古くから伝わる文化として、「ゴトン・ロヨン(相互扶助)」というものがあります。多くのインドネシア人が信仰しているイスラム教の教えが強く影響しているとも言われているこの精神です。
そのため、災害時などはもちろんのこと、農業や掃除、家の修復なども地域や周囲と協力し合って共に乗り越えようという精神がとても強く根付いています。
参考:インドネシア総合研究所
1-3. 家族を大切にする
上記の「ゴトン・ロヨン(相互扶助)」の影響もあり、家族愛や兄弟愛も非常に強い国民性です。
また、6人以上の大家族が世界で最も多いのはインドネシアのジャカルタで、約30%が6人以上の大家族という数字もあります。大家族が多いことに加えて、親子の相互関係を見ると、人口の50%以上を占める人たちが、経済的に、もしくは家事的に、親と支え合って生活をしていると回答したデータもあるんです。
家族との繋がりの強さから、自ずと家族愛が強まっているのだと感じます。
参考:株式会社マクロミル「各世代の価値観に影響を与えた社会慣習とは【インドネシア編】」
1-4. 米食文化だけど食事制限がある
インドネシアは、稲作が主流で米の生産量は世界第3位!多くの家庭で1日3食お米を食べています。食べたことがある方も多いと思いますが、ナシゴレンやミーゴレンが代表的なインドネシア料理で上げられます。食器は基本的に大きめの皿が1枚で、その真ん中にご飯をのせ、その他のおかずをご飯の周りに盛るというのが通常です。
また、宗教が生活の土台となっているので、特にイスラム教やヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、食べるものにはとても気を遣っています。国民の約9割を占めるイスラム教徒では、適切な処理が施されていない肉、豚肉、アルコールが禁止されているのも特徴です。加えて、イスラム暦 9 月には断食が行われるのも、知っておいて損はないでしょう。断食月の時には、イスラム教徒の方の前で飲食を取ることは可能な限り避ける方がいいとも言われています。
参考:外務省「米の生産量の多い国(モミ量)」
JETRO(日本貿易振興機構)「食事情②」
国土交通省「14.インドネシア 」
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2. インドネシアの基本情報
ではそもそもインドネシアとはどのようなくになのでしょうか。解説していきます。
2-1. インドネシア共和国ってどんな国?
インドネシア共和国(Republic of Indonesia)についての情報を広くお伝えいたします。
概要
- 場所:東南アジアの南部
- 赤道をまたいで約18,000個の島々でできている国
- 首都ジャカルタ
- 広さ:約192万平方キロメートル(日本の約5倍)
- 人口:約2億7550万人(世界第4位)
- 公用語:インドネシア語
- 通貨:ルピア
- 民族:約300(ジャワ人 45%、スンダ人 14%、 マドゥラ人 7.5%、マレー人 7.5%、その他 26%)
- 宗教:イスラム教 86.69%、キリスト教 10.72%(プロテスタント 7.60%、カトリック 3.12%)、ヒンズー教 1.74%、仏教 0.77%、儒教 0.03%、その他 0.04%
- 労働人口:農業 4,270万人(41.8%)、貿易業・飲食業 (20.3%)、製造業(12.2%)
参考:「外務省ホームページ」の「インドネシア基礎データ」
「グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト 統計データ配信」の「世界の人口 国別ランキング・推移(国連)」
経済状況
インドネシア人の月間平均所得は372ドル(日本円で3万円程度)です。家族のために日本に出稼ぎに来るインドネシア人が多い理由は、母国の平均所得の低さが原因です。
また、失業率は、2006年には10%以上でしたが、近年は5~6%前後(2020年8月:5.28%)でした。ただし、毎年250万人以上が新たに労働市場に参入すると言われており、その数に対応する雇用を生み出すためには6%以上の経済成長が必要とも言われています。貧困率は過去20年間で半分まで減り、2020年時点では約9%まで下がりましたが、それでもまだ、貧困率にも地域差が見られます。都市部では約7%に対して、農村部は約13%ほどです。
参考:JETRO(日本貿易振興機構)
2-2. インドネシアと日本の関係性
実は貿易相手としては非常に強いつながりがあるんです!インドネシアが輸出をしている貿易相手国の中で日本は第3位、輸入をしている貿易相手国では日本は第2位。
また、主要援助国においても日本は第2位に位置しており、民間直接投資において日本は、43億ドルもの投資をインドネシアにしていて、世界第3位でした。インドネシアの経済発展に大きなバックアップをしているのが日本なんです。インドネシアにおける日系企業の数も2,000社近くに上っており、ビジネスのチャンスも広がっています。
参考:「外務省ホームページ」の「インドネシア基礎データ」
2-3. 在日インドネシア人の現状
令和4年6月末現在における在留外国人数は296万1,969人、そのうちインドネシア人は「83,169人(構成比2.8%)」で前年末に比べて39%増加しています!その結果、今では日本国内にいる全在留外国人数の中で、7番目に多い国籍になっています。
また、その中でも技能実習(1号~3号)で在留しているのは39,177人、特定技能(1号,2号)は9,481人です。地域としては、一都三県に加えて茨城県と愛知県に大阪府に多く在留しています。
参考:出入国在留管理庁ホームページ「報道発表資料(令和4年6月末現在における在留外国人数について)」
e-Stat政府統計の総合窓口
3. インドネシア人の仕事・恋愛・結婚観
続いて、インドネシア人の方と一緒に働くとなった時には、特に知っておきたい仕事観や恋愛観について話していきます。社員として雇用していくとなったら、気になる部分ではないかと思います!
3-1. 仕事観
採用してみて価値観の違いによるトラブルが必要最低限に抑えられるように、仕事観についてはよく理解しておきましょう。
転職に積極的
インドネシア国内では、「転職回数が多い方が、優秀と評価される文化」があるようです。転職をするのはスキルを評価されて、給料がアップすることの現れであり、優秀な人ほど新しい会社へ挑戦することができるという価値観があります。そのため、条件や待遇のいい企業へ積極的に挑戦していく傾向があると認識しておく必要があるでしょう。
時間にルーズ
インドネシア人の方から聞いたことのある言葉で「jam karet=ゴム時間」というのは、知る人ぞ知るワードだと思います。要は、ゴムのように長く伸びる、融通がきくのが時間であるという考え方です。時計を見る習慣がそこまで強くなく、時間もざっくりと捉えていることもあります。
また、洪水や車の渋滞など様々な理由によって、時間通りに行かないことも多いため、遅れたことに対してそこまで悪びれる様子が見えないこともあるかもしれません。ビジネスにおける時間に対する日本の考え方をしっかりと伝えておくと良いでしょう。
怒らない・怒られることに慣れていない
インドネシア人の多くの方が該当するイスラム教徒では、怒ることは悪いことと認識されているため、人前で怒った経験もあまり多くなく、怒っている人を見ると、「感情的な人」「恥ずかしい人」と判断する傾向があります。
家庭内でもそんなに叱られて育っていないので、家族でもない職場の上司から厳しく叱られると「親にもそんなに言われたことないのに、、、」とこちらのイメージしている以上に大きなダメージを受けるなんてこともありますので、お気を付けください。
参考:イスラミックセンター・ジャパン
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3-2. 恋愛・結婚観
続いては恋愛・結婚観についてです。
職場での付き合いだけでなく、インドネシア人の恋愛事情や結婚における考え方を知っておくことで、キャリアアップや教育・指導にも活きることがあるかと思います。
結婚を前提に付き合う
ここにもイスラム教が大きく影響しています。独身男女が手をつなぐことやキス、婚前交渉は原則として禁止されており、結婚は役所への届け出というよりも「契約」として扱われています。そのため、カジュアルに付き合うというよりは、お付き合いをする=結婚を前提にしていることが通常です。
また、結婚した後には、契約であるため夫婦双方に義務が定められています。夫は生活費を負担すること、妻は家庭内に責任を持つことが義務付けられています。
参考:Fujiyo memo「イスラム教徒が綴る 幸せな人生を送るヒント」
一夫多妻制
近年減少してきてはいますが、インドネシアのイスラム教徒には一夫多妻制が認められています。二人目の奥さんをもらう場合には必ず一番目の奥さんの承諾書をもらうように法律で定められているなど、ルールはありますが、複数人の奥さんを持つことが可能です。
参考:「結婚考:インドネシア」
宗教の影響が強い
好んで異教徒に嫁がせたり、異教徒のお嫁さんをもらうことは多くないため、家族や保護者の理解を得るには、同じ宗教を信仰していることが望ましいと考えられます。無宗教というのは基本的には認められないので、五大宗教(イスラム教、キリスト教プロテスタント、キリスト教カトリック、ヒンドゥー教、仏教)のうちのいずれかに属することがほとんど、基本的に男性の宗教に合わせます。
宗教は切っても切れないものであると認識しておく必要があるでしょう。
4. 一緒に働く上で知っておきたいポイント・注意点
4-1. 時間の重要性をしっかり伝える
「3.インドネシア人の仕事・恋愛・結婚観」の仕事観でもお伝えしましたが、「ゴム時間」という時間の捉え方にルーズなインドネシア人。決して悪気はありません。
日本社会で働く上でのマナーとして、時間を守る重要性、時間を守ることが信頼・評価に繋がることを入り口でしっかりと伝えてあげましょう。
4-2. なるべく「叱る」のではなく「話し合う」
同じく「3.インドネシア人の仕事・恋愛・結婚観」の仕事観でも話しましたが、イスラム教の宗教的観点から怒ること、叱ることへの抵抗があるインドネシア人に対しては、一方的に伝えるのではなく、相手の気持ちを聞きながら「話し合う」イメージで指導していくことが効果的です。
4-3. イスラム教を理解する
本記事内の様々な観点で「イスラム教」から派生する特徴が多いことを感じたかと思います。インドネシア人全員がイスラム教徒ではないですが、9割近くがイスラム教を信仰しています。イスラム教を知ることが、インドネシア人を知ることと言っても過言ではないと思います。
特にイスラム教の特徴である下記のことを抑えておくだけでも、インドネシア人の方へのタブーを避けることへ繋がります。
- 1日5回の礼拝
- 断食(ラマダン)
- 豚肉・アルコールがNG
- 仕事<家庭・宗教
実際に、弊社でサポートさせていただいた企業様で「ラマダン中(断食中)のインドネシア人社員が仕事中に倒れてしまってから水分補給だけは義務化した」という話もありました。イスラム教について知識があったから対応ができた企業の一例だと思います。
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5. まとめ
いかがでしたか?
インドネシア人の特徴、一緒に働く上で人間関係を構築するためのヒントが少しでも伝わりましたら、幸いです。ただ、インドネシア人の方に限った話ではないですが、どの国籍の方も「インドネシア人だから○○」のように国籍で性格や特徴を決め切らないことも、外国人雇用において必要なことだと感じています。
国籍や文化、背景から汲み取れる配慮は最大限したうえで、一番大事なのは「十人十色」。ひとりひとりを理解してコミュニケーションをとることだと思います。もし、記事を読んでくださったあなたの会社で実際にインドネシア人を採用してみようと考えるのであれば、弊社のような外国人紹介・支援実績のある企業にぜひ一度相談をしてみてください。3分で分かるJapanJobSchoolについて簡単にまとめた資料ダウンロードはこちらから