特定技能外国人を受入れるまでを5つのステップでわかりやすく解説

特定技能を受入れるまでを5つのステップでわかりやすく解説

執筆者:松里優祐(株式会社JJS 代表取締役)
監修者:井上道夫(行政書士井上法務事務所所長)

「特定技能の受入れまでの流れをわかりやすく知りたい」
「特定技能の受入れを自社はできるのか」
「特定技能の受入れについて、わかりやすくまとめられている記事を探している」

特定技能はわかりにくい制度なので、そのような気持ちでこの記事をご覧になっていませんか。
年間300名以上のベトナム・ネパール・ミャンマーなどの卒業生を日本企業へご紹介し、特定技能では60社150名以上の日本企業、外国人を支援する筆者が、特定技能の受入までをわかりやすいように5つのステップでお伝えします。

STEP
受入れができる業種・業務内容・施設・事業形態か確認する
STEP
企業の受入れ要件を確認する
STEP
外国人の受入れ要件を確認する
STEP
支援を自社で行うか登録支援機関に任せるか選ぶ
STEP
ビザ変更申請を自社で行うか第三者に任せるか選ぶ

最初から最後まで読めば、社内への説明資料としても使えるかと思いますので、ぜひご活用ください。

【2024年最新版】特定技能まるわかり資料

この資料では特定技能とは何なのか、どのように外国人を採用できるかについて解説しています。

目次

STEP.1 受入れができる業種・業務内容・施設・事業形態か確認する

まずは、自社が特定技能を受入れることができる業種・業務内容・施設・事業形態なのかをチェックする必要があります。
特定技能は下記の14業種のみに認められています。

特定技能の受入業種一覧

しかし、特定技能の対象業種であっても、従事させる業務内容や施設形態等によって認められない場合があります。
以下に各業種ごとの受入れの確認方法を記載したので、チェックしてください。

なお、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業は2022年4月26日より統合されました。
製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)の統合と今後の対応について

業種① 介護

介護業での特定技能外国人が従事できる業務は、身体介護とリハビリ業務です。
身体介護とは、入浴、食事、排泄、移動の介助などであり、リハビリ業務はレクリエーションや機能訓練などです。

訪問系のサービスに従事される場合は、受入ができません。
原則、利用者の居住地でのサービス提供ができないため、住宅型老人ホームなども受入れができません。

介護の特徴
介護対応業種一覧
※黒くなっている施設形態は受入不可

出典:厚生労働省「介護職種について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護 に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑み て事業所管大臣が定める基準等」

業種② 外食

外食業での特定技能外国人が従事できる業務は、調理、接客、店舗管理など基本的にどのような業務もできます。
但し、風俗営業許可が必要な店舗での業務はできません。
キャバクラ、ホストクラブ、低照度な飲食店での接待業務はもちろん、同店舗での接待以外の就労もできません。

外食業の特徴

出典:農林水産省「外食業分野における特定技能外国人制度について」

業種③ 飲食料品製造

飲食料品製造業での特定技能外国人が従事できる業務は、酒類を除く飲食料品の製造・加工・安全衛生の業務です。
具体的には以下の7分類に該当する業務が対象になります。

飲食料品製造業の特徴

上記に該当しない業種または酒類の製造を行う業務はできません。

また、上記表の①食料品製造業は以下の業種に細分化されます。

・畜産食料品製造業
・水産食料品製造業
・野菜缶詰
・果実缶詰
・農産保存食料品製造業
・調味料製造業
・糖類製造業
・精穀・精粉業
・パン・菓子製造業
・動植物油脂製造業
・その他の食料品製造業
(デンプン、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)

出典:農林水産省「飲食料品製造分野における特定技能外国人受入れの制度について」

業種④ 宿泊

宿泊業での特定技能外国人が従事できる業務は、フロント,企画・広報, 接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務です。
また上記の業務以外に、ベットメイキング、清掃、館内販売の業務を付随的に行うこともできます。

ペンション、民宿、ゲストハウス、キャンプ場などの簡易宿所やラブホテルでは就労できません。

宿泊業の特徴

出典:観光庁「宿泊分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(概要)」


業種⑤ 自動車整備

自動車整備業での特定技能外国人が従事できる業務は、地方運輸局長の認証を受けた事業場(認定工場)での自動車の日常点検業務、定期点検業務、分解の業務です。
また、上記の業務以外に、整備内容の説明、関連部品の販売,清掃などの業務を付随的に行うこともできます。

地方運輸局長の認証を受けた事業場(認定工場)以外での事業場での業務はできません。

自動車整備業の特徴

出典:国土交通省「自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

業種⑥ ビルクリーニング

ビルクリーニング業での特定技能外国人が従事できる業務は、商業施設、オフィスビル、ホテルなどの清掃を行う業務です。また、建築物清掃業、または建築物環境衛生総合管理業の登録がある事業者に限ります。

上記の建築物清掃業、または建築物環境衛生総合管理業の登録がない事業者は、受け入れることができません。

ビルクリーニング業の特徴

出典:出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-ビルクリーニング分野の基準について-」

業種⑦ 素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業

素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で19業務になります。具体的には以下の19分類に該当する業務が対象になります。

素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業の特徴

製造業での業務範囲は非常に細かく複雑なため、必要であれば、この章の最後に記載する相談窓口に聞いてみましょう。

出典:「製造業における 特定技能外国人材の受入れについて」

業種⑧ 建設

建設業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で18業務になります。
具体的には以下の18分類に該当する業務が対象になります。

建設業の特徴

建設業での業務範囲は非常に細かく複雑なため、必要であれば、この章の最後に記載する電話番号に電話して聞いてみましょう。

出典:「建設分野における外国人材の受入れ」

業種⑨ 造船・舶用工業

造船・舶用工業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で6業務になります。

造船・舶用工業の特徴

造船・舶用工業での業務範囲は非常に細かく複雑なため、必要であれば、この章の最後に記載する電話番号に電話して聞いてみましょう。


出典:「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の概要」

業種⑩ 航空

航空業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で2業務になります。

航空の特徴

航空業での業務範囲は非常に細かく複雑なため、必要であれば、この章の最後に記載する電話番号に電話して聞いてみましょう。

出典:国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れについて」

業種⑪ 農業

農業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で2業務になります。

農業の特徴

また、上記の業務であっても、栽培管理または飼養管理の業務が含まれていないといけません。
要するに、選別の業務だけに従事させるのではなく、管理業務にも従事をさせなければいけません。

出典:「農業分野における外国人の受入れについて」

業種⑫ 漁業

漁業での特定技能外国人が従事できる業務は、全部で2業務になります。

漁業の特徴

漁業での業務範囲は非常に細かく複雑なため、必要であれば、この章の最後に記載する電話番号に電話して聞いてみましょう。

出典:水産庁「 特定技能外国人材の受入れ制度について (漁業分野)」

対象業種の詳細を聞きたい方は各管轄省庁の相談窓口へ連絡

以上が受入れができる業種・業務内容・施設・事業形態です。
上記を見ても、自社での業務が特定技能の範囲内か不安な方は、直接電話をして聞くのが一番早く確実です。下記は各業種ごとの問い合わせ先です。特定技能の範囲内かどうか心配な方は問い合わせましょう。

特定技能問い合わせ一覧

なお、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業は2022年4月26日より統合されたため、窓口が変更となっています。
相談窓口:経済産業省ポータルサイト

STEP.2 企業の受入れ要件を確認する

特定技能外国人を受入れるためには、以下の受入れるための基準要件、雇用契約の要件、雇用後の義務の3つを満たしている必要があります。
この3つの要件は雇用後も出入国在留管理局からチェックをされるので、雇用後も継続して守ることができそうか?という視点で見ていただければと思います。

2-1. 受入れるための基準要件

① 労働,社会保険及び租税に関する法令を守っていること
雇用後も定期的に出入国在留管理局からのチェックが入るので、守っていることが必須条件です。

② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
こちらは日本人も対象になるので注意が必要です。

③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
技能実習生を雇用していた企業には稀にあるので、過去に行方不明者がいなかったかはチェックしましょう。

④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
過去5年以内に違反がないかチェックしましょう。

⑤ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
例えば、外国人本人の早期退職や失踪を防ぐために、あらかじめ金品などを預かる等の行為はできません。

受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
外国人本人の早期退職や失踪を防ぐために、違約金等を定める等の行為はできません。

支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
雇用するに当たっての費用や雇用後の支援にかかる費用を外国人本人に負担させることはできません。

報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
原則、銀行口座への振込になります。

出典:在留資格「特定技能」について

2-2. 雇用契約の要件

① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
STEP.1で確認した業務に従事させる雇用契約である必要があります。

② 所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
同ポジションで雇用をしている日本人従業員等と同じ条件である必要があります。


③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
同ポジションで雇用をしている日本人従業員等と同じ条件である必要があります。


④ 外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇に
ついて,差別的な取扱いをしていないこと

労働時間や給与だけではなく、その他の福利厚生なども同等である必要があります。


⑤ 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
一時帰国の際の休暇取得できる日数や、繁忙期等で一時帰国が難しい期間がある場合、入社前に本人の理解できる言語で書面等で交わしておくことも重要です。
また、有給休暇の残りがない場合は、無給でもいいので一時帰国の休暇を取得させる必要があります。


⑥ 労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
派遣は農業と漁業のみに認められています。それ以外は派遣はNGとなります。


⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑に
なされるよう必要な措置を講ずることとしていること

本人が自己負担できるのであれば、帰国旅費を負担する必要はありません。


⑧ 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることと
していること

出典:在留資格「特定技能」について

2-3. 採用後の義務

① 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行
雇用契約通りに雇用をしているかどうかは入国管理局のチェックが必ず入るので、確実に履行できる雇用契約にしましょう。

② 外国人への支援を適切に実施
特定技能外国人を雇用後は全部で10の支援を行う必要があります。詳しくはSTEP.4で解説します。

③ 出入国在留管理庁への各種届出
四半期に一度、出入国在留管理局に定期報告書類を提出する必要があります。こちらも詳しくは詳しくはSTEP.4で解説します。

出典:在留資格「特定技能」について

STEP.3 外国人の受入れ要件を確認する

企業だけではなく、外国人側にも必要な要件があります。
以下の要件はあくまで外国人側の要件であり、企業側で何かできるものではないので、以下に該当する方は採用ができないという認識で結構です。

① 18歳以上であること

② 健康状態が良好であること
健康状態が良好であるかどうかを調査するために、健康診断書の提出が必要になります。

③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
現在、イランとトルコ国籍の外国人は特定技能資格から除外されています。

④ 保証金の徴収等をされていないこと
保証金を預かることはもちろん、雇用までの経緯で何処かで保証金を預けている事実を知りながらの雇用はできません。

⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合は,額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
海外から採用する場合、高額な金額を海外の機関に納めていないかなどの確認が必要です。

⑥ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は,その手続を経ていること
国ごとに、日本に特定技能として人材を送り出す上でのルールを設けています。その国のルールに則った形で雇用をする必要があります。

⑦ 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について,その対価として供与される利益の内容を十分
に理解した上で合意しており,かつ,その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり,明細書その
他の書面が提示されること

例えば、特定技能外国人に寮を提供し、家賃を回収する場合、適正は金額かつ外国人本人にも合意を取る必要があります。

⑧ 必要な技能及び日本語能力を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること(た
だし,技能実習2号を良好に修了している者であり,かつ,技能実習において修得した技能が,従事しよう
とする業務において要する技能と関連性が認められる場合は,これに該当する必要がない)

要するに、日本語検定N4以上と各業種によって実施されている技能を図る試験の両方に合格している必要があります。
但し、技能実習生として3年以上日本に滞在した(技能実習2号修了生)人は、上記の試験が免除されます。

⑨特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと
特定技能1号は原則5年しか雇用できません。5年経過後は特定技能2号に変更をすることができれば、その後も日本で働くことができます。

以上が特定技能外国人になるために基本的に満たすべき要件です。

特定技能で特筆すべきは、
海外に在住している外国人だけではなく、日本国内にいる留学生や技能実習生も雇用できることと、
寮なども必ずしも用意する必要がないということです。技能実習制度と比べて雇用しやすくなっています。

出典:在留資格「特定技能」について

STEP.4 支援を自社で行うか登録支援機関に任せるか選ぶ

特定技能外国人を採用・雇用する場合、支援体制を整え、最低限義務つけられている支援を必要なタイミングで行う必要があります。支援は自社で行うか登録支援機関と呼ばれる許認可を得た第三者機関に委任をするかを選択できます。

結論から申し上げると、支援の内容は多岐に渡り、自社で支援を行うには専任者を置かないと難しいかと思います。実際、ほとんどの企業は登録支援機関に委任をしているケースがほとんどです。
特定技能外国人の人数が、数十名、数百名となってきたタイミングで自社で行うことを検討することをおすすめします。

下記では登録支援機関とは?実際にどんな支援があるのか?自社で支援ができる条件は?を具体的に解説します。

4-1. 登録支援機関とは?

登録支援機関とは特定技能外国人を受け入れる企業に代わり、特定技能外国人の支援を行う機関のことです。
自社で支援をしない場合は、登録支援機関に支援を委託する必要があります。

登録支援機関に委任する場合、前項で説明した義務的支援や義務的報告業務を全て任せることができます。
多くの企業では登録支援機関に委託をしており、委託料は1人あたり2~3万円が相場です。

登録支援機関とは

4-2. 義務付けられている支援

義務付けられている支援は全部で10種類あります。登録支援機関に任せることで、全ての支援を委託することができます。

支援機関の概要
出典:在留資格「特定技能」について

それぞれ10種類の支援は、具体的にどんな支援が必要なのかを下記に記載しました。
支援によっては、対象外国人の理解できる言語(原則母国語)で支援を行わなければいけないものもあります。

①事前ガイダンス ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
タイミングとしては、雇用契約を締結した後、かつ、在留資格に関する申請をする前に行います。
内容は主に下記の4点です。
労働条件|給与や勤務時間などの労働条件について説明する。
活動内容|特定技能1号で定められている活動内容について説明する。
入国手続き|入国のために必要な手続きを説明する。
保証金徴収の有無|特定技能の履行に関する保証金を結んでいないかどうか確認する。

②出入国の際の送迎
入国の際にも、出国の際にも、保安検査場の前まで一緒に同行し、入場までを見届ける必要があります。
これが必要なワケは、「失踪」を防ぐためだと考えられます。
かつて、技能実習生が実習を修了後も日本に残って働きたいがために、出国の日に失踪してしまうことが多発していました。
そのため出国して見送るまでを義務とし、出国日の失踪を減らそうとしたのではないかと言われています。
一時帰国の場合は送迎の義務はありません。

③住居確保・生活に必要な契約支援
住居の契約事項にある連帯保証人になること。銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等を案内し、手続きの補助まで行う必要があります。
住居に関しては、企業が契約する場合でも、本人が契約する場合でもプライベートスペースが7.5平方メートル(約5畳)以上の間取りが必要となっています。これはシェアハウスでも問題ありません。

④生活オリエンテーション ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
約8時間のオリエンテーションが必要になります。日本のルールやマナー、公共機関の利用法や連絡先、災害時の対応等について、円滑に社会生活を営めるように説明が必要です。

⑤公的手続き等への同行
必要に応じて、住居の確保、社会保障、税などの手続きの同行、書類作成の補助を行う必要があります。

⑥日本語学習の機会提供
日本語教室等の入学案内、日本語を学習する教材の情報提供等を行う必要があります。こちらは情報提供だけでも問題ないです。

⑦相談・苦情への対応 ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
職場で困っていることや、日本で生活する上での相談や苦情等について、外国人の理解できる言語での対応、内容に応じた必要な助言や指導等が必要です。また、勤務時間外での対応できる体制をとっておく必要があり、平日のうち3日以上・土日の内1日以上対応できる必要があります。

⑧日本人との交流促進
日本の文化・風習などに触れ合う機会を作ることが義務となっており、地域のお祭りや地域住民との交流の場の機会などの情報提供を行う必要があります。

⑨転職支援
企業側の都合などによって、雇用契約を解除する場合には、その後の転職先や求人先を探す手伝いや、推薦状の作成等が必要です。自己都合退職の場合は職サポートをする必要はありません。

⑩定期的な面談、行政機関への通報
支援責任者に定めた人物が、3ヶ月に1回以上、外国人本人とその外国人の直属の上司と面談を行う必要があります。
労働基準法違反の可否や給与が適切に支払われているかなどの確認を行い、違反がある場合、通報する義務があります。

4-3. 義務付けられている報告書類の提出

前述で解説した10種類の支援を行う必要がありますが、それとは別に四半期に一度定期報告書類を作成し、入国管理局へ書類を提出する義務と、雇用契約内容や支援等に関して何か変更があった場合に随時書類を作成し報告をする義務があります。
ほとんどの資料作成とそれに必要な情報の管理は登録支援機関に委託が可能です。

定期報告書類の提出タイミング
報告書類の提出タイミングは以下の通りです。

第1四半期…1月1日から3月31日(4月15日締め切り)
第2四半期…4月1日から6月30日(7月15日締め切り)
第3四半期…7月1日から9月30日(10月15日締め切り)
第4四半期…10月1日から12月31日(翌年1月15日締め切り)

定期報告書類の内容
特定技能は同ポジションで働く日本人と同等の給与を支払っているかもチェックされるので、賃金台帳等も提出する必要があります。定期報告書類の内容は以下の通りです。

・受入れ・活動状況
・報酬の支払い状況
・賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの)
・賃金台帳の写し(比較対象となる日本人のもの)
・支援実施状況
・支援対象者名簿
・相談記録書
・定期面談報告書(特定技能外国人のもの)
・定期面談報告書(特定技能外国人の監督者のもの)

出典:特定技能制度定期届出書の記載方法と留意点

随時報告書類の内容
随時報告書類は以下のような変更があったときに必要になります。

・雇用契約の変更
・支援計画の変更
・退職・解雇
・不正・不当行為
・官公庁指導改善
・支援機関の変更

出典:出入国在留管理庁HP:随時届出

4-4. 自社で支援をするための要件

自社で支援をしたい方は、前述した義務付けられてる支援・義務付けられている報告書類の提出を当然自社で全て行う必要があります。その上で、自社で支援を行いたい場合は、下記の要件を満たしている必要があります。

① 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある
過去2年間に社員等で外国人を雇用していた経験が求められます。

②過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること
支援責任者と支援担当者は同一人物でも構いません。

③外国人が十分理解できる言語(基本母国語対応)で支援を実施することができる体制を確保していること
雇用する特定技能外国人の母国語を話せる従業員が在籍し、支援担当者以上になることが求められます。

④支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
支援の中立性を確保するため、特定技能外国人を監督する立場にいないことが求められます。

STEP.5 ビザ変更申請を自社で行うか第三者に任せるか選ぶ

最後に対象外国人の現在の在留資格(ビザ)を特定技能の在留資格へ変更申請を行う必要があります。
こちらも支援同様、在留資格変更申請は非常に必要書類が多いため、登録支援機関や行政書士などの第三者に任せる方が多く、弊社もそうすることをおすすめしています。

とは言っても、自社で行うことも可能です。以下は在留資格変更申請について必要な書類です。

5-1. 必要書類①外国人本人に関する書類

雇用する外国人側の必要書類一覧です。

必要書類①外国人本人に関する書類
https://www.moj.go.jp/isa/content/001341631.pdf

5-2. 必要書類②企業に関する書類

企業側の必要書類一覧です。

必要書類②企業に関する書類
https://www.moj.go.jp/isa/content/001341633.pdf

以上のように、準備すべき書類はたくさんあります。
特定技能への在留資格変更申請手続きの委託を依頼した場合、1人あたり12~15万円前後が相場ですが、かかる手間や時間を考え、多くの企業は登録支援機関や行政書士等に委託をしています。

最後に

特定技能の受入までをステップ形式でお伝えしました。
最後に、勤務開始までと勤務開始後のイメージを掴んでいただければバッチリです。以下にまとめました。

勤務開始までの流れのイメージ

雇用契約を締結する際には、義務的支援項目にもある事前ガイダンスを外国人本人の理解できる言語で行います。
ビザ変更申請をして許可が出るまでには1~2ヶ月程度時間を要するので、余裕を持って採用をすることをおすすめします。
生活オリエンテーションは、外国人本人が特定技能ビザの許可後から行うことができます。勤務開始をしてからでも速やかに行えば問題ございません。

勤務開始までの流れ



勤務開始後の流れのイメージ

勤務開始後は、四半期毎に義務的支援の項目にもある定期面談や定期報告書類の提出を行います。
特定技能は基本的に1年毎の更新になるため、1年毎にビザの更新申請も必要になることも知っておきましょう。

勤務開始後の流れ
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この記事を書いた人

松里 優祐のアバター 松里 優祐 代表取締役

株式会社JJS(JapanJobSchool)の代表

主に「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」を対象とした人材紹介と支援を行っており、年間300名以上の卒業生を輩出しています。
「日本人と外国人が一緒に働けてよかったを創る」というミッションを掲げ、外国人には入社前と入社後の授業を提供し、日本企業には外国人理解をしてもらえるきっかけづくりとして、Divershipを運営中。

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