特定技能でバス運転手を採用するには?要件・流れ・定着のコツまで【バス会社向け】

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

人手不足・高齢化が進むバス業界では、外国人採用を考えている経営者の方も多いと思います。

しかし、日本の複雑な交通ルールを理解し、安全に運転できる外国人が本当にいるのか疑問も大きいことでしょう。

そこでこの記事では、特定技能でバス運転手になる外国人の能力や、外国人が定着するためのポイントを解説します。

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目次

1. バス業界の人手不足と特定技能   

在留資格「特定技能」は、国内で人手不足が深刻な産業分野に限り、外国人を労働力として雇用できる制度です。

2019年に創設され、2024年には「自動車運送業」が対象分野に追加されました。これにより、バス運転手として外国人を雇用することが可能になっています。

1-1. バス業界の人手不足と外国人採用

バス運転手の確保が、多くのバス事業者にとって深刻な経営課題となっています。

背景にあるのは、少子高齢化による労働力人口の減少と、「2024年問題」による拘束時間規制の強化です。業界調査によると、7割以上のバス事業者が人手不足を実感しており、欠員を補いきれずに減便や路線廃止を余儀なくされるケースが全国で増えています。

例えば、在籍運転手の平均年齢が50代半ばに達している事業者では、数年以内に大量のベテラン層が定年退職を迎えることが見込まれています。

国内の求人活動だけでは人員確保が難しくなっており、外国人材の受け入れを検討・開始する事業者が増えているのが現状です。

1-2. 特定技能「自動車運送業」

こうした状況の中、活用できるのが在留資格「特定技能」における自動車運送業分野です。

これまでの就労ビザでは、外国人がバスやタクシーの運転手として働くことは原則認められていませんでした。しかし、2024年の閣議決定により「自動車運送業」が特定技能の対象分野として新たに追加されました。

特定技能「自動車運送業」の主な特徴は以下の通りです。

  • 一定の技能・日本語能力を持つ外国人を、最長5年間雇用できる
  • 技能実習と異なり「労働力の確保」を正面から認めた制度
  • 即戦力として、日々の乗務を直接担当させることができる

また、「自動車運送業」は3つの区分に分かれています。

トラック運送業事業用貨物自動車第一種運転免許N4以上
タクシー運送業一般乗用旅客自動車第二種運転免許N3以上
バス運送業路線・貸切・特定バス第二種運転免許N3以上

バスとタクシーは乗客対応があるため、トラック運送業より高い日本語能力(N3以上)が求められます。

特定技能制度の仕組みを正しく理解した上で、早めに受け入れ体制の整備を進めることが重要です。

特定技能「自動車運送業」とは?外国人をドライバーとして雇用可能!

出典:地域公共交通総合研究所「2024年問題に関連した運転手不足についてのアンケート調査報告書」令和5年12月14日
出典:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」2024年4月1日施行
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」

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2. バス運送業分野で任せられる業務範囲

特定技能制度では、外国人従業員に任せられる業務範囲が厳密に定められています。もし外国人従業員に任せられない業務をさせてしまったら、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

2-1. 業務範囲

特定技能1号「自動車運送業(バス区分)」で採用した外国人に任せられるのは、旅客の運送業務およびそれに付随する業務に限られます。

【できること】
・バスの運転業務全般
・乗客の手荷物の積み下ろしサポート
・車内の清掃、忘れ物の確認
・車両の日常点検
【できないこと】
・運行管理者としての業務(配車指示の作成、乗務前後の点呼など)
  ※運行管理・データ分析・事務総合職などの業務を担わせたい場合は、特定技能ではなく「技術・人文知識・国際業務」等の別の在留資格が必要です。

2-2. 対象となるバスの種類

特定技能外国人が乗務できるバスは、道路運送法に基づく事業用自動車であればほぼすべての種類が対象となります。

  • 路線バス(乗合バス):地域住民の生活の足となる路線
  • 観光バス(貸切バス):観光ツアーや学校行事などで使用
  • 送迎バス(特定バス):特定の施設や企業と契約して運行

自社が取得している事業許可の形態にかかわらず、制度の要件を満たしていれば外国人ドライバーを現場に投入することが可能です。

出典:出入国在留管理庁「自動車運送業分野」
出典:国土交通省「自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて」

3. 採用要件ー試験・日本語・免許

特定技能バス運転手を採用するための外国人本人の要件は以下の3つです。

①特定技能試験に合格する
②日本語能力試験(JLPT)N3以上を取得している
③第二種運転免許を取得している

それぞれ詳しく説明します。

3-1. 特定技能試験

特定技能の在留資格を取得するには「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」への合格が必要です。

試験はCBT(コンピューター・ベースド・テスト)方式等で実施され、主に以下の内容が問われます。

  • 道路交通法に基づく標識・交通ルールの理解
  • 車両の構造・日常点検の実施項目
  • 事故発生時の緊急対応手順
  • 乗客に対する接遇マナー

この試験の合格は、「業務に必要な最低限の知識を持っている」という国からの客観的な証明となります。すでにこの試験に合格している外国人を探して採用するか、持ってない場合は企業側で勉強を支援する必要があります。

3-2. N3以上の日本語能力

特定技能外国人に求められる能力は、日本語能力試験の「N4(基本的な日本語を理解できる)」ですが、バスの乗務においては実質的にN3以上の日本語力が求められます。

理由は、乗務中に以下のようなリアルタイムの対応が日常的に発生するためです。

  • 乗客からの突発的な質問(「このバスは〇〇病院に停まりますか?」など)への対応
  • 車内での運賃精算やICカードのトラブル対応
  • 渋滞・事故発生時に営業所へ状況を正確に報告する無線連絡

しかし、現場でのトラブルを防ぎ、乗客に安心感を提供するためには、N3では不十分であり、日本企業で働ける基準と言われるN2以上のコミュニケーション能力を持つ人材を選定、または入社前に教育しておかなければなりません。

外国人の日本語レベルはどれくらい?

JLTP、N1、N2とは?
実際働いている、もしくはこれから働こうとしている外国人は
どのくらい日本語力があるのか、経験とともに解説します!

3-3. 第二種運転免許

外国人材が日本でバスを運転して旅客から運賃を収受するには、日本人と同様に「大型第二種運転免許」の取得が必要です。

日本の道路交通法では、国籍を問わず事業用の旅客輸送に従事する場合は第二種免許の取得が義務付けられています。

【注意点:母国での運転経験】
母国で長年バスを運転していた経歴があっても、日本の免許なしにバスを運転することはできません。日本人同様、教習所で日本の免許を取得する必要があります。
しかし、中型や大型免許などの取得条件の1つである「運転歴3年以上」には、母国での運転歴も含まれます。
また、第二種免許を短期間で取得できる「特例教習」の受講条件「運転歴1年以上」にも、母国での運転歴が含まれます。
これらのことから、来日後すぐに働き始めてもらえる外国人バスドライバーを募集する際には、母国での運転経験も重視してみるのもいいかもしれません。

学科試験は以前は日本語と英語のみの対応でしたが、2024年より、20言語での受験が可能になりました(第一種・第二種ともに対象)。

ベトナム語・ネパール語・ミャンマー語・インドネシア語・中国語などに対応しており、母国語で試験を受けることができます。

特定活動(特定自動車運送業準備)

海外から呼び寄せる候補者が来日前に日本の第二種免許を取得することは不可能なため、「特定活動(特定自動車運送業準備)」という準備用の在留資格が設けられています。

この制度を使った採用の流れは以下の通りです。

① 内定を出した外国人を「特定活動」ビザで来日させる

② 来日後、給与を受け取りながら業務補助(清掃・荷物の積み下ろし等)に従事

③ 並行して教習所に通い、第二種免許の取得を目指す

④ 免許取得後、「特定技能1号」へ在留資格を変更し、乗務を開始

特定活動ビザを活用することで、海外の候補者を自社のバス運転手として育成・確保できます。

出典:神奈川県警察「外国語での学科試験について」令和6年6月28日施行
出典:在出入国在留管理庁「自動車運送業分野の「特定技能1号」になるための準備活動(日本の運転免許取得又は新任運転者研修の修了)を希望する場合(「特定活動」(特定自動車運送業準備))」

4. 受け入れ企業が満たすべき要件

特定技能制度で外国人バス運転手を受け入れる企業が満たす要件は主に2つあります。

・協議会加入
・働きやすい職場認証の取得

それぞれ詳しく説明します。

4-1.協議会加入

特定技能外国人のバス運転手を受け入れる企業は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。

【協議会加入の規則】
加入期限:初めて特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内
加入後:国土交通省や協議会が実施する状況調査への協力が必要
違反した場合:受け入れ許可が取り消されるペナルティがある

協議会は、業界全体で外国人材の適切な受け入れと保護を図るための機関です。加入を怠ると制度を継続して利用できなくなるため、必ず期限内に手続きを完了させましょう。

【分野別一覧付き】特定技能の協議会とは?加入要件や入会方法、費用など分かりやすく解説

4-2. 働きやすい職場認証の取得

自動車運送業分野で特定技能外国人を受け入れるには、以下のいずれかの認証・認定を取得している必要があります。

  • 「働きやすい職場認証制度」の認証
  • Gマーク(安全性優良事業所認定)」

審査では、主に以下の点が確認されます。

  • 運転者の労働時間・休日が法令に沿って管理されているか
  • 社会保険への加入が徹底されているか
  • 定期的な健康診断・安全衛生教育が実施されているか

この認証は一時的な書類整備では取得できません。日々の労務管理体制を整え、適正な運用実績を積み重ねることが必要です。外国人材の受け入れに向けた準備として、早めに取り組んでおくことをおすすめします。

出典:国土交通省:「自動車運送業者の働きやすい職場認証制度」
出典:全日本トラック協会「安全性優良事業所 認定制度」

5. 採用の流れ

外国人バス運転手の採用から乗務開始までは、通常数ヶ月の準備期間が必要です

日本人の採用には発生しない行政手続きや生活支援が加わるため、ステップごとに確認しながら進めることが重要です。

STEP
募集・選考・内定

自社に今どんな人材が必要なのか慎重に、且つ具体的に見極めることが大切です。その上で候補者のスキルや適性を確認し、内定を出します。

STEP
事前ガイダンスの実施(在留資格申請前に必須)

労働条件・業務内容・給与明細などを「母国語」で正確に説明する ※ガイダンスを行った記録(実施状況報告書)がビザ申請に必要です。

STEP
在留資格の申請

出入国在留管理庁(入管)へ書類を提出します。審査期間は1〜3ヶ月程度

STEP
入国・生活環境の整備

住民登録、銀行口座の開設、携帯電話の契約などを企業主体でサポートします。
※役所手続きや契約には母国語の通訳が必要なケースが多い

STEP
教習所入校・第二種免許の取得

「特定活動」ビザで準備を進め、免許取得を目指します。
目安期間:通学で1.5〜3ヶ月、合宿免許なら最短3〜4週間

STEP
在留資格の変更・乗務開始

「特定技能1号」へ変更し、バス運転手としての勤務をスタートします。

3分で分かる!採用までの流れを簡単解説

外国人を採用する前に必要な事とは?そもそも在留資格とは?など外国人を採用する際に気になることを分かりやすく解説

6. 外国人バス運転手 定着のポイント

外国人バス運転手が早期に退職してしまう理由の多くは、運転技術の問題ではありません。

乗客とのコミュニケーションのストレス」「職場の人間関係」「生活面での孤立などの、職場環境や生活環境に関わる問題が主な要因です。

「採用できた」で終わりにせず、入社後の定着に向けた体制づくりが、長く活躍してもらうための鍵になります。

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6-1. 定着率に直結する日本語・マナー教育

入社前・入社後を通じた継続的な「日本語教育」と「ビジネスマナー教育」は、定着率を高める上で重要な投資です。

特にバス乗務においては、以下の点を習得させることが実務上の効果につながります。

・バス業界特有の専門用語や、乗客向けのアナウンスに使う正しい敬語「少々お待ちください」「申し訳ございません」などのクッション言葉
・時間厳守・身だしなみなど、日本のサービス基準の背景にある考え方
・報・連・相(報告・連絡・相談)の習慣化

日本語力とマナーが向上することで、乗客クレームの減少につながり、運転手自身の心理的負担も軽くなるでしょう。

事例から学ぶ:外国人従業員とのトラブル解決法と予防策

6-2. 入社後の支援体制が定着率を決める

見知らぬ国で新生活を始める外国人は、職場でも私生活でも多くの不安を抱えています。

定期的な面談を実施して悩みを早めにキャッチし、地域コミュニティへの参加を促すなど、日本での「居場所」づくりを支援することが大切です。

困ったときに母国語で相談できる窓口

日本語が堪能な人材であっても、職場の人間関係やプライベートの悩みを第二言語で正確に伝えることは容易ではありません。

母国語で相談できる窓口や担当者を設けることで、問題が深刻になる前に対処できます。

よくある相談例:
「先輩ドライバーの指導がきつくて精神的につらい」
「家族が病気になり一時帰国したいが、言い出せない」
「給与明細の控除項目が理解できない」 など

母国語で話せるメンターや相談担当者がいるだけで、退職につながるトラブルを未然に防ぐセーフティネットになります。

生活面のトラブル(住居・銀行・役所手続き)のサポート

日本の賃貸契約・行政手続きは、日本人にとっても複雑です。外国人が単独で対応することは難しいため、企業側のサポートが求められます。

  • アパート契約:保証人探し、敷金・礼金など日本独自のルールの説明
  • 銀行口座の開設・ライフラインの契約代行
  • 病院受診時の付き添いと問診時の通訳
  • ゴミの分別ルールや近隣とのマナーなど、生活習慣の案内

生活面の不安が取り除かれることで、仕事に集中できる環境が整いますこうした支援が定着率の向上に直結します。

日本人スタッフとの関係構築|受け入れ側の意識づくり

職場でのトラブルの多くは、受け入れる側の日本人スタッフとのコミュニケーション不足から生まれます。外国人材の配属前に、既存スタッフへの準備を行っておくことが効果的です。

  • 出身国の文化・宗教・国民性を学ぶ研修の実施
  • 専門用語を避けてゆっくり明確に話す「やさしい日本語」のトレーニング
  • 「一緒に働く仲間として迎える」という職場の雰囲気づくり

受け入れ側の意識が整うことで、外国人材は帰属意識を持って働くことができます。定着に向けた取り組みは、外国人材だけでなく、既存スタッフも含めた職場全体の改善につながります。

6-3. 紹介会社・登録支援機関の選び方

特定技能外国人の採用・定着には、行政手続き・母国語サポート・日本語教育・生活支援など、幅広い業務が伴います。

これらを自社の人事部だけで対応することは難しいため、多くの企業が専門の機関に委託しています。

支援機関を選ぶ際は、費用の安さだけで判断せず、以下の点を確認することをおすすめします。

  • バス運送業界の特性を理解しているか
  • 現地での選考・教育体制が整っているか
  • 母国語対応のサポート窓口が社内にあるか
  • 入社後のトラブル時にも現場レベルで対応してもらえるか

「初めての外国人採用で何から始めればいいかわからない」という場合は、お気軽にご相談ください。

7. まとめ

特定技能「自動車運送業」を活用した外国人バス運転手の採用は、深刻なドライバー不足の解決策の1つです。

ただし第二種運転免許の取得サポート行政手続き入社後の生活支援など、日本人採用にはない対応が多く発生します。制度を正しく理解した上で、余裕を持って準備を進めることが大切です。

「外国人バス運転手の採用を検討しているが、何から始めればいいかわからない」というバス会社の経営者・人事担当者の方は、ぜひJJSにご相談ください。

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この記事を書いた人

主に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「外国人マネジメント」「企業・外国人インタビュー」などの情報をこれから外国人を採用したい企業様向けに発信しています。編集部は外国人の人材紹介と支援を行っているJapanJobSchoolの社員で構成されており、専門家ならではの視点からお届けします。

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