飲食製造業で外国人を雇用する際にどの在留資格を選べばよいのか。在留資格ごとの特徴を説明します。
食品製造業の現状
飲食料品製造業は事業所数と従業員数は日本の製造業の中では一番です。飲料品製造業分野ではある程度目視や手作業に頼らざるを得ない工程もあり機械化にも限界があります。なので製造業の中でも人手不足のダメージをかなり受けています。
人手不足を解消するために外国人の雇用が推奨され、活発になっていることは皆さまもご存じでしょう。日本での食料製造業では既に約13万人の外国人が雇用されています。
割合としては技能実習が55697人で専門性が高い在留資格では4752人、永住権を持った人が43065人、留学生(アルバイト)や家族滞在が27297人となります。
技能実習が一番多いですが、このデータは2019年10月にできたもので2019年4月にできた「特定技能」のデータはまだ多くないです。現場業務(単純労働)ができるという特徴を考慮すると飲食料品製造業に従事する外国人がさらに増えることが予想されます。
技能実習
技能実習は発展途上国である母国にもどって日本の技術を伝えることを目的とした在留資格となります。なので就労ではなく実習になります。
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技能実習には1号、2号、3号があり1年→2年→2年の順で試験に合格することによって更新することができます。なので最大5年従事することができます。
技能実習で可能な飲食料品製造での業務はこちらになります。
業種 | 1号 | 2号 | 3号 |
---|---|---|---|
缶詰巻締 | ○ | ○ | ○ |
鳥処理加工業 | ○ | ○ | ○ |
加熱性水産加工食品製造業 | ○ | ○ | ○ |
水産練り製品製造 | ○ | ○ | ○ |
牛豚食肉処理加工業 | ○ | ○ | ○ |
ハム・ソーセージ・ベーコン製造 | ○ | ○ | ○ |
パン製造 | ○ | ○ | ○ |
そう菜製造業 | ○ | ○ | ○ |
農産物漬物製造業 | ○ | ○ | ✖ |
医療・福祉施設給食製造 (※外食業分野での対応。) | ○ | ○ | ✖ |
めん類製造業 | ○ | ✖ | ✖ |
冷凍調理食品製造業 | ○ | ✖ | ✖ |
菓子製造業 | ○ | ✖ | ✖ |
めん類製造業・冷凍調理食品製造業・菓子製造業は技能実習1号にしかない業務となっていて1年間しか働くことができません。なので,めん類製造業・冷凍調理食品製造業・菓子製造業を任せようとしている場合は今から説明する特定技能を検討した方が良いでしょう。
特定技能
特定技能という在留資格をご存知でしょうか?
こちらは2019年4月にできたもので、日本の現場業務(単純労働)の人手不足を解消を目指してできたものになります。技能実習制度ほどの知名度はありませんが今後需要が増していくことは確実です。
在留期間は最大5年で、雇用形態は直接雇用になり派遣は認められていないです。
報酬は同程度の技能の日本人と同等の金額です。
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その特定技能には14業種あります。その中で今回は「飲食料品製造業」について触れていきます。
特定技能「飲食料品製造業」
「飲食料品製造業」では現在7業種あります。例えばその中の1つの食料品製造は中分類として下記の画像のように9つに分かれています。
- 食料品製造業(中分類09)
- 清涼飲料製造業(小分類101)
- 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)(小分類103)
- 製氷業(小分類104)
- 菓子小売業(製造小売)(細分類5861)
- パン小売業(製造小売)(細分類5863)
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(細分類5897)
この中で注意なのは酒類は含まれていないという点です。
そして従事する外国人は、食料品製造業全般に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業等)に付随的なら従事することはできます。
特定技能の取得パターン
現段階では2つ方法があります。
①飲食料品製造業技能測定試験の合格
日本語能力試験N4以上(国際交流基金日本語基礎テスト)
②技能実習2号以上を良好に修了し移行
のどちらかです。
①の技能測定試験は国外と国内の両方で試験を受けることができます。
国外での受験資格は試験日において17歳以上であることで、国内での試験はそれに加えて「退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券を所持していること」が必要です。
2019年では3488人が受験し2767人が合格しましたので、約80%が合格したことになります。受験費用は国内だと8000円、国外だと3500円です。
試験内容は
⑴学科試験
食品安全・品質管理の基本的な知識、一般衛生管理の基礎、製造工程管理の基礎、HACCPによる衛生管理、労働安全衛生に関する知識について日本語で出題されます。
⑵実技試験
学科試験と同テーマで図やイラストを用いて技能水準を測定します。
OTAFF特定技能1号技能測定試験
②についてはこれから説明いたします。
特定技能から技能実習への移行
技能実習2号または3号を良好に修了した外国人は、特定技能の食料品製造業技能測定試験が免除されます。つまり技能実習での在留期間にに加え、さらに試験なしで「特定技能」で5年間在留することができます。
つまり技能実習1号にしかない、めん類製造業、冷凍調理食品製造業、菓子製造業は試験が必要になります。
まとめ
人手不足の深刻な製造業では遅かれ早かれ外国人の雇用を検討するタイミングが来るでしょう。
そして食料品製造業の現場で外国人の正規雇用を考える際は、「特定技能」か「技能実習」の在留資格で検討がベストです。そしてどの業務内容を任せるか、何年間雇用したいかの兼ね合いで在留資格を決めた方が良いでしょう。
藤井 拓海
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