特定技能人材の受入れにあたっては、住居の確保や母国語での雇用条件等の説明など、様々な支援を特定技能人材に実施しなければなりません。この支援は、もちろん受入企業が自社で行っていいわけですが、「登録支援機関」へ委託することも可能です。
今回は、支援を登録支援機関へ委託することによるメリットを具体的にご紹介します。

登録支援機関の役割

登録支援機関とは、特定技能人材の支援を行うとして出入国在留管理庁に登録された、法人や個人事業主です。
登録されるために外国人受入れ実績や支援責任者などの選任が求められており、現在は一般企業から行政書士法人、協同組合など幅広く登録されています。
特定技能人材を受入れる際には支援計画を作成してそれを実施しなければなりませんが、受入企業はこれを登録支援機関に委託することが可能です。
それ以外にも、登録支援機関は外国人の受入れ実績があり特定技能制度を熟知しているため、様々な面で特定技能人材受入れのサポートをしてもらえます。

登録支援機関を活用するメリット

支援業務に時間と労力を割かずに済む

特定技能人材を受入れる場合、受入前には事前ガイダンス(3時間程度)、入社直後には生活オリエンテーション(8時間以上)を行わなければなりません。
その後も、3カ月に1回以上の頻度で行う定期面談や、万が一解雇するときには転職支援など、多岐にわたる支援業務を行う必要があります。
これらの支援を行うためには、法務省が作成している実施要領の内容を頭に入れ、通訳担当を手配し・・・と多大な労力と時間が掛かってしまいます。
登録支援機関はこういった支援業務を専門に行なっているので、支援委託することで時間と労力を他の業務に回すことが可能です。

書類作成

大抵の登録支援機関は、特定技能人材の入国時や入社後の入管手続きもサポートしてくれます。
入国申請や在留資格の更新申請の際には、多ければ30種類以上の書類を作成・準備しなければなりません。
自社で特定技能人材の受入れをする場合は、必要書類をどこへ請求するか、申請書にどのように記載すべきかを各所に問い合わせする必要が出てきて、多くの時間を奪われてしまいます。
もちろん、申請の部分だけ行政書士などに頼むこともできますが、申請書の作成はかなりの支払いが必要となります。
そちらに費用を投じるなら、支援計画も実施してもらえる登録支援機関に頼むほうが、高いコストパフォーマンスが期待できます。

人材の交代

登録支援機関のうち、一定数は人材紹介会社となっています。特定技能で受入れた人材が残念ながら期待していた能力を発揮できない場合、会社になじめないような場合などは、別の人材と交代したくなるのではないでしょうか。
登録支援機関を活用しない受入れであれば、新たに人材を探すのも一苦労ですが、登録支援機関を活用していれば、人材の交代を希望した場合に速やかに提案してもらえるサービスを実施しているところもあります。
外国人材ということで、日本人以上にマッチングが難しいところですが、こういったところも登録支援機関を活用する利点となります。

特定技能人材の”ガス抜き”役としても

特定技能人材は、狭いコミュニティーでの生活を余儀なくされることがよくあります。母国の家族や友人を除くと、会社で会う日本人や同じ国出身の同僚ぐらいとしかコミュニケーションを取らないことも少なくありません。
日々仕事をする中で、大なり小なりイヤなことや会社への不満は出てくるものですが、自社での受入れの場合は、特定技能人材には相談相手がいないということになってしまいます。
こういったとき、登録支援機関に支援を委託していれば、特定技能人材は自分の会社に属していない第三者に相談することができます。
会社への不満が積み重なって転職してしまうというリスクの減少が期待できます。

受入主体は登録支援機関ではない

登録支援機関に委託した場合に注意しなければならないのは、支援委託をしたとしても特定技能人材の受入主体は自社であるということです。
農業や漁業での派遣による受入れを除くと、特定技能人材の最終的な管理責任や、帰国担保措置などは受入企業が責任を負うことになります。

まとめ

登録支援機関を通して特定技能人材を受入れることに関しては、様々な面でメリットがあることがおわかり頂けたのではないでしょうか。
数少ないデメリットとして考えられるのは金銭的コストですが、登録支援機関によっては支援計画の実施以外にも幅広くサポートしてもらえるところもあります。初めての外国人材受入れというような場合は、積極的に登録支援機関を活用することで、スムーズな受入れが可能となるでしょう。

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竹村 友希

過去3000名以上の外国人を指導してきた日本人理解授業を担当する講師。前職の介護職での経験を生かし、日本人の人口の大半を占める高齢者層と、どのようにコミュニケーションをとるべきか、どのような理解が必要かなどをメソッド化し教えている。