こんにちは!

Japan Job Schoolマネージャーの竹村です。

今回は、2019年3月7日のJNNニュースで報じられた、ブータン人留学生の訴えについて取り上げたいと思います。(ちなみに今回の記事のイメージ画像はブータン国旗です)

・ブータン人留学生100名の訴え

「日本留学時に騙された」

ネパール人留学生100名超が、日本留学時に留学凱旋業者から「日本語学校を卒業すれば就職できる」「年収460万をもらえると聞いていた」と言われ、来日したとの訴えを出しました。

その際の契約書には「2年間の日本語学校を卒業すると、年間460万円稼げる仕事を凱旋する」と記載されていたようです。

ブータンでは大卒者の初任給が日本円で約3万程度ということもあり、この話に飛びついた学生は多かったようです。しかし、日本に留学する際にかかる費用が120万円にも上り、ほとんどの学生が借金をして来日していたようです。

しかも、日本出発前に内容を確認せず別の契約書にサインするよう促され、そちらには「日本語能力試験2級(N2)を習得しないと仕事を凱旋しない」と但し書きがあったそうです。

結果、100名以上の学生が仕事を凱旋してもらっておらず、保護者ら500名が被害者の会を結成するという事態になりました。

・私が感じた3つの問題点

私がこのニュースを目にした時、もちろん騙したとされる業者側の責任は大きいと思いましたが、同時に大きく3つの問題点を感じました。

1つ目は、学生側の勉強不足です。

確かに日本語能力試験2級は取得が非常に難しく、中学~高校レベルの漢字や文章表現が出てきます。特に非漢字圏の学生にとっては、漢字はただのマークにしか見えないでしょう。(私たちがアラビア語を勉強するようなものでしょう)

だからといって、取得が不可というわけではありません。意識の高い学生であれば、日本語学校在籍中にN2を取得している者もおります。

年収460万円といえば、大卒初任給でも先ず無理な金額でしょう。それを努力せずもらえる、と思ったのは考え方が甘かったと言わざるを得ません。

2つ目に、学生側の危機管理不足です。

先のN2の但し書き書類にサインする際、内容の確認はしっかり行わなかったのでしょうか。その場にいなかったため、どのようなやり取りがあったのかは定かではありませんが、サインの重要性をもっと考える必要があったのではないでしょうか。

これは先進国と後進国のサインに関する重要性の違いなのかもしれませんが、私も学生と接していてよく感じます。前者では、契約書に記載された内容に対し尊寿する必要があるという認識があると思いますが、後者では契約後にゴネ得を狙ったり交渉をしたりといったことが日常茶飯事のようです。

3つ目は、留学凱旋業者の知識不足・いい加減さです。

当校の学生で、母国で大卒にも関わらず、入国時の書類で高卒と申請してしまっていた学生がおりました。本人曰く、来日時に凱旋業者から「大卒で申請するより高卒で申請した方が留学ビザが取りやすい」とアドバイスされ、言われるままにしてしまったとのことでした。

それは嘘の情報で、母国の大卒者の方がビザ取得においては色々な面で有利です。例えば、就労ビザでは大卒者の方が専門学校卒の者に比べ、ビザの認可が下りやすいという特徴があります。(本人の専攻科目、就職先の業種によって差異はあります)

その学生は、凱旋業者に高いお金を支払ったにも関わらず、自分で自分を不利にするような行動をしてしまっていました。

・問題点のまとめ

①学生側の勉強不足

②学生側の危機管理不足

③留学凱旋業者の知識不足・いい加減さ

①②に関しては、日本に呼ぶ前の教育をより強化していく必要があるでしょう。就職する為には日本語能力がどれくらい必要なのか、その為にどんな勉強が必要なのか、先進国で暮らす上での注意点などです。(特に契約は知らなかったでは済まされないことなど)

来日前に現地の日本語学校でも6か月程、日本語を勉強する期間がある為、その期間に教え込む仕組みづくりが必要でしょう。

③に関しては、4月の入管法改正に伴い、悪質な業者を排除していく施策が政府からも発表されています。その効力が日本国内の業者のみならず、国外の業者にまで目を光らせる必要があるかもしれません。

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竹村 友希

過去3000名以上の外国人を指導してきた日本人理解授業を担当する講師。前職の介護職での経験を生かし、日本人の人口の大半を占める高齢者層と、どのようにコミュニケーションをとるべきか、どのような理解が必要かなどをメソッド化し教えている。