この回では特定技能の14種の中の「産業機械製造業」について簡単に詳しく説明していきます。
産業機械製造業の現状
経済産業省の発表によると産業機械製造分野での人手不足は2023年には7万5000人にも及ぶと発表しています。有効求人倍率は2.89倍となっておりその中でも金属プレス工は2.97倍でプラスチック製品製造工は3.7倍と深刻な人手不足に陥っていることがわかります。産業機械製造分野では3つの求人に1つの応募しかないような現状になっています。
この人手不足が早急に改善できる見通しが立っていないため特定技能という新しい在留資格ができました。
2023年までの特定技能「産業機械製造業」の受け入れ見込み数は最大5250人となっています。こちらは上限となっています。
特定技能とは
初めに特定技能とは2019年4月にできた新しい在留資格になります。日本の現場業務(単純労働)の人手不足を解消するため作られました。
特定技能で就労可能な業務は決まっており、14業種あります。特定技能には1号と2号がありますが2号は建築業と造船・船用工業の2つしか今のところ可能な業務はありません。
雇用形態は直接雇用のみで派遣は認められていません。最大5年間の在留が可能です。
特定技能1号の14業種の1つの「産業機械製造業」について今回は解説いたします。
【2021年最新版】3分でわかる、特定技能ビザとは?就業可能な職種は?
「産業機械製造業」にあたる事業所
以下の産業分類に当てはまる事業所は産業機械製造業の対象となります。
2422 機械刃物製造業
248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
25 はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。)
26 生産用機械器具製造業(ただし、素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。)
27 業務用機械器具製造業(ただし、以下に掲げられた業種に限る。)
270 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)
271 事務用機械器具製造業
272 サービス用・娯楽用機械器具製造業
273 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業
275 光学機械器具・レンズ製造業
特定技能「産業機械製造業」可能な職種は?
実際に外国人が従事可能な業務は全部で18あります。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
この特定技能「産業機械製造業」を取得するには2つ条件があり
①製造分野特定技能1号試験の合格
②日本語能力試験のN4以上 or 国際交流基金日本語基礎テスト
の2つが必要になります。
ここで注意が必要なのは、特定技能「産業機械製造業」を取得する際に合格した試験内容のみ従事可能ということです。現状、この技能測定試験が行われたのは1回なので技能実習→特定技能への移行が主流となっています。
製造分野特定技能1号試験は19個に分かれています。
以下が試験の種類になります。
鋳造、鍛造、ダイカスト、機 械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処 理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリン ト配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装
この中で、例えば「鋳造」の試験のみに合格した場合、主な業務内容は「鋳造」になります。「めっき」の内容の業務につくことはできません。
しかし同内容に従事している日本人が通常行なっている一般業務であれば、一定量なら認められます。
① 原材料・部品の調達・搬送作業
② 各職種の前後工程作業
③ クレーン・フォークリフト等運転作業
④ 清掃・保守管理作業
このような業務は付随的な従事なら可能です。
技能実習から特定技能「産業機械製造業」への移行
在留資格である技能実習から特定技能への移行によって最長10年間従事することができます。
技能実習1号(1年間)➡︎2号(2年間)➡︎3号(2年間)➡︎特定技能(最大5年間)
そして技能実習の頃に従事していた業務内容と、特定技能として従事させようとしている業務内容が同じ場合、特定技能取得の際の技能測定試験(製造分野特定技能1号試験)が免除されます。
技能実習2号を良好に修了した者については、必要な技能と日本語能力を満たしているものとして、技能試験及び日本語能力試験が免除となります。
経済産業省:資料より
と政府は発表しています。
なので技能実習(2号以上)から特定技能の移行は同じ業務であれば比較的簡単に行うことが可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「産業機械製造業」で当てはまらない場合は、特定技能「素形材産業 」もしくは「電子・電子情報関連産業」であてはまる可能性が高いです。
人手不足が深刻な産業である産業機械製造業での外国人雇用は近い将来需要が増していきます。今のうちに外国人雇用の知識を蓄えておくことは得策でしょう。
藤井 拓海
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