外国人材の採用手段として、特定技能人材はじわりじわりと伸びてきています。最近は外国人の入国が禁止されていることもあり、実習生を特定技能へ移行させることによる特定技能人材の受入れが活発になってきています。
特定技能人材の受入れは、登録支援機関を介さずに行うことも可能です。自社のみで受入れを行うための確認事項や注意点をまとめました。

人材の確保

実習生からの移行

冒頭でも少し触れましたが、実習生が技能実習を3年間修了し、技能検定3級の実技試験に合格していれば、特定技能への移行が可能です。
自社で実習生を受入れている場合であれば、人材紹介会社などの手を借りることなく、正に自社のみで特定技能人材の受入れができると言えます。
なお、他社で技能実習を3年間修了した人材・終了する見込みの人材を受入れることも可能ですが、技能実習での職種と受入れ予定の職種が違う場合は、特定技能用の試験合格が必要です。

試験合格者の受入れ

特定技能人材受入れの主な手段として想定されていたのが、特定技能用の試験合格者の受け入れです。しかし、今なおすべての職種で試験が開始されているわけではありません。
こちらの方法で人材を確保する場合は、人材紹介会社からの紹介を受けることになるでしょう。特定技能の人材紹介会社は、登録支援機関を兼ねているところも多数見受けられます。

受入れの要件

特定技能一般の要件

登録支援機関の有無に関わらず、特定技能人材を受入れる際に遵守すべき要件です。

解雇ゼロ

特定技能人材と雇用契約を結んだ日から1年以内に解雇者を出している場合は、新たに特定技能人材を受入れることはできません。
これは、「日本人を辞めさせて外国人を雇う」ということを禁止するためのものです。もちろん、特定技能人材との雇用契約締結後も、解雇者を出せば1年間は特定技能人材を受入れるこができなくなります。

自社で行う場合に注意すべき要件

こちらは、登録支援機関に委託しない場合に必要となってくる項目です。

外国人材の受入実績

特定技能人材を支援委託せずに受入れる場合、過去2年間に外国人材(正確には、中長期在留者)を受入れた実績が必要です。「受入れた実績」については、過去2年間のうちに3カ月以上が一つの目安になっているようですが、実績が2年未満の場合は事前に入管へ問い合わせをしておくことをおすすめします。

支援計画の作成・実施

特定技能人材受入れにあたっては、支援計画を作成し、これを実施しなければなりません。
支援計画の主な内容は以下のとおりです。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国時の送迎
  • 寮の確保
  • 生活オリエンテーション
  • 日本語学習の機会の提供
  • 定期面談
  • 会社理由で解雇したときの転職支援

外国語による支援体制

自社のみで特定技能人材を受入れるためには、通訳ができる担当職員を確保する必要もあります。非常勤職員でも可とされています。

入管への申請

実習生などからの移行

実習生や試験に合格した留学生などを特定技能人材として受入れる場合は、「資格変更」申請となります。
必要書類は出入国在留管理庁の以下のウェブサイトで公開されています。

http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00196.html

国外からの受入れ

試験に合格した海外にいる人材を受入れる場合は、入国申請(在留資格認定証明書交付申請)が必要です。
必要書類は資格変更と共通するものも多くなっています。は出入国在留管理庁のウェブサイトは以下のとおりです。

http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00196.html

転職での受入れ

既に特定技能として他社で就労している人材を転職者として受入れる場合は、入国管理局への申請は必要ありません。
ただし、特定技能人材の所属企業が変わることになるので、「所属機関に関する届出」を転職した日から14日以内に提出する必要があります。

入社後に必要なこと

支援計画の実施

「受入れの要件」でも簡単に触れましたが、特定技能人材の入社後は、入管申請時に作成した支援計画を実施していかなければなりません。
実施項目は多数あり、【特定技能】支援は、自社でやるべきか?登録支援機関に委託をするべきか?の「4.「自己完結型」で受入れるには」で詳しく説明しています。是非ご一読下さい。

各種届出

特定技能に関する法令などでは、次の項目に関して届出をすることが求められています。

  1. 雇用契約の内容(給与・控除額など)を変更したとき
  2. 雇用契約を終了したとき
  3. 支援計画を変更したとき
  4. 登録支援機関と契約を締結・変更・終了したとき
  5. 特定技能人材の受入れが困難になったとき
  6. 受入れに関して法令違反を行ったことがわかったとき
  7. 特定技能人材の受入れ状況
  8. 支援計画の実施状況
  9. 特定技能人材の活動状況

このうち、7〜9番の届出については3カ月1回の頻度で入管へ届出る必要があります。様式は出入国在留管理庁のホームページ内
http://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/10_00020.html
で公開されています。

帳簿書類の備え付け

特定技能人材受入れ後は、以下の書類を作成し、事業所に備え置かなければなりません。ちなみに、書類のフォーマットは自由で、法務省が指定するフォーマットは特にありません。

  • 特定技能人材の管理簿
    ――名前や在留カード番号をまとめます。Excelで管理しておけば問題ありません。
  • 活動状況に関する帳簿書類
    ――就労場所、受入れや支援に要した費用について記載しておきます。
  • 雇用契約の内容・雇用条件
    ――雇用契約書、雇用条件書を会社で保管しておけばOKです。

この他、日本人従業員を雇用したときと同様に、賃金台帳やタイムカード(または出勤簿)も適切に作成・保管しておくことが求められています。

まとめ

自社で特定技能を受入れるためには、人材の確保、入社時の手続き、入社後の届出書・帳簿書類作成と、担当者は様々な作業に忙殺されることになります。
しかし、自社で支援ができる体制が整っているのであれば、支援委託コストなどを下げることも可能ですので、気になる方は無料相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

The following two tabs change content below.

竹村 友希

過去3000名以上の外国人を指導してきた日本人理解授業を担当する講師。前職の介護職での経験を生かし、日本人の人口の大半を占める高齢者層と、どのようにコミュニケーションをとるべきか、どのような理解が必要かなどをメソッド化し教えている。