新型コロナの感染拡大状況がステージ4に達したということで、1月8日に1都3県に緊急事態宣言が発出されました。その後、14日には2府5県が対象地域に追加され、さらに外国人が全面的に入国禁止となってしまいました。
外国人材の採用活動が極めて進めにくい状況になっていますが、すべての業界で人手不足が解消されているわけではありません。
今回は、外国人の往来がスムーズに行かないコロナ禍にあって、外国人材採用をどのように進めていけばいいか、採用手段ごとにまとめました。

特定技能

3年満了した実習生

国外から人材を呼び寄せられない現状を考えると、特定技能人材を新たに採用する方法の1つは、国内にいる技能実習3年満了者を特定技能に移行させることです。
(建設業の一部職種など、特定技能に移行できないものもあります)
自社に実習生がいない場合は、登録支援機関も兼ねている監理団体に問い合わせると、人材を紹介してもらえるかもしれません。登録支援機関だけを手掛けている会社でも、独自のネットワークを持つところは人材紹介が可能でしょう。
最近は、技能実習を3年満了したものの帰国できる、受入企業も退職となって行き場を失っている実習生が多く日本に残っています。彼ら・彼女らとうまくマッチングできれば、双方にとって願ったり叶ったりではないでしょうか。

特定技能の転職者

特定技能は転職可能な制度なので、国内の他の企業で働いている特定技能人材に転職して来てもらうことも可能です。
ただ、昨年9月末の時点で日本にいる特定技能人材は8,769人で、それから3カ月経っているとはいえ、コロナ禍の中それほど人数は増えていないでしょう。
人材が少ないことを考えると、技能実習から移行させるほうがまだ現実的です。

今後の展望は?

実習生を経験していない外国人を特定技能で受入れるには、技能試験への合格が必要です。
コロナの影響で中止や延期となっていた試験もありましたが、徐々に国内外での試験が実施されるようになってきています。加えて、ベトナムなどからの入国も少しずつ復調傾向にあります。(現時点では入国禁止となっていますが…。)
将来的に特定技能人材が欲しいという場合であれば、早めに動き始めることで、人材採用に関するコロナの影響を少なく済ませることができそうです。

実習生

そもそも、入国までに約半年

実習生は、入国前に日本語講習を受けることが一般的で、期間を5カ月間としている監理団体(組合)が大半です。今すぐに人手が欲しい場合の人材採用手段ではありません。
入国前の講習があるので、これから面接をしたとしても、実習生が入国してくるのは夏頃になります。
ここ最近は、入国を待つ実習生が多く、ビザ申請から発給までの日数が普段よりも長くなっているようですが、半年もすればそういった影響もなくなり、予定どおりの入国ができるでしょう。

3号移行も増加傾向

実習生を受入れ中の企業であれば、既にご存じのことと思いますが、2号を修了した実習生を3号に移行し、2年間雇用を延長することが可能です。
そのためには技能実習制度における「優良企業」になる必要がありますが、条件を満たせば安定して実習生の雇用を継続できます。

技術者・エンジニア

国内の転職者

技術者・エンジニアも、コロナ禍の中で素早く人材採用しようとすると、国内で転職者を探す必要があります。場合によっては、人材会社の方から積極的に紹介してくる場合もあるようです。
転職者を採用する場合に気をつけなければならないのが、外国人本人の学歴です。技術者は、自分が大学などで専攻していた学問と関係のある仕事をする目的で、日本での就職が認められています。畑違いの人材を採用することはできません。
また、技術者・エンジニアに単純労働をさせることもできません。入管に摘発されると、特定技能や実習生を含め、一切の外国人を雇用できなくなってしまいます。

今後の展望は?

国外人材の採用については特定技能と同じで、少しずつコロナ前のようにスムーズになっていくと見られます。
記事公開の時点では外国人が全面的に入国禁止となっていますが、技術者・エンジニアにはレジデンストラックというスキームを政府が用意しているので、対象となっているベトナム人などは、禁止措置が解除されれば入国できるようになっています。

まとめ

コロナ禍の外国人材採用は、やはり国内にいる外国人をどのように確保するかに懸かってきます。その場合、どの登録支援機関・人材派遣会社に人材紹介をしてもらうかで、人材の能力が大きく変わってきます。
外国人材の雇用については様々な法律などがあり、法律を厳しく解釈する人材会社や法律に違反しないようある程度柔軟に対応してくれる会社、法律について詳しく知らない会社など様々なので、なるべく2社以上から話を聞くことをおすすめします。
また、将来的に国外人材を採用ということであれば、計画的に準備を進めていけば、予定の時期に入国させることは十分に可能です。もちろん、コロナの影響で必要な手続きが増えたりすることが予想されるので、余裕を持ってスケジュールを組んでいきましょう。

コロナウイルスによる外国人入国についてまとめた記事もございますので是非ご覧ください。

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竹村 友希

過去3000名以上の外国人を指導してきた日本人理解授業を担当する講師。前職の介護職での経験を生かし、日本人の人口の大半を占める高齢者層と、どのようにコミュニケーションをとるべきか、どのような理解が必要かなどをメソッド化し教えている。