この記事では自動車整備業で外国人を雇用を検討している方に向けたものとなっています。
どのビザ(≒在留資格)が良いのか、自動車整備士として特定技能の内容や有効性について説明します。
この記事を読むことで自動車整備での外国人の活用法について理解できるでしょう!
人手不足が顕著な自動車整備
自動車整備士の人手不足は年々顕著になっています。
以下のグラフは国土交通省が発表したものになりますが2017年の有効求人倍率は3.73倍となっています。これは約4つ求人があっても1人しか集まらないという状態になります。
そしてたった6年間で1.07倍から3.73倍への推移なので今後さらに深刻化する可能性が高いです。
コロナ禍でも有効求人倍率が落ちない介護業は約4倍ほどです。人手不足が騒がれている介護業と引けを取らない自動車整備の人手不足が見て取れま
自動車整備士として外国人雇用は3つのビザある。
2020年12月現在では自動車整備士として外国人を雇用するには3つのビザ(≒在留資格)があります。
①特定技能
②技能実習
③技術・人文知識・国際業務
①特定技能と②技能実習については後ほど比較しながら説明します。
③の技術・人文知識・国際業務は簡単に言うと大学で自動車に関するエンジニアリングなどを学んできた外国人です。なので該当する外国人を見つけるのは非常に難しいです。
特定技能は自動車整備業を救う?
そんな中、2019年4月に特定技能という新しい外国人の雇用の手段ができました。正確には特定技能という在留資格になります。この特定技能は日本の人手不足を救うためにできた外国人の就労を目的としています。特定技能の中の人手不足の14業種の1つに自動車整備業も含まれました。
今までは自動車整備士として外国人を雇用するには、技能実習という手段が主流でした。しかし技能実習生の失踪が相次いでいます。そこを政府が問題視して、新しく特定技能が生まれました。
特定技能「自動車整備」がなぜ有効なのか?
特定技能の有効な理由。それは一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人であるという点にあります。特定技能を外国人が取得する際に2つ必要なことがあります。
①技能測定試験の合格 or 自動車整備士技能検定試験3級
②日本語能力試験N4以上
です。①の技能測定試験は自動車整備についての問題が出るため、自動車整備について興味がある外国人になります。技能実習生と違い、雇用後の業務内容のミスマッチを防ぐことができます。
そして①の内容は筆記と実技が含まれます。そのため採用した段階で一定の知識と技能が身についています。合格するのに3年かかった外国人の方がいると私は聞いたこともあります。
自動車整備要員の平均年齢をご存知でしょうか。約45歳と言われています。若者のクルマ離れに比例して、年々高齢化が進んでいます。しかし特定技能では20代から30代の外国人が多いです。職場に若い外国人がいることで、活気が生まれるでしょう。
特定技能「自動車整備」の可能な業務は?
ここからは特定技能「自動車整備」を持った外国人の、従事可能な業務内容についてお話しします。主に2つあります。
この2つの作業を一人で適切に行える技能水準≒三級自動車整備士相当
となります。
自動車の定期点検整備
特定技能「自動車整備」の従事可能な業務の1つとして自動車の定期点検整備があります。こちらはは道路運送車両法に基づく法定点検整備です。
自動車の分解整備
こちらはエンジン・ブレーキ・ギアボックスなど重要部品を取り外して行う整備または改造になります。以下の装置になります。
- 原動機
- 動力伝達装置(クラッチ、トランスミッション、プロペラ、シャフト、ディファレンシャル)
- 走行装置(フロント・アクスル、リア・アクスル、シャフト等)
- かじ取り装置(ギヤボックス、リンク装置等)
- 制動装置(マスタシリンダ、ブレーキ・チャンバ、バルブ類等)
- 緩衝装置(シャシばね)
- 連結装置(トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラ)
この2つの業務のほかに関連業務として、車枠車体の整備調整作業などを行うことができます。
自動車整備では特定技能と技能実習のどちらが良いのか?
まず最初に特定技能は日本の人手不足を解消する就労目的の在留資格です。それに対して技能実習は発展途上国の人材育成を元にした国際協力を推奨するものです。
採用する際はその目的をしっかりしましょう。
在留期間
特定技能は最大5年間、そして技能実習も最大5年になっています。
技能実習は1号(1年)→2号(2年)→3号(2年)があります。更新をすることで5年になります。そして技能実習2号、もしくは3号が修了した段階で特定技能への移行が可能です。この制度を用いることで最大10年間日本にいることができます。
技能レベル
特定技能を外国人が取得する際に技能測定試験が必要になります。この技能測定試験は筆記と実技の試験が含まれます。なので自動車整備についての一定の知識と技能求められます。そしてこの試験は安全を届ける自動車整備のため難易度はかなり高いです。
技能実習生は現地で研修はしていますが、特定技能の方が技能レベルは高いといえるでしょう。
受け入れ人数の制限
技能実習には受け入れ対して人数の制限があります。下記のグラフの人数を満たす必要があります。
一方、特定技能には人数の制限がありません。なので大量に雇用したい整備工場に向けとなっています。
どちらが良いのか
特定技能と技能実習での採用のどちらが良いかの結論をお話しします。
実力のある即戦力を多く欲しい方
→特定技能
経験や知識が少なくても長く雇用したい方
→技能実習
となります。
特定技能「自動車整備」受け入れ可能な施設は?
特定技能の外国人を雇用するには、正式な支援が必要になります。その支援が可能な条件を満たす整備工場はかなり限られています。なので多くの方は登録支援機関に委託します。
今回はその登録支援機関に委託することを前提でお話しします。
受け入れ先の整備工場が必要な条件として
①地方運輸局長の認証を受けた事業場であること
②自動車整備分野の特定技能協議会に入会
の2つです。
まとめ
いかがでしょうか。
自動車整備業界は深刻な人手不足に陥っています。今後さらに深刻化する人手不足を見越して、今のうちに外国人雇用を進める、知識を蓄えておくことは非常に重要ではないでしょうか。
コロナ禍で技能実習生が入国できない中、特定技能を満たす人材は日本に多くいます。ぜひ採用を検討してみましょう。
藤井 拓海
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