特定技能外国人には保険に加入させる義務がある!どの保険?必要書類や注意点は?

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

17万人以上の特定技能外国人に対して、雇用主はいくつかの保険に加入させる義務があります。また任意としてもいくつかの保険に入っておいた方がよく、万が一に備えた対応が雇用主に求められます。

本記事では特定技能外国人に加入させる義務がある保険に関する話題を中心に、どんな保険が加入義務があるのか、必要書類や注意点などをご紹介していきます。

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目次

1.特定技能外国人を雇用するときは保険に加入させる義務がある!

特定技能外国人を雇用する際には様々な保険に加入させる義務があります。しかし、この加入義務は特定技能外国人ならではの義務ではなく、日本人を雇用する際にも生じる加入義務です。つまり、国籍に関係なく雇用が生じる際に雇用主が必ず果たすべき義務でもあります。

特定技能外国人ならではの保険も別に存在しますが、こちらは義務ではなく、任意となっています。入っても入らなくてもいい保険ですが、現状の加入義務がある保険では賄え切れない部分をカバーする保険なので、入っておいて損はない保険と言えます。

何より、異国の地にわざわざ来てもらった以上、安心して働ける環境を雇用主が整備することは、雇用の安定や定着を考えるとやっておいて損はないでしょう。

2.義務:特定技能外国人が入らなければならない保険

特定技能外国人が入らなければならない保険は全部で5つあります。

  1. 健康保険
  2. 年金
  3. 雇用保険
  4. 労災保険
  5. 介護保険

2-1.健康保険

健康保険は社会保険の中の1つであり、ケガなどをした際に保険に加入していることで、3割負担で医療サービスを受けられます。会社の健康保険組合に入る、もしくは各自治体の国民健康保険を利用する形になります。

2-2.年金

年金は2つあり、厚生年金保険国民年金の2つです。長く働き続けることで、将来的に受け取ることも可能です。

厚生年金保険

厚生年金は、会社員であれば誰しもが加入することになるもので、国民年金の保険料もこの中に入っています。厚生年金に加入していると給与から天引きしてくれるほか、会社が半分を出してくれるのが特徴的です。

国民年金(基礎年金)

国民年金は別名基礎年金と呼ばれ、保険料は全額負担となります。全国民が対象ですが、自営業やフリーターなど会社員ではない人物が対象となります。

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2-3.雇用保険

雇用保険は、幅広くカバーしています。例えば、失業手当も雇用保険から賄われており、特定技能外国人からすればかなり重要な保険です。1週間で20時間以上の労働がある人などが対象となるので、誰しも入ることになるでしょう。

2-4.労災保険

労災保険は、仕事中の病気やケガなどに対する補償を行います。仮にケガや病気になっても、労災に入っていれば自己負担なく治療費の支払いをしてもらえます。

労災保険は、パートやアルバイトに関係なく雇用主は従業員全員を加入させなければならず、当然のことながら特定技能外国人も対象となります。

2-5.介護保険

特定技能外国人には、直接関係がなさそうな介護保険に関しても対象となります。介護保険に関しては40歳になった月から徴収が始まり、健康保険に入っている方は雇用主が半分を負担する形になります

ですので、特定技能外国人が40歳になった時点で介護保険の支払いを行うことになります。

3.任意:特定技能外国人総合保険(JITCO保険)

加入義務がある保険は、特定技能外国人ではない日本人労働者も対象になるものばかりでしたが、「特定技能外国人総合保険(JITCO保険)」に関しては特定技能外国人のための保険です。

ここからは特定技能外国人総合保険に関する情報をご紹介します。

特定技能外国人総合保険(JITCO保険)は特定技能外国人を対象とした保険であり、公的保険でカバーされないプライベートでのケガや病気などを補償するものです。

補償範囲

特定技能外国人総合保険の補償内容は、主にプライベート・日常生活を対象にしたものとなります。死亡時の補償を始め、後遺障害に陥ったケースや病気やケガの治療費なども出るほか、特定技能外国人が亡くなるもしくは、ケガを負った際に家族の往復交通費なども補償の対象です。

例えば、労働中のケガであれば特定技能外国人が加入している労災保険でカバーできます。プライベートに関しては、公的保険ではカバーできないため、特定技能外国人総合保険に任意加入して備えた方がいいと言えます。

補償内容

死亡時の死亡保険金が出るなど、一般的な保険と変わりませんが、治療費の補償においては健康保険の3割負担に関する部分を補償します。特定技能外国人総合保険に入っていれば、治療費は実質的に無料となります

また第三者への損害賠償も対象になっており、訴訟費用のほか損害賠償金などもこの保険に含まれています。

保険契約者・被保険者

  • 被保険者→特定技能外国人
  • 保険契約者→国際人材協力機構
  • 保険加入者→特定技能外国人を受け入れる雇用主登録支援機関など

保険料

保険料に関しては、保険金の受取額や賠償責任額などで分かれているほか、保険期限によっても変化します。ただ月々の支払いで見ていくと、かかっても月1,000円を少し超える程度で、中には月1,000円を割り込むケースもあります

国際人材協力機構が特定技能外国人総合保険を扱うことで、割引が適用され、お得に加入できます。

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4.事業主が行う手続きと必要書類

ここからは事業主が行う手続きと必要書類についてご紹介していきます。

4-1.健康保険・年金

健康保険や厚生年金の手続きを行う際には、日本年金機構に対して「被保険者資格取得届」の提出が必要になります。この被保険者資格取得届の提出の際には、本人確認を行う必要があり、パスポートなどの確認が求められます。

また公的年金に初めて加入した際には「基礎年金番号通知書」の交付もあります。この基礎年金番号通知書を事業主に提出し、その内容を事業主が見て被保険者資格取得届を作成し、年金事務所などへの提出を行います。※

※参照:日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」

4-2.雇用保険

雇用保険に関しては、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。その際に在留資格や在留期間、在留カード番号などの情報を記載して、ハローワークに届け出を行います。※

※参照:厚生労働省「● 届出の方法について ①-1《雇用保険被保険者資格取得届》」

在留カードに関してはこちらの記事で詳しく解説しています

雇用保険の提出に関しては書面や電子申請など様々な形で行えるため、ハローワークが遠い場所にあるケースでも問題ありません。ただ初めて特定技能外国人を雇用する際には念のため、ハローワークでの提出がおすすめです。

4-3.労災保険

労災保険は雇用保険と同じく「労働保険」の扱いとなるほか、既に従業員を雇用した時点で労災保険には入っているため、特別な加入手続きは不要です。

5.注意点

最後に特定技能外国人の保険に関する注意点についてご紹介していきます。

5-1.給料から保険料を天引きする場合は特定技能外国人と労使協定を結ぶ

加入するのはあくまでも特定技能外国人当人ですが、毎月保険料の支払いをしてもらうのはなかなか負担がかかります。そこで、給料から保険料の天引きを行うことができるように労使協定を結ぶことで、保険料を天引きできます

天引きの仕方は様々で、数年分を最初に控除してしまうという手もあるなど、このあたりは話し合いになるでしょう。

5-2.保険に入ったときのメリット、入らなかったときのリスクを外国人に伝える

特定技能外国人総合保険に入るかどうかはあくまでも任意であり、入らなくても問題はありません。しかし、仮に特定技能外国人総合保険に入らなかった場合のリスクは、特定技能外国人に伝えることをおすすめします。

医療費の70%がカバーされる

そもそも健康保険に加入する時点で、特定技能外国人は治療費の3割のみの負担となります。これだけで十分補償されていると言えますが、総合保険に加入すればその30%も補償されます。

異国の地で病気になる、もしくはケガをするという時に医療費がいくらになるのかと心配になるという外国人がほとんどです。少々のことなら病院には行きたくないと放置してしまい、結果的に重大な状況に陥ることも十分に考えられます。

特定技能外国人からすると、「毎月保険料を支払ってまでその補償は必要なのかどうか」と考えても不思議ではありません。入る・入らないのリスクをちゃんと見極めてもらうことは大切です。

何より、子供の医療費の存在が大きく、ほとんどの自治体では一定の年齢の子供まで窓口での自己負担がなく、無料となります。つまり、健康保険に入っておくことで子供の医療費は免除されるのです。健康保険に入っていなければ10割負担が求められるため、大変です。

しかも、年収に応じて設定されている一定の自己負担額を超えれば、超えた分が払い戻しされます。日本の国民皆保険制度のいいところであり、日本で働く特定技能外国人も例外ではありません。

事業主が保険料の半分以上を負担する

公的年金の支払いでは、健康保険や厚生年金において企業がその半分を雇用主側が負担します。雇用保険の保険料に関しては保険料の半分以上を支払うことになるほか、労災保険は全額、雇用主が負担する流れとなります。

特に厚生年金の場合、今後特定技能1号から2号、その後日本に永住する流れになった際に、その間厚生年金に加入し続けていれば年金受給額も一定のレベルまで確保できます。国民年金では全額負担、しかも金額が限られる現状を鑑みると、保険料負担も少なく年金も多くもらえるのはプラスでしかありません。

帰国時には脱退一時金が支給される

特定技能外国人が年金に加入した際、一定の条件を満たすことで脱退一時金の請求が行えます。条件としては日本国籍がなく公的年金制度の被保険者ではない、そして、6か月以上の保険料納付実績があるケースです。

だった一時金の支給額は、最後に保険料を支払った年度全体の保険料額に2分の1をかけ、「支給額計算に用いる数」を掛け算します。「支給額計算に用いる額」が事前に決まっており、最低6~最高60の中で決められます。

おおむねこれまで納付した保険料の3割から5割が脱退一時金として支給される形です。年金保険料の支払いは決して無駄なことではなく、しっかりと手元に返ってくることを伝えていきましょう。

また日本と「社会保障協定」を結ぶ国は脱退一時金ではなく、日本で支払った年金加入期間を本国に戻った際に合算できるというルールが活用できます。現状では中国や韓国、フィリピンなど20以上の国が対象ですが、年金加入期間を合算できるということを伝えることで、年金保険料の支払いがムダではないことをしっかりと伝えられます。※

※参照:日本年金機構「協定を結んでいる国との協定発効時期および対象となる社会保障制度」

脱退一時金に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

加入しないと法律違反になる

公的保険を中心に加入義務があるものに関しては、加入しないと法律違反になってしまいます。例えば、社会保険に加入しない場合には悪質なケースだと6か月以下の懲役の可能性が出てきます。

年金などは2年分をまとめて徴収されてしまうため、中小企業の立場からすれば運転資金を奪われかねないため、死活問題です。何より社会保険の未加入もしくは滞納をするとせっかく得た特定資格の在留資格が下りなくなるという大問題も生じます。

保険加入が就労ビザ変更の条件になることを伝える

社会保険に加入することは義務であるとともに在留資格の変更許可申請・更新許可申請を行う際に、保険の加入が就労ビザ変更の条件になります。近年は社会保険への加入が確かに行われているかをチェックするケースも増えており、就労ビザのためには加入しないわけにはいきません。

近年留学生で日本にやってきて、資格外活動許可をもらってアルバイトに精を出していた外国人が、特定技能の在留資格に切り替えようとした際、社会保険料を支払っていなかったことが判明し、在留資格が下りなかった事案が起きています。

実際に在留資格の変更許可の場では、これまでの社会保険関係の保険料がしっかりと納付されているかを示す書類の提出が求められます。納付状況の確認は「社会保険料納入証明書」および「社会保険料納入確認書」で行えます。

アルバイト時に未加入だったケースは事業主が失念している、もしくは意図的に未加入だったケースも考えられるため、特定技能外国人として働きたい外国人にとっても寝耳に水だった可能性もあります。事業主は絶対に失念せず、各種保険料の支払いを忘れないことが求められます。

6.まとめ

今回は特定技能外国人が加入する各種保険の話題を中心にご紹介してきました。

特定技能外国人が加入しなければならない保険は、結局のところ日本人も加入しなければならない保険であり、ほとんどの会社からすれば従業員を雇用する際にこれまでやってきたことを行っていけば問題ないケースがほとんどです。あとは初めて公的年金に加入する特定技能外国人に対する手続きが多少違う程度で、そこまで難易度は高くありません。

一方で特定技能外国人総合保険のように、プライベートの部分をカバーする保険への加入もおすすめです。わざわざ異国の地にやってきて、大変な思いをしている中で少しでも安心できる環境を作り上げたいという時に特定技能外国人総合保険の存在は大きいですし、費用負担もそこまでありません。保険料負担を自己負担にさせる場合でも、特定技能外国人総合保険のメリットをしっかりと伝えることも重要でしょう。

今回ご紹介した内容を踏まえて、特定技能外国人を積極的に採用し、優秀な人材を素早く確保しつつ、慢性的な人手不足の改善に結び付けていきましょう。弊社では特定技能人材の採用などに関する無料相談も実施しており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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