【完全版】特定技能ビザの更新方法!必要書類やかかる費用など徹底解説

監修者:趙(外国人就労アドバイザー)

2019年4月、日本の人手不足を解消するため、「特定技能」というビザが創設されました。その後、特定技能ビザ(現在はほとんど特定技能1号ビザ)を利用して日本で就労している外国人が年々増えています。

ところが、特定技能ビザは在留期間の更新手続きが必要なビザです。「特定技能外国人をできるだけ長く雇用したいのですが、ビザ更新が必要なのか」「ビザ更新をどのように準備すればいいのだろうか」と悩んだ企業主・人事担当者は少なくないです。

そこで本記事では、特定技能ビザの更新に必要な書類やかかる費用などを詳しくご解説します。ご参考になれば幸いです。

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目次

1.特定技能ビザは1年ごとに更新が必要!

特定技能ビザ(ここでの「ビザ」の正しい呼び方は「在留資格」)には、特定技能1号ビザと特定技能2号ビザがあります。特定技能1号の在留期間は、通算5年が上限です。一方、特定技能2号の在留期間は、通算の上限がありません。

ところが、1号・2号を問わず、特定技能ビザには期限がついています。そのため、ビザ期限が切れるまでにその更新が必要です。

特定技能2号ビザは、2023年6月現在12名に過ぎませんので、以下、主に特定技能1号ビザに絞って説明しますと、特定技能1号ビザの在留期間は通常1年です。つまり、このビザは、1年ごとに更新が必要です。

参考:出入国在留管理庁|特定技能在留外国人数の公表【概要版】

2.特定技能ビザ更新に必要な費用

2-1.入管における費用

まず、出入国在留管理局(以下「入管」)において費用が発生します。具体的には、特定技能ビザの更新の申請には費用がかかりません。一方、更新が許可されれば、入管から新しい在留カードを受領するために、4000円(非課税)の手数料がかかります。この4000円は、原則として現金ではなく、収入印紙で納付することとなります。

更新が不許可である場合、入管は改めて出国準備のビザを発行してくれることがあります。その際、同じく4000円(非課税)の手数料が発生する可能性があります。

2-2.行政書士や登録支援機関に委託した際の費用

特定技能ビザ更新は、難易度が高い申請の一つです。そのため、多くの外国人や企業は、手間の軽減と更新の成功の確保のため、更新を弁護士・行政書士や登録支援機関に委託しています。更新を第三者に委託した場合、サービス料が発生します。

弁護士・行政書士に委託した際のサービス料の相場は6万円程度です。登録支援機関に委託した際、サービス料は機関の料金規則により変動します。

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3.特定技能ビザ更新のための必要な書類

3-1.概要

特定技能ビザ更新のための必要な書類は、『「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留期間更新許可申請用)』に記載されています。一覧表は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。一覧表自体も必要な書類の一つです。

参考:出入国在留管理庁|在留期間更新許可申請

また、特定技能ビザ更新に必要な書類は、特定技能ビザ取得のための必要な書類と大きく重なっています。ビザ取得に必要な書類について、以下の記事をご参照ください。

特定技能ビザ更新のための必要な書類は、以下の3種類に分けられます。

特定技能ビザ更新のための必要書類

  • 外国人側の書類
  • 企業側の書類
  • 分野に関する書類

以下、そのそれぞれについて詳しくご説明します。

3-2.外国人側の必要書類

外国人側の書類は、以下の10件です。

6~8以外の書類は、入管が用意してくれた様式で作成できます。また、7~10の書類は一定の場合のみ、提出が必要です。

1 「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留期間更新許可申請用)
2 在留期間更新許可申請書
3 特定技能外国人の報酬に関する説明書
4 特定技能雇用契約書の写し
5 (a)雇用条件書の写し
  (b)賃金の支払
6 (a)申請人の直近1年分の個人住民税の課税証明書
 (b)申請人の直近1年度の住民税の納税証明書(すべての納期経過済)
  (c)6-aに対応する申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
7 (a)申請人の国民健康保険被保険者証の写し
  (b)申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
8 申請人の国民年金保険料領収証書の写しまたは申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)
 (被保険者記録紹介回答票を含む)
9 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
10 公的義務履行に関する誓約書

雇用契約書・雇用条件書についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3-3.企業側の書類

企業が法人である場合の書類

企業が法人である場合、書類は以下の9件です。

1、4、9の書類は、入管が様式を用意してくれます。また、1-8の書類は、一定の条件に満足すれば、提出を省略できます。9の書類は、5-8の書類のいずれかが省略される場合のみ、提出が必要です。

1 特定技能所属機関概要書
2 登録事項証明書
3 業務執行に関与する役員の住民票の写し
4 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
5 (a)(労働保険事務組合に事務委託していない場合)直近2年分の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告
   書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
  (b)(労働保険事務組合に事務委託している場合)労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入
   通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
6 申請月の前々月までの24か月分の社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収書の写し
7 税務署発行の納税証明書(その3)
8 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年分) 
9 公的義務履行に関する説明書 

企業が個人事業主である場合の書類

企業が個人事業主である場合、書類は以下の7件です。

1、9の書類は、入管が様式を用意してくれます。また、企業が法人である場合と同じく、1-6の書類は、一定の条件に満足すれば、提出を省略できます。7の書類は、3-6の書類のいずれかが省略される場合のみ、提出が必要です。

1 特定技能所属機関概要書
2 個人事業主の住民票の写し
3 (a)(労働保険事務組合に事務委託していない場合)直近2年分の労働保険概算・増加概算・確定保険料申告
書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
  (b)(労働保険事務組合に事務委託している場合)労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入
通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
4 申請月の前々月までの24か月分の社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収書の写し(健康保険・厚生年金保険の適用事業所の場合)
 (a)個人事業主の国民健康保険被保険者証の写し(健康保険・厚生年金保険の適用事業所の場合)
(b)直近2年分の個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書
(c)申請月の前々月までの24か月分の個人事業主の国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会
   (納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票含む。)
5 個人事業主の税務署発行の納税証明書(その3)
6 直近2年分の個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書
7 公的義務履行に関する説明書

3-4.分野に関する書類

分野に関する書類は、特定産業分野によって異なります。たとえば、外国人従事の分野が介護分野であれば、「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書」が必要です。分野が外食業である場合、就業場所の「保健所長の営業許可証又は届出書の写し」が必要です。 

但し、企業の特定技能協議会の会員証のような、ほとんどの分野に共通している必要な書類もあります(入管の規定によると、企業は特定技能外国人が入社してから4か月以内、協議会に入会しなければなりません)。また、分野に関する書類の一部が、以前提出されたことがあれば今回の提出を省略できます。

特定技能で外国人を雇うと入管へ定期報告する義務もあります
「特定技能定期報告完全ガイド」のダウンロードはこちら

4.特定技能ビザ更新の流れ

本章では、特定技能ビザ更新の流れについてご説明します。大きくいえば、以下の5つのステップがあります。

  • ビザ更新の書類の準備
  • 書類の入管への提出
  • 入管の審査
  • 審査結果の通知
  • 新しいビザの受領

以下、各ステップについて詳しい説明を加えます。

STEP
ビザ更新の書類の準備

第一のステップは、外国人、企業が特定技能ビザ更新に必要な書類を準備することです。更新を弁護士・行政書士や登録支援機関に委託する場合、これらの機関は書類の準備をサポート・代行してくれます。

ここで注意すべきなのは、一部の書類の準備に時間がかかることです。たとえば特定技能雇用契約書・雇用条件書は、企業の法人印捺印と外国人の署名が必要ですので、完成には1週間以上かかる可能性があります。そのため、おおよそビザ期限が切れる2-4か月前に、書類を準備し始めたほうがよいと思われます(後述)。

STEP
書類の入管への提出

第二のステップは書類の入管への提出です。書類を提出できるのは外国人本人、その法定代理人(親権者・後見人)、外国人の依頼を受けて「申請等取次者」という資格を有するものです。提出先は、外国人・代理人・取次者の居住地を管轄する地方入管です。

ところで、2022年3月から出入国在留管理庁は、「在留申請オンラインシステム」を始めました。このシステムを通じて、Webサイトでも書類を提出でき、入管に行く必要がなくなります。但し、システムを利用するため、事前の申し込みとID発行の手続きが必要です。手続きはおおよそ1-2か月かかります。

参考:出入国在留管理庁|在留申請のオンライン手続申請

STEP
入管の審査

第三のステップは、入管の審査です。審査の着目点として、①外国人のこれまでの活動状況、②外国人の素行、③外国人の雇用条件の適正性、④外国人の各種の税金の納付状況などがあげられます。

審査は平均1-2か月かかります。2か月以上経ち、審査結果の通知が来ない場合、入管に問い合わせたほうがよいです。また、入管は「特例期間」の制度を設けていますので、審査結果が出ないうちにビザ期限が切れた場合、外国人はさらに2か月日本で滞在・就労できます。

参考:出入国在留管理庁|特例期間とは

STEP
審査結果の通知

審査が終わると、入管は審査結果を通知します。弊社の経験からすると、更新が許可される場合、通知はハガキ・メールで送付されることが多いです。一方、電話・手紙の形での通知であれば、不許可になる可能性が高いです。

STEP
新しいビザの受領

更新が許可されると、最後のステップとして新しいビザ、即ち在留カードの受領が必要です。ビザ受領に必要なのは下記5点です。

  • 外国人の現在の在留カード
  • パスポート
  • 更新書類を入管に提出した際にもらった「申請受付票」
  • 審査結果の通知書
  • 4000円の収入印紙

外国人ご本人のほか、代理人・取次者も更新後のビザの受領を代行できます。また、ビザの受領は基本的に入管の窓口で行われますが、当初、更新の書類をオンラインで提出した場合、郵送による受領も可能です。なお、入管の審査結果の通知では普通、受領の締切が記載されていますが、締切が過ぎてもビザ期限自体が切れていない限り、ビザを受領できます。

在留カードについてはこちらの記事で詳しく解説しております

5.特定技能ビザ更新の注意点

5-1.早めに更新を準備

既述のように、特定技能ビザの更新に必要な書類が多く、準備に時間がかかる書類も少なくないです。そのため、ビザ期限を把握し、早めに更新を準備することをお勧めします。

更新の書類は、ビザ期限が切れる3か月前から入管に提出できます。そのため、ビザ期限が切れる2-4か月前から、ビザ更新を準備し始めたほうがスムーズであると思います。

5-2.ビザ更新の書類は、前回の書類との整合性が必要

ビザ更新の書類を作成する際、内容が正しいことのほか、前回のビザ取得・更新時の書類と整合的でなければなりません。前回の書類とは大きく違った内容を記載すれば、入管に指摘され、最悪の場合更新が不許可となる恐れがあるからです。

前回の書類の内容が分からない場合、入管に情報開示を求めたほうがよいかもしれません。

5-3.先に一部の書類を提出することが可能

外国人のビザ期限がギリギリになったもののビザ更新書類がまだ揃っていない場合、先に手元の書類を入管に提出し、更新の審査をスタートさせることが可能です。また、既述のように、審査がスタートされれば、外国人のビザ期限がきれてもさらに2か月日本で滞在・就労でき、ビザ期限は実質的に延長されます。

「ビザ更新を忘れて書類の準備が間に合わない」場合でも、諦めないで書類の準備・提出で努力しましょう。

但し、このような場合、残された書類を入手すれば、速やかに入管に追加提出しなければなりません。すべての書類を提出しないと、結局更新が許可されないからです。

6.更新が間に合わなかったときは…

前節でご紹介した方法も取れず、ビザ期限が切れるまで更新が間に合わなかった場合、外国人は直ちに、最寄の入管に出頭しなければなりません。そうしないと、外国人は不法滞在となってしまいます

通常、期限が切れてから2か月以内であれば、入管はビザ更新を行うことを許可してくれます。但し、このような場合、通常の書類のほか、継続雇用の説明書や在留期限が過ぎてしまった理由書などの追加資料が必要です。また、審査も勿論厳しくなります。

7.ビザ更新が不許可になったら

本記事の最後に、ビザ更新が不許可になった場合の対応策をご説明します。

ビザ更新が不許可になれば、外国人は基本的に退職・帰国しかできません。引き続き日本で就労したい場合、外国人は帰国の後、日本への入国・特定技能ビザの取得を再申請することができます。

また、ビザ期限にまだ余裕がある場合、ほかのビザを申請するのも対応策の一つです。だが、申請できるビザ種類の確認及び申請書類の準備は複雑な作業です。行政書士・弁護士と相談したほうがよいと思われます。

更新に失敗し、ビザ期限が切れた外国人がそのまま働き続ける場合、外国人自身は不法滞在となりますが、企業も不法就労助長罪が問われ、ほかの特定技能外国人の雇用も難しくなります。したがって、企業の担当者は外国人のビザ更新の結果に注意し、更新が不許可になった場合に正しい対応策をとる必要があります。

ビザが不許可になってしまう原因と対処法はこちらの記事で詳しく解説しています

まとめ

本記事のポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 特定技能ビザは更新が必要であり、更新には費用がかかります
  • ビザ更新のための必要な書類は20件以上あり、書類準備→入管への提出→審査→結果の通知→新しいビザの受領の流れでビザが更新されます
  • 早めに更新を準備し始めたほうが良いです。ビザ期限がギリギリになった場合、先に一部の書類を入管に提出できます

特定技能ビザの更新は外国人自身の義務ですが、ビザを更新できないと外国人は退職・帰国しかできず、企業にとっても損です。また、ビザ更新に必要な書類の準備に、企業の協力が必要です。

企業の担当者もぜひ、本記事を活用し、特定技能外国人社員のビザ更新をサポートしていただければと思います。

我々も特定技能ビザの更新をサポートできますので、何かございましたらお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

株式会社JJS(JapanJobSchool)のビザ担当

中国・北京出身、2012年来日。法学・政治学の大学院を修了した後で教師に就職し、高度人材として永住権も取得。10年間日本で生活・仕事してきた経験から「日本で努力している外国人を助けたい」と強く希望し、教育業界から転職し、株式会社JJSに入社。現在、法学の専門知識を生かして外国人のビザ申請・更新をサポート。

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