【完全版】特定技能定期報告完全マニュアル|必要書類・提出先・提出方法を徹底解説!

執筆者:坂下(特定技能外国人支援担当)
監修者:鈴木寛(行政書士)

特定技能外国人の受け入れをスタートした際に、必ず必要となる業務の一つが出入国在留管理庁(以下入管)への『定期報告』です。しかしながら、初めて特定技能外国人を雇用する場合には、何をどのように報告すればよいのかわからない場合がほとんどだと思います。

そこで、今回は実際にこれまで支援している企業の方から寄せられた質問をもとに特定技能の定期報告について詳しく解説していきます!

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目次

1. 特定技能の定期報告・届出とは

特定技能外国人を受け入れている全ての特定技能所属機関(受け入れ企業)は、4半期に一度入管への定期報告が義務付けられています。定期報告では、特定技能外国人の受け入れ状況、給与の支払い状況などを所定の様式に記入して提出することとなっています。この定期報告をもって入管は、受け入れ企業の労働環境が適切であるかどうかを定期的に確認しています。

1-1. 定期報告を怠ることでの罰則

定期報告の際に提出する届出の不履行や内容に虚偽があった場合には、罰則又は過料の対象となります。今後、特定技能外国人の受入れができなくなってしまう可能性があるため、必ず期限内に忘れずに届出を行いましょう。

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2. 定期報告の必要書類

定期報告書類には、受け入れ企業の必要書類と登録支援機関の必要書類があります。なお、登録支援機関なしで受入れをする場合には、登録支援機関の必要書類についても受入れ企業で作成する必要がありますのでご注意ください。また、下記のように通常と異なる事態が生じた場合には入管から確認の連絡が来てしまう前に、別途報告書を作成して提出しておくことをおすすめいたします。

  1. 一時帰国で活動日数が0の月がある
  2. 病院で検査を受けていて、勤務の許可が出なかった
  3. 怪我をして出勤停止だった

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2-1. 登録支援機関に支援を委託している場合

まずは、登録支援機関に支援を委託している場合の必要書類について紹介していきます。

受入企業(特定技能所属機関)が作成・提出する必要書類

所属機関が提出すべき定期届出は以下の4つとなります。

  1. 受入れ・活動状況に係る届出書(新参考様式第3-6号
  2. 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号別紙
  3. 賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの+比較対象の日本人のもの)
  4. 報酬支払証明書(参考様式第5-7号

入管のホームページに公開されている記載例をもとに、各書類の記載方法について解説していきます。

①受入れ・活動状況に係る届出書

この書類には、下記項目を記載する必要があります。

  • 届出対象期間
  • 特定技能所属機関
  • 受入れ状況に関すること
  • 報酬に関すること
  • 雇用状況に関すること
  • 労働保険の適用状況に関すること
  • 社会保険の加入状況に関すること
  • 税の納付状況に関すること
  • 安全衛生の状況に関すること
  • 特定技能外国人の受入れに要した費用の額
  • その他の適格性に関すること
  • 本届出に関する担当者

以下、主な記載について説明します。

雇用状況に関する記入欄

ここに記載する「従業員」はフルタイムで就労している方が対象です。また、特定技能所属機関が雇用している全ての従業員が対象となりますので、特定技能外国人が働いている事業所以外の事業所に勤務する従業員も含みます。在籍者数、新規雇用者数は、届出対象期間内に就労を始めた方が対象となります。

該当者がいない場合は、空欄にせず、0を記載してください。

特定技能の受け入れに要した費用の記入欄

1号特定技能外国人支援計画の実施に要した費用は、登録支援機関に支援委託をしている場合に発生している支援料の総額を記載します。対象者数は、届出期間中に支援をした外国人の総数になります。

受入れの準備に要した費用は、紹介手数料、ビザ申請費用等、特定技能外国人を採用するにあたって支払った金額を全て記載します。外国人が支払った費用があれば、外国人負担分に記載が必要です。

特定技能外国人の総数は、届出期間内に新たに受け入れた人数なので、届出期間以前に就労している外国人は含めません。

届出書に係る担当者の記入欄
届出書に係る担当者の記入欄

特定技能所属機関の役職員であって、届出書の作成に際し責任を負う方について記載してください。

下記の届出書作成者と異なる方のお名前でも大丈夫です

届出書作成者の署名

特定技能所属機関の役職員であって、実際に届出書を作成した方が署名をしてください。

また、この届出書につきましては、必ず特定技能所属機関の役職員の方が作成し署名する必要があります。届出書の作成を行政書士または、弁護士以外に依頼することは行政書士法または弁護士法に違反しますのでご注意ください。登録支援機関に支援を委託している場合でも、登録支援機関が作成することは認められておりません。

②特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号別紙

この書類では、届出対象期間に受け入れていた特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カード、活動日数、給与などを記載します。届出対象期間中に受け入れを終了した方についても、受け入れ終了までの事項を記載する必要があります。

特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況の記入欄

ここで注意していただきたいのは給与等の額についてです。こちらには、届出の対象期間において、該当する月に支払われた額を記載してください。給与の支払いがない月は、斜線を記載してください。

例)月末締めの翌月10日支払いの場合

10月:10月10日支払い分(8月21日~9月20日就労分)を記載
11月:11月10日支払い分(9月21日~10月20日就労分)を記載
12月:12月10日支払い分(10月21日~11月20日就労分)を記載

③賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの+比較対象の日本人のもの)

添付書類として、届出対象期間に勤務していた特定技能外国人全員分の賃金台帳と、比較対象となる日本人従業員の賃金台帳の提出が必要です。

もし、比較対象となる日本人がいなかったり、退職した場合には、特定技能外国人と同一の業務に従事する日本人従業員の賃金台帳を提出してください。

④報酬支払証明書(参考様式第5-7号

給与を現金払いにしている場合には提出が必要です。

定期報告に関して何かお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください

登録支援機関が作成・提出する必要書類

登録支援機関が提出すべき定期届出は以下の3つとなります。

  1. 支援実施状況に係る届出書(参考様式第4-3号
    • 特定技能外国人支援計画に基づいて支援が実施されていたか記載します。
  2. 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第4-3号別紙
    • 届出対象期間に支援を行った特定技能外国人の氏名、性別、生年月日、国籍・地域、在留カード番号、居住地を記載します。
  3. 定期面談報告書(1号特定技能外国人用+監督者用)(参考様式第5-5号第5-6号
    • 支援担当者は、特定技能外国人とその監督者の両方と3ヶ月に1回以上面談を行う必要があります。定期面談を適切に実施したことを報告するため、定期面談の報告書を提出します。

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登録支援機関の説明や選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

2-2. 自社で支援を行っている場合

自社で支援を行う場合、上記で登録支援機関が作成していた書類も含め、6つの書類が必要です。

  1. 受け入れ・活動状況に係る届出書(参考様式第3-6号
  2. 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号別紙
  3. 賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの+比較対象の日本人のもの)
  4. 支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号
    ※支援を実施した特定技能外国人が複数名おり、支援状況が同じである場合は(参考様式第3-7号(別紙))(支援対象者名簿)を併せて使用することも可能です。
  5. 相談記録書(参考様式第5-4号
    • 外国人からの相談を受け、必要な対応を行ったことを報告するために提出します。
    • ※対象期間に相談や苦情等の対応が発生しなかった場合は提出する必要はありません。
  6. 定期面談報告書(1号特定技能外国人用+監督者用)(参考様式第5-5号第5-6号
    その他、「非自発的離職時の転職支援を実施した場合、「転職者支援実施報告書」(参考様式第5-12号)、”1号特定技能外国人支援計画書において実施予定であった支援について、未実施となった場合、理由書等を記載する場合”(参考様式第5-13号)があります。

参考:特定技能所属機関(受入れ企業・事業主の方)による定期届出 提出資料一覧表
   出入国在留管理庁【特定技能所属機関による受入れ・活動状況に係る届出】

3. 提出期間と提出期限

定期報告は四半期に一度必ず必要な業務です。届出の対象期間中に必要な書類が提出できるように事前に把握しておくとスムーズに進められるかと思います。締め切り(当該四半期の翌四半期の初日から14日以内)までに間に合うようご準備ください。

期間締め切り
第1四半期1月1日から3月31日4月15日
第2四半期4月1日から6月30日7月15日
第3四半期7月1日から9月30日10月15日
第4四半期10月1日から12月31日翌年1月15日

2-3. 提出期限を過ぎてしまった場合の対応方法

届出が遅延した場合は、その理由を記載した理由書(陳述書:審査要領参考様式7)を提出する必要があります。

理由書には、特に決まったフォーマットはないため、Word等で作成すれば大丈夫です。

4. 提出先

提出先は、特定技能所属機関の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局になります。本店所在地とは、雇用する特定技能外国人の指定書に記載されている住所となります。

局・支局担当部門住所管轄地域
札幌出入国在留管理局     審査部門〒060-0042
札幌市中央区大通西12丁目 札幌第3合同庁舎
北海道
仙台出入国在留管理局審査部門〒983-0842
仙台市宮城野区五輪1-3-20 仙台第二法務合同庁舎
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
東京出入国在留管理局就労審査第三部門〒108-8255
東京都港区港南5-5-30
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県
東京出入国在留管理局横浜支局就労・永住審査部門〒236-0002
神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7
神奈川県
名古屋出入国在留管理局就労審査第二部門〒455-8601
愛知県名古屋市港区正保町5-18
愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局就労審査部門〒559-0034
大阪府大阪市住之江区南港北一丁目29番53号
大阪府、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県
大阪出入国在留管理局神戸支局審査部門〒650-0024
兵庫県神戸市中央区海岸通29 神戸地方合同庁舎
兵庫県
広島出入国在留管理局就労・永住審査部門〒730-0012
広島県広島市中区上八丁堀2-31 広島法務総合庁舎内
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
高松出入国在留管理局浜ノ町分庁舎審査部門〒760-0011
香川県高松市浜ノ町72-9
香川県、愛媛県、徳島県、高知県
福岡出入国在留管理局就労・永住審査部門〒810-0073
福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25 福岡第1法務総合庁舎
福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県
福岡出入国在留管理局那覇支局審査部門〒900-0022
沖縄県那覇市樋川1-15-15 那覇第一地方合同庁舎
沖縄県

4-1. 提出方法

定期報告書類の作成が完了したら、直接窓口もしくは、郵便で提出します。郵送の際には、封筒の表面に朱書きで「特定技能届出書在中」等と記載が必要です。また、入管に届いた日が提出日となるため、発送日には十分お気をつけください。

5. オンラインで定期報告する場合

そのほか、出入国在留管理庁電子届出システムを利用してオンラインでの提出も可能です。わざわざ入管の窓口に出向いたり、郵送したりしなくても、24時間365日オフィスや自宅から届出を提出することができます。

5-1. 事前に必要な準備

電子届出システムを利用するには、まず利用者情報登録届出書を窓口もしくは郵送で提出する必要があります。

  1. 窓口の場合:利用者情報登録届出書を、所属機関等の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口で提出。合わせて提出者が所属機関等の職員であることを確認できる資料(職員証、申請等取次者証明書等)の提示。
  2. 郵送の場合:利用者情報登録届出書を、所属機関等の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署に郵送で提出。合わせて提出者が所属機関等の職員であることを確認できる資料(職員証、申請等取次者証明書等)の写しを同封。

提出が完了すると、ログインIDとパスワードが送られてきますので、出入国在留管理庁電子届出システムにそのIDとパスワードを入力することで利用が可能になります。

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6. まとめ

この記事では、特定技能外国人を採用した後の入管への定期報告について解説いたしました。中には、四半期に一度年4回の定期報告を負担に感じる受け入れ企業の方もいらっしゃるかと思います。弊社では、この負担を減らすために、定期報告書類の作成サポートも行っております。

今回の記事で特定技能外国人の採用又は登録支援機関への委託に少しでもご興味を持たれましたら、無料相談も行っているのでぜひお問い合わせください。

この記事を監修した人|

鈴木 寛(すずき ひろし):行政書士鈴木法務オフィス
資格行政書士資格・全国通訳案内士(英語)・ビジネス実務法務検定2級
大手日系・外資系化粧品メーカー数社において、海外営業・海外駐在(英国)・海外事業管理、国内営業・マーケティング統括等30数年の勤務経験。2017年から現在まで、行政書士として行政書士事務所を開業中。
(専門分野は、外国人の就労ビザ/在留資格申請、外国人雇用アドバイス)

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この記事を書いた人

特定技能外国人の支援担当
ドイツでのワーキングホリデー経験から、海外で仕事を探し生活する大変さを実感。元大手外資コンサルに勤務した経験を活かし、国籍年齢性別に関係なくすべての人が平等に暮らせるボーダーレスな社会を目指して日々努力中。

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