【2025年6月更新】ついに解禁 | 特定技能で訪問介護人材を採用するには?

2025年4月21日、特定技能外国人による訪問介護が解禁されました。新たな方針により、訪問介護業界における人材不足の解消とサービスの質向上が期待されています。
この記事では、2025年6月時点での特定技能訪問介護の要件、特定技能の資格を持つ外国人を採用するメリット・デメリット、採用方法について紹介します。外国人採用をしている、または受入れ検討中の企業さまはぜひ参考にしてください。
\介護業界の支援実績多数/
特定技能「介護」ならJapan Job School
まずは無料相談をご活用ください
1. 特定技能の訪問介護が解禁
2025年2月17日、「第2回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」が開かれました。人手不足の現状を受けて、特定技能外国人による訪問介護の導入を解禁する方針が決定(特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(案))。
詳細については、出入国在留管理庁の資料で公開されています。
※資料2-1 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(介護分野、工業製品製造業分野、外食業分野)(案)(前回会議からの見消し版)(PDF : 549KB)
運用方針は2025年 3月11日に閣議決定され、4月21日に施行されました。
新たに特定技能外国人受け入れ対象となる分野は「訪問介護 」「訪問入浴介護」「夜間対応型訪問介護」「介護予防訪問入浴介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「訪問型サービス(総合事業)」です。


2.訪問介護における人材不足の現状
厚生労働省による2024年統計では、2022年度のホームヘルパーの有効求人倍率は15.53倍で、人材確保が難しい状況です。
また公益財団法人介護労働安定センターの調査では、8割が訪問介護員の不足を感じていることが明らかになりました。不足による影響として「各職員の時間あたりの業務負担の重さ・余裕のなさ」がもっとも多い回答でした。

3. 企業が満たすべき特定技能訪問介護の要件
特定技能で外国人を受け入れる場合、施設側の条件を満たす必要があります。具体的にいうと、訪問介護の基本事項に関する研修やICT活用などの環境整備です。以下ではそれぞれの事項について詳しく解説します。
①訪問介護の基本事項、生活支援技術、日本の生活様式に関する研修を実施する
②一定期間、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行う
③キャリアアップ計画を作成する
④ハラスメント防止のための対応マニュアルを作成・共有する
⑤負担軽減や不測の事態に備えたICTの活用を含む環境整備をする
3-1. 研修を実施する
研修に関しては以下の事項を行う必要があります。
・ 訪問系サービスの基本事項や生活支援技術などの利用者の居宅において実施する事項
・利用者・家族・近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのコミュニケーションスキルを含む。)
・ 日本の生活様式
・ 緊急時の連絡方法や連絡先を事前に確認する等、利用者の居宅において不測の事態が起こった際に適切に 対応できるような緊急時を想定した研修
3-2. 一定期間、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行う
外国人介護人材が訪問系サービスに従事する際、利用者やその家族との信頼関係を築き、利用者の特性に応じた適切なサービス提供を行うために、一定期間のOJTが求められます。
同行訪問の同行訪問の回数、期間、同行者に関する規定は、細かく定められていません。利用者の状況や外国人介護人材の日本語能力や実務経験等を考慮して、受入事業者の管理者やサービス提供責任者が適切に判断する必要があります。
判断の基準として、厚生労働省は、同行訪問の際には評価ツールを用意し、達成度を可視化することを提案しています。評価例は以下の通りです。
・サービス内容の手順を理解しているか
・サービス内容を実施できているか
・緊急体制・連携を理解しているか
・記録・報告ができているか
・利用者とコミュニケーションが取れているか
・アセスメント記録により、利用者の状態像や周辺環境等を理解しているか
なお、巡回訪問等実施機関から求められた場合に速やかに提出できるよう、OJTを適切に実施したことが分かる資料を常備しておく必要があります。
OJTを適切に実施したことが分かる書類の例
・OJT計画書
・OJT実施後に外国人が作成したレポート
・OTJの実施日の外国人及び同行訪問した者のシフト表
・訪問記録・退勤管理表など
参考:「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について(令和7年
3月 31 日付け社援発 0331 第 40 号、老発 0331 第 12 号)に関するQ&A
3-3. キャリアアップ計画書を作成する
外国人本人と事業者が到達目標を共有するために、キャリアアップ計画書を外国人本人と事業者で共同で作成します。外国人が従事する業務内容や注意事項について、事前に丁寧に説明を行う必要があります。またキャリアアップ計画書には外国人本人の意向や希望をしっかりと反映させることも重要です。
作成したキャリアアップ計画書は、特定技能協議会事務局に提出する必要があります。キャリアアップ計画書の作成と協議会への提出のタイミングは以下の通りです。

キャリアアップ計画書の内容は外国人の意向も含め、以下の事項を具体的に記載する必要があります。(注1)
- 介護技能の習得目標
- 介護技能習得のための活動計画
- 資格取得・研修の受講目標
- キャリア目標
- 日本語能力の習得目標
- 以上の事項に関して事業者の支援計画
- 事業者と外国人本人の署名
参考:「外国人介護人材の訪問系サービス従事に係るキャリアアップ計画等の取
扱いについて」(令和7年3月31日付け社援基発0331第4号厚生労働省社会・
援護局福祉基盤課長通知)
3-4. ハラスメント防止の対応マニュアルを作成・共有する
訪問介護におけるハラスメント対策は、外国人介護人材が安心して業務に従事できる環境を整えるために非常に重要です。ここでのハラスメントとは、職場内・利用者及びその家族からのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、カスタマーハラスメントです。事業者が講じるべき事項は以下の通りです。
巡回訪問等実施機関から求められた際に提出できるよう、上記の措置を実施していることが分かる資料を常備する必要があります。以下の内容に関して資料を常備しておくと良いでしょう。
- 相談実施体制・実績を示す資料(担当者を置いていることが分かるもの、相談の受付簿、相談への対応記録など)
- 被害防止のためのマニュアル
- ハラスメント対策のための研修の資料
- 職員・サービス利用者及びその家族に周知していることが分かる資料
参考)「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について(令和7年
3月 31 日付け社援発 0331 第 40 号、老発 0331 第 12 号)に関するQ&A
3-5. 不測の事態に備えたICT活用を含む環境整備をする
訪問介護は利用者宅で単独で業務を行う構造上、利用者の容態の急変・利用者と介護者間のトラブル・外国人職員ならではの言語や文化のギャップによる不測の事態が発生するリスクがあります。万一不測の事態が発生した場合に備えて、以下の対策を行いましょう。
- 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアルの作成
- マニュアルをもとに、緊急時を想定した研修の実施
- 緊急時に他の職員が駆けつけられる体制の確保
- サービス提供記録や申し送りについて職員全員で情報共有する仕組みの整備
また不測の事態の発生時や通常の業務の負担軽減のためにICTを活用することも大切です。以下はICTの活用例です。
また巡回訪問等実施機関から求められた際に提出できるよう、上記の措置を実施していることが分かる資料を常備する必要があります。以下のような資料を常備しておくと良いでしょう。
- 緊急時対応マニュアル
- 勤務体制一覧表
参考
外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について
外国人介護職員の受入れ・定着のためのICT機器等の活用事例集
4. 外国人が満たすべき特定技能訪問介護の要件
4-1. 利用者・家族に納得してもらう
受け入れ事業者は利用者・家族へ以下の事項を事前に書面で説明し、内容を理解してもらったうえで署名を求める必要があります。
・外国人介護人材が訪問する場合があること
・訪問する外国人の実務経験等について
・ICT機器を使用しながら業務を行う場合があること
・外国人介護人材の業務従事にあたって不安なことがある場合の事業所連絡先
4-2. 介護事務所での実務経験が1年以上あること
外国人が特定技能介護の資格を保持していること・初任者研修等を修了していることに加えて、原則介護事務所での実務経験が1年以上ある必要があります。外国人介護人材はまず介護事務所で1年以上研修を受けた後、訪問系サービスで実習をしたのち、訪問介護で勤務ができます。

介護事務所での実務経験が1年未満でも採用できる場合
ただし以下の場合は介護事務所での実務経験が1年未満でも外国人を訪問介護サービスに従事させることができます。
N2相当など在留資格上求められている日本語能力よりも高いレベルでの能力を有する場合
かつ
・同行訪問を利用者ごとに行う
※同行訪問の頻度
① 週1回のサービス提供の場合:同行訪問を半年間行う
(利用者・家族の同意が得られれば、3ヶ月の同行訪問後、ICT機器で事業所と常時連絡を取る体制で可)
② 週2回のサービス提供の場合:同行訪問を3ヶ月間行う。
③ 週3回以上のサービス提供の場合:同行訪問を2ヶ月間行う。
5.訪問介護で特定技能を解禁するメリット・デメリット
訪問介護で特定技能外国人の受入れが解禁されることにより、多くの期待と課題が浮上しています。ここでは、特定技能外国人の導入が訪問介護にどのような影響を与えるか、具体的なメリットとデメリットについて詳しくみていきます。
特定技能外国人を採用することで若手人材の確保が期待でき、結果として長期的な人手不足の解消が見込めます。しかし初めは日本語能力や文化の違いによるトラブルが発生するかもしれません。また初めて特定技能外国人を採用する施設にとっては特定技能外国人の受け入れ手続きは煩雑で負担に感じるかもしれません。
登録支援機関では特定技能外国人の受け入れ手続きや支援計画の作成・実施をサポートできます。受け入れ手続きが複雑に感じる場合は登録支援機関の利用を検討すると良いでしょう。日本語能力向上や日本の文化・マナーの教育に力を入れた支援機関を利用することをおすすめします。
\日本のマナー研修も充実/
特定技能 登録支援機関ならJapan Job School
6.特定技能「介護」で採用する方法
特定技能介護で外国人を採用するには、以下の手順で進めます。
STEP.1 受入れができる業種・業務内容・施設・事業形態か確認する
STEP.2 企業の受入れ要件を確認する
STEP.3 外国人の受入れ要件を確認する
STEP.4 支援を自社でするか登録支援機関に任せるか選ぶ
STEP.5 ビザ変更申請を自社でするか第三者に任せるか選ぶ
詳しくは、以下の記事で解説しているのでご覧ください。

7.まとめ
特定技能外国人による訪問介護が解禁されることで、人材不足解消に貢献することが期待されています。外国人材を受入れる企業さまは、採用方法や要件を理解し、適切な準備をしましょう。
とはいえ、ビザの手続きが複雑に感じるかもしれません。もし外国人採用に踏み切れない施設は、専門知識を有する経験豊富な専門家の力を借りることが重要です。

厳選された求職者情報を無料でお届けします!
登録者限定で希望業界・エリアにマッチした特定技能人材情報を定期配信します!
いつでも問い合わせできるため、スムーズな採用が可能です!