【育成就労】自動車整備分野はどう変わる?2区分編成や転籍ルール・受入要件
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自動車整備業界では、若者の車離れや高齢化により人手不足が深刻化しています。令和6年度における自動車整備分野の有効求人倍率は5.09倍に達していました。従来の採用だけでは現場の維持が難しくなっています。そこで期待を集めているのが、2027年4月から始まる「育成就労制度」です。
この記事では、育成就労において自動車整備分野が外国人材から選ばれる理由をはじめ、「自動車整備」と「車体整備」に分かれた2区分の違い、評価試験や受入要件、転籍ルールまで分かりやすく解説します。今後の人材確保に向け、ぜひ参考にしてください。
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参考:自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針
1. 自動車整備分野で外国人が必要な理由
日本の自動車産業が大きな変化を迎えるなか、現場を支えるメカニック(整備士)不足は年々深刻になっています。日本では、少子化や若者の車離れが進んでいます。また職業選択の多様化によって、自動車整備士を目指す若者が減少しているのが現状です。
1-1. 自動車整備分野の人手不足
自動車整備の現場で起きている人手不足は、一時の採用難にとどまらず、業界全体の大きな悩みとなっています。ベテラン整備士の退職が進む一方で、車に関心を持つ若者が減り、整備士の専門学校に入る学生の数も過去18年で約47%減少しています。
※自動車整備専門学校入学者数の推移|自動車整備分野における人材確保に係る取組(令和6年3月1日 物流・自動車局 自動車整備課 )
多くの工場やディーラーでは、日々の点検や修理をこなす人手が足りず、作業が遅れてしまったり仕事を断らざるを得なかったりするケースも出てきました。こうした現場の負担を減らすためにも、新しい力となってくれる外国人材への期待が急速に高まっています。
1-2. 有効求人倍率5.09倍
自動車整備の仕事がどれほど人材不足なのかは、数字で見るとよりはっきりと分かります。厚生労働省のデータによると、令和6年度における自動車整備分野の有効求人倍率は5.09倍です。
仕事をしたい人1人に対して5件以上の求人がある状態で、ほかの業界と比べても際立った人手不足です。日本国内だけで人手を集めるのはかなり難しいのが現状です。
※育成就労制度の検討状況について|~育成就労制度及び 就労資格の最新情報について~ |令和7年度 第2回 外国人雇用管理セミナー
1-3. 育成就労制度における自動車整備分野
1993年から続いてきた技能実習制度に代わり、新しく始まるのが「育成就労制度」です。これまでの技能実習は「国際貢献」が主な目的でした。新制度では「人手不足の分野で人材を確保し、育てていくこと」へと大きく目的が変わります。
深刻な人手不足に悩む自動車整備分野もその対象となり、未経験の外国人材を基礎から計画的に育成できる仕組みが整えられます。そのため、長期的なキャリアを見据えて採用・育成ができます。育成就労制度では、業界の課題を解決する大きな一手として期待されています。
育成就労制度の概要は、以下で詳しく解説しました

2. 育成就労における自動車整備分野は2区分編成
育成就労制度の自動車整備分野では、現場の仕事内容に合わせた「自動車整備」と「車体整備」という2つの区分が用意されています。技能実習制度のときに起きていた「思い描いていた仕事と違う」といったミスマッチを防ぐため、業務の切り分けが行われました。

自動車整備業での採用方法を分かりやすく解説しています。
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2-1. 自動車整備区分
自動車整備区分は、主に車の定期点検や車検、エンジンや足回りといった各種装置の分解・整備(特定整備)を担当する区分です。安全走行に直結するパーツを扱うため、正確な構造知識と作業手順が求められます。
育成プログラムでは、1年目に車検や定期点検の良否判定・整備の補助作業からスタートします。2〜3年目には各種テスターや測定器を用いた診断・特定整備へとステップアップし、指示を受けて自立した整備ができるレベルを目指します。日常の点検・整備を主力とする整備工場やディーラーでの受け入れに最適な区分です。
2-2. 車体整備区分
車体整備区分は、事故などで傷ついた車の外装パーツの交換、板金・塗装、フレームの修正作業などを専門に行う区分です。自動車整備区分とは使用する機器や技術体系が大きく異なり、高い専門技術が求められます。
育成プログラムでは、1年目に外装・内装部品の脱着や交換、基礎的な板金・塗装作業を実施します。2〜3年目にはボデー・フレームの高度な修正や溶接作業、カメラ・センサー類の校正作業(エーミング)まで対応できる技術を段階的に習得していきます。板金・塗装の専門工場などで、将来のプロ技術者を計画的に育てたい場合にぴったりの区分です。
※受入れ対象分野(業務区分の切り分け等を行う分野)のイメージ|育成就労制度の受入れ対象分野 育成イメージ
3. 育成就労における自動車整備分野|評価試験
育成就労制度では、外国人材が着実に技能を身につけているかを客観的に確認するため、段階的な試験・評価制度が取り入れられています。
受け入れ企業には、単に労働力として受け入れるのではなく、外国人材が各段階の試験に合格できるよう、日々の業務を通じた計画的な教育体制づくりが求められます。
| タイミング | 日本語能力 | 評価試験 |
| 受入れ時 | 「日本語教育の参照枠」のA1相当以上の合格、または認定日本語教育機関等での指定講習の受講が求められる | ― |
| 1年経過 | ― | 育成就労評価試験(初級) |
| 3年修了時 (育成就労の修了) | A2.2相当以上 | 育成就労評価試験(専門級) または 3級自動車整備士技能検定 |
1年経過したあとの試験では、車両の基本構造の理解や点検整備の補助作業ができるかを評価します。この試験への合格が、2年目以降の育成就労へ進むための必須条件です。
3年修了時(育成就労の修了)では、指示を受けながら点検・整備作業を自立して行えるレベル(特定技能1号相当)かを評価します。合格することで、即戦力として「特定技能1号」へスムーズに移行できます。

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4. 自動車整備分野で育成就労を受け入れるための要件
自動車整備の現場で育成就労生を迎えるためには、国が定めたルールや基準をクリアする必要があります。事故やトラブルを防ぐための安全管理はもちろん、しっかりと技術を教えられる環境を用意することが大切です。
4-1. 育成就労実施者に対しての条件
育成就労生を直接雇用して指導する企業(育成就労実施者)には、整備工場としての設備や指導体制に関する厳格な条件が課されています。
| 1.認証工場であること | 道路運送車両法に基づく「認証工場」である ※整備業務区分の場合、対象車両が二輪車のみでないこと、または対象装置に制限がないこと |
| 2.協議会への加入・協力 | 国土交通省が設置する「育成就労の協議会」に加入し、調査や指導に協力すること |
| 3.資格を持つ指導員の配置 | 「育成就労指導員」として、以下のいずれかの資格・経歴を持つ人材を配置する必要がある ・1級または2級の自動車整備士 ・3級自動車整備士の資格取得後、3年以上の実務経験者(自動車整備区分) ・自動車車体・電子制御装置整備士(車体整備区分) |
| 4.実務経験証明書の発行 | 修了時等に、自社での実務経験を証明する書面を交付すること |
4-2. 監理支援機関に対しての条件
育成就労生の受け入れ企業を指導・監査する「監理支援機関(旧:監理団体)」にも、自動車整備の専門知識を踏まえた厳格な条件が課されています。
※なお、特定技能外国人(1号)の生活・業務支援をサポートする「登録支援機関」とは対象制度や役割が異なります。
| 1.協議会への加入と協力 | 国土交通省が設置する「育成就労の協議会」に加入し、必要な協力を行うこと |
| 2.行政の調査・指導への協力 | 国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査・指導に対し、必要な協力を行うこと |
| 3.専門知識を持つ「育成就労計画作成指導者」の配置 | 適正な育成就労計画を作成するため、以下のいずれかの資格・要件を満たす「育成就労計画作成指導者」を配置することが義務付けられる。 ・1級または2級の自動車整備士 ・自動車整備士の養成施設において5年以上の指導実務経験を持つ者 ・3級自動車整備士の資格取得後、自動車整備作業に関して3年以上の実務経験を持つ者(※自動車整備業務区分の場合) ・自動車車体・電子制御装置整備士(※車体整備業務区分の場合) |
4-3. 育成就労の内容に対しての条件
実施する育成就労プログラムそのものにも、現場の運用や待遇に関する具体的な基準が設けられています。
| 1.指定教材による入国後講習 | 入国後の講習では、国土交通大臣が指定する専用の教材を用いて、基礎的な整備知識を習得させることが義務付けられている |
| 2.段階的に技能習得をサポート | 単一の単純作業の繰り返しは認められず、主たる整備業務に計画的に従事させる必要がある ※ただし、整備内容の説明や関連部品の販売、工場内の清掃といった付随業務については、メイン業務に支障のない範囲で従事させることが可能 |
| 3.直接雇用の原則 | 雇用形態は「直接雇用」に限られ、派遣等での受け入れは認められない |
| 4.2年目の「昇給(待遇向上)」の義務 | 自動車整備分野では2年間の転籍制限が認められている代わりに、企業側は業界の昇給率基準に基づき、外国人の賃金を1年目から2年目にかけて確実に昇給させることが条件となっている |
※参考:自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 及び育成就労に係る制度の運用に関する方針
5. 育成就労における転籍ルールと注意点
育成就労制度の導入に伴い、これまでの技能実習制度から大きく変更されたのが「本人の意向による転籍(転職)」のルールです。外国人材の権利を守りつつ、受け入れ企業が計画的に育成を行えるよう、明確な制限期間や条件が設けられています。
5-1. 転籍制限は2年
育成就労制度全体では転籍制限期間が1〜2年の範囲で分野ごとに設定されますが、自動車整備分野では「2年間」と定められています。
これには明確な理由があります。1年目に基礎的な点検整備を学び、2年目に重要保安部品の分解整備(特定整備)やエーミング計測といった高度な技術へステップアップするため、一貫した教育環境が必要だからです。
メーカーや工場によって、取り扱い車種・工具・マニュアルが異なります。同一企業で2年間じっくり育成すれば、外国人材の技能修得や混乱防止にもつながります。
5-2. 昇給義務
転籍制限期間を2年間に設定する受け入れ企業(育成就労実施者)には、外国人材の待遇向上(昇給)が義務付けられています。
具体的には、在籍する外国人の所定内賃金を、1年目から2年目にかけて昇給させなければなりません(※協議会が設定・公表する業界内の賃上げ率基準を満たす)。制限期間で縛るだけでなく、技能の向上に応じた適切な待遇改善をセットで行うことが運用の条件となります。
賃上げ率:具体的な昇給率は毎年決定されます。
自動車整備分野の協議会が、業界内の企業(受入企業)の賃上げ実績(定期昇給+ベースアップ)データを踏まえて、毎年基準となる昇給率を計算し、公表します。
5-3. 求められる技能・日本語能力
育成就労生が本人の意向で転籍を行う場合、無条件に認められるわけではありません。一定の技能水準と、日本語能力の試験に合格している必要があります。
- 技能水準: 育成就労評価試験(初級)への合格
- 日本語能力水準: 「日本語教育の参照枠」のA2.1相当以上の合格
新しい職場へ移っても現場の指示を正しく理解し、安全に作業を進められるコミュニケーション能力が担保されていることが前提となります。
外国人の日本語能力アップに役立つ記事は、以下をご覧ください


6. まとめ
育成就労制度の導入は、外国人材を自社の基幹力として育成する絶好の機会です。
一方で、受け入れ企業には認証工場の要件や有資格者の指導員配置、2年間の転籍制限に伴う昇給措置など、最新の公的ルールに沿った体制整備が求められます。
2027年4月の制度スタートに向け、その先の「特定技能」へのスムーズな移行も見据えた早めの準備が不可欠です。
JJS(Japan Job School)では、最新の法令基準に完全対応した外国人材の受入れ・育成サポートをしております。自動車整備分野での外国人材活用をお考えの事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

