こんにちは。私は年間500人以上の外国人と関わるスクールに勤めています。そのためベトナム人と話す機会が非常に多いです。そして企業の方からベトナム人の性格や職場でのマネジメントに頻繁に尋ねられます。2019年10月には日本で働く外国人では2番に多い国籍はベトナムになりました。

「ベトナム人について知ったところでどうなるの?」と思うかもしれませんが、例えば旅行に訪れた際に、日本についてよく知っていて理解がある外国人を見つけると非常に嬉しくなりませんか?社内の外国人をうまくマネジメントするには、自分に好意を持ってもらうことが一番の近道です。

そんなベトナム人のマネジメントが気になる方に向けて、ベトナム人の同僚・生徒から調査した内容や自身の経験を元にベトナム人の
・日本との関係性
・文化
地域ごとの性格
・職場での活かし方
をご説明いたします。

ベトナムと日本の関係性

つい先日の2020年10月に菅首相がベトナムを訪れたのをご存知ですか?
菅首相が就任後初めて外国首脳と会談したのはなんとベトナムなのです。首首相交代後も日本とベトナムの関係性は依然として重要視されています。そんなベトナムと日本の関係性について近年のデータを元にお話しします。

ベトナム人の急増?

日本に住む外国人の割合は年々急増しています。下のグラフは日本に住んでいる外国人の推移になっています。2019年では293万人の外国人が日本に在留しています。今はコロナの影響で日本に入国しにくい状況が続いていますが、かなりの外国人、特に出稼ぎとして日本を訪れる東南アジアの方々が現在母国で日本を訪れるのを待機しているのが現状です。

そんな外国人人口が増え続けている日本ですが、中でもベトナム人の割合が爆発的に増えています。2014年段階では約9.9万人だった在留ベトナム人が2020年(2019年末)には41.2万人となっています。つまり約5年間で約4倍も増えているのです。

日本に住んでいる外国人の中のベトナム人の割合をご存知でしょうか?
ベトナム人はなんと全体の約14%、つまり日本にいる外国人の7人に1人という割合を占めています。さらに2019年10月には日本で働いている外国人では全体で2番目に多い国となりました。外国人労働者の中では24%に及びます。

ベトナム人労働者の失踪問題

技能実習生の失踪問題は数年前に社会問題になりました。なんと失踪者のうちの約7割はベトナム人です。この失踪問題を解決しなければベトナム人が今後、人手不足が深刻な日本を見限ってしまう可能性があります。
この技能実習生の失踪の原因は技能実習の制度上の問題と、日本とベトナムの労働環境の違い、そして一番の問題として賃金にあります。
技能実習の制度は基本的に修了まで転職が認められていません。なので苦労して日本に来ても、職場が劣悪な環境だとしても転職をすることができないのです。ベトナムは基本的に定時で帰ることができます。その他にも日本とベトナムには労働環境に違いがあります。
最後に大きな問題として、契約金・最低賃金以下の給与しかもらえないということです。

法務省のプロジェクトチームによると失踪の原因の約58%は低賃金が原因です。日本に来る技能実習生の半分ほどは100万円ほどの借金をした状態で日本に来ます。その多額の借金返済のために高い給料が必要になるのです。しかし高い給料といってもベトナムと日本では賃金差があるので日本で人並の給料でいいのです。

ベトナムの文化

ベトナムは社会主義国です。法は支配者の都合によって変更されるという意識があります。なので自分の身は自分で守ると考え、信頼できるのは家族と友人という文化が根付いています。

宗教

ベトナムは無宗教の割合が73%です。なので他の国籍の方と比べて礼拝や食生活などの宗教上の心配をする必要はないと思われます。この点はベトナム人を雇用するうえでメリットになるでしょう。

食生活

ベトナムの食事は米や野菜、魚介類が中心です。比較的日本と似たような食生活です。フォーなどが有名です。日本人と比べみんなで食事を共にする文化もあります。同僚のベトナム人を食事に誘ってみてもよいかもしれません。

性格

ベトナム人は全般的に比較的プライドが高い人が多いです。将来は高級車を買いたいなどよく聞きます。
そして近視眼的な人が多いのも特徴です。ベトナム人はベトナム戦争を経験し将来が不安な状況で生きてきました。そして四季がない地域が多いので冬に向けた蓄えをしないなと言われています。このような要因から計画性に欠けていることが見受けられます。その場その場での短絡的な行動をしがちです。
しかし儒教思想の影響で、家族思いで人懐っこい性格も持ち合わせています。

地域によって性格が異なる?

日本でも関東と関西で性格や文化が異なるように、ベトナムでも生まれた地域によって性格が異なっていたりします。ベトナムはこのように縦に長い形をしています。なので出身地によって国民性が異なることが見受けられます。
ベトナム人の性格はベトナム人の同僚や生徒から聞いたところによると北部・中部・南部で変化が出てくるそうです。

北部

北部は四季があります。日本でいう東京と大阪の関係で例えると東京に当てはまるような気質を持った方が多いと言われています。勤勉真面目そして内気です。なので日本人の感覚に近いのは北部でしょう。教育熱心な家庭が多いのも特徴になります。そして政治の中心である首都ハノイがあるのも北部になります。
私の同僚によると、ベトナム南部や中部とは違い、北部の方は挨拶をする文化があるそうです。

中部

中部は雨期と乾季があり、雨季には降水量が世界平均の3倍もあります。中部の人は穏やか・反骨精神・能動的という特徴があります。そして貧困層も多く降水量の多さから洪水が頻繁に起こります。貧困から抜け出すため北部のハノイや南部のホーチミンに仕事を求める人も多く、その分チャレンジ精神があるのは中部と言えるでしょう

南部

南部は日本で例えるなら大阪といえるでしょう。性格はおおらか人見知りをせず外交的、短気な方が比較的多いです。ホーチミンは商業の中心地であり、経済の中心地です。湿気が多く1年を通して温暖な気候なのも性格に表れているかもしれません。

ベトナム人の職場での活かし方

今までベトナム人の特徴をお話ししましたが、ここからはベトナム人を職場でどのように活かしマネジメントするのかを説明いたします。

出身地を考慮に入れる

先程も話したようにベトナム人は北部・中部・南部で性格や気質に違いが出てきます。出身地で判断しすぎるのは危ないですが、判断材料の一つにはなるでしょう。

すり合わせ

ベトナムの新卒給与水準の相場は4万円です。日本の18万円と比べかなりの開きがあり、ベトナム人が日本に出稼ぎに来る理由がわかります。なので給料はベトナム人が重視しているポイントです。もちろん大いに越したことはないですが労基法に基づき給与について、そしてキャリアパスについてもしっかり説明しましょう。

そして雇用の際に、ベトナム人が慣れていない残業時間について一時帰国の有無についてのすり合わせをしておきましょう。この2つは外国人が意外と気にするポイントになります。

ベトナム人特有の性格を気にする

ベトナム人はプライドが高い方が多いです。面接ではプライドを気にして英語が話せるなどと発言していても、実際は話せないことも見受けられます。人前で叱るようなことは避けましょう。そして褒めることで他の国籍の方に比べモチベーションの向上につながるでしょう。
そしてベトナム人は近視眼的て短絡的な行動をするので、一緒に業務についての計画を考え、この業務が何を意味するのかを教えてあげましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
人手不足が深刻な日本で、ベトナム人が大きな助けとなっています。
ベトナム人の労働者を活かす際は、そのベトナム人特有の性格・文化を理解してあげることが非常に重要です。その性格や文化を考慮して、事前のすり合わせや丁寧な指導を徹底しましょう

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