特定技能「農業」とは?制度内容・要件・試験などについて簡単解説

執筆者:Divership編集部|外国人雇用担当部門

この記事では、農業分野における特定技能外国人の受入れについて解説しています。特に、採用方法や採用活動の際の注意点、よく似た制度である技能実習との違い、受入企業側・外国人側の要件などをまとめています。

目次

1. 特定技能「農業」とは?

農業における人手不足は深刻化しています。農林水産省が発表している「2020年 農林業センサス結果の概要(確定値)」によると、農業の就業人口は約136万人で、5年前と比べて約22%もの減少幅となりっています。

このような厳しい人手不足に対応するため農業分野でも特定技能が導入され、外国人材の受入れが可能となりました。これを活かして、外国人材を積極的に活用する農家も増加しています。

参考: 2020年 農林業センサス結果の概要(確定値)

1-1. 技能実習と特定技能の違い

農業における外国人材受入れの方法として、特定技能のほかに技能実習もあります。両者はよく似た制度となっており混同する方も多いため、主な違いを以下で解説します。

1-1-1. 受入れ期間

技能実習の場合、受入れ期間は原則3年間で。その後2年間延長することができます。特定技能の場合は、最長5年間となっていて、半年契約や1年契約ということも可能です。

1-1-2. 転職

技能実習では、当初の3年間は原則として転職ができない仕組みになっています。3年間は確実に仕事をしてもらえると言えます。一方、特定技能は転職が自由となっています。1年契約や3年契約で採用したとしても、途中で他社や別業種に転職してしまうという可能性もあります。

1-1-3. 費用

技能実習生を受入れる際には、監理団体というところに監理をしてもらわなければなりません。監理団体は技能実習生の生活サポートや書類手続きを代行してくれますが、毎月監理費を2〜4万円支払わなければなりません。

特定技能の場合、監理団体などの機関を利用することなく、自社のみで雇用することも可能です。ただし、法律で定められている「支援」や定期報告を自社でしていると時間がいくらあっても足りませんので、登録支援機関というところにサポートしてもらう方式が一般的です。

特定技能と技能実習の違いについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

2. 特定技能「農業」の業務区分・できる仕事

特定技能制度といえども、特定技能外国人に従事させることができる仕事の範囲は限定されています。特定技能「農業」において認められている業務区分は以下の業種とされています。

  1. 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
  2. 畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)

また、以下の項目は「関連業務」となっており、これらの業務も担当してもらうことができます。

  1. 自社で生産した農畜産物を原料又は材料の一部として使用する製造・加工の作業
  2. 農畜産物の生産に伴う副産物(稲わら、家畜排泄物等)を原料又は材料の一部として使用する製造・加工の作業
  3. 農畜産物の運搬、陳列又は販売の作業
  4. 農畜産物を原料又は材料として製造・加工された物の運搬、陳列又は販売の作業

  5. その他日本人が通常従事している作業(冬場の除雪作業に従事する場合等)

なお、関連業務のみに従事させるということは認められていません。主な業務を中心に仕事を割り振ることが求められます。

参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -農業分野の基準について

2-1. 特定技能「農業」では派遣も可能

特定技能制度での外国人雇用は原則としてフルタイム正社員雇用となっていますが、農業においては派遣雇用も可能となっています。技能実習生などの受入れ実績があるか、都道府県労働局が行う講習を受講するなどすることで、派遣雇用が認められるようになります。

農業は季節による繁閑の差が大きいため、特定技能外国人を受け入れやすい派遣雇用という仕組みが導入されています。

特定技能での派遣について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

3. 特定技能「農業」の企業の要件

特定技能においては業種別に様々な要件が課せられていますが、農業については業種特有の要件はありません。すべての業種に共通の要件(法定の「支援」を適切に実施する、入管法・労働法などに違反していないなど)を満たしていれば、特定技能外国人の受入れが可能です。

また、初めて特定技能外国人を受入れる場合は、受入れから4カ月以内に「協議会」へ加入し、農林水産省が行う調査や指導に対し必要な協力を行わなければならないこととされています。

3-1. 協議会とは

協議会とは、「特定技能外国人の適正な受入れ及び保護」を行うことを目的として組織された機関です。この記事を掲載した時点では入会金や年会費などは不要ですが、法律上強制加入となっています。協議会の加入期限は特定技能外国人を受入れ始めて4カ月以内です。適切に加入手続きをしておかなければ特定技能外国人の在留資格の更新ができなくなりますので、注意が必要です。

なお、協議会への加入申請は農林水産省のウェブサイトから行うことができます。法人と個人で申込フォームが異なりますので間違えずに申請してください。

参考:農業分野特定技能協議会規約

4. 特定技能「農業」の外国人側の要件

特定技能制度は、現場で即戦力となる外国人を受入れる制度となっています。このため、特定技能外国人を受入れるためには、その外国人が農業に関する一定の技能と、日本で生活できるための日本語能力を身につけていることが求められています。

4-1. 技能実習2号からの移行

耕種農業や畜産農業においては、技能実習制度を活用して技能実習生を受入れることが認められています。技能実習を3年間修了した技能実習生については、農業に関する技能と日本語能力を身につけているとして、引き続き特定技能外国人として受入れることが可能です。 自社で受入れていた技能実習生を引き続き雇用したい場合は、こちらの手段を利用するのが一般的です。

4-2. 技能評価・日本語試験への合格

転職による受入れや新たに海外から人材を呼び寄せたいときに使うのが、技能評価・日本語試験への合格という方法です。

国内外で開催されている特定技能制度専用の農業に関する試験(技能測定試験)と、日本語に関する試験に合格することで、即戦力たる技能を有していることを証明します。まずは、主に2種類用意されている日本語に関する試験について説明します。

4-2-1. 日本語能力試験の試験内容

「日本語能力試験」は外国人向けの日本語を測る試験としてもっともメジャーなものです。特定技能外国人が取得することが必要な日本語能力試験のN4とは、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベルとされています。語彙や文法、リスニングなどの問題が出題され、180点満点中90点以上獲得で合格です。

参考:日本語能力試験

4-2-2. 日本語能力試験の試験日程

毎年7月と12月の第一日曜日に試験が実施されます。試験会場については日本国内だけでなく世界各国でも行われているため、海外で受験することが可能です。

4-2-3. 国際交流基金日本語基礎テストの試験内容

「国際交流基金日本語基礎テスト」は、「就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があるかどうかを判定することを目的」とした試験です。語彙や会話、リスニングなどの問題があり、250点満点中200点以上得点すると合格です。

参考:国際交流基金日本語基礎テスト

4-2-4. 国際交流基金日本語基礎テストの試験日程

国際交流基金日本語基礎テストはCBT方式で行われる試験で、日本国内ではほぼ毎日どこかの都市で実施されています。海外でも、特定技能外国人の割合が多いインドネシアやフィリピンなどでは1カ月に数回の頻度で開催されていて、受験しやすい環境が整備されています。

5. 特定技能「農業」の試験

ここからは、技能測定試験について説明します。

5-1. 技能評価試験の試験内容

試験は一般社団法人全国農業会議所が実施しており、実技試験学科試験があります。出題範囲については、以下のようになっています。

耕種農業全般

学科
  1. 耕種農業一般
  2. 安全衛生
  3. 栽培作物の品種・特徴
  4. 栽培環境(施設・設備・資材・機械)
  5. 栽培方法・管理
  6. 病害虫・雑草防除
  7. 収穫・調整・貯蔵・出荷 等
実技(イラスト・写真による判断)
  1. 土壌の観察
  2. 肥料・農薬の取扱い
  3. 種子の取扱い
  4. 環境管理、資材・装置・機械の取扱い
  5. 栽培に関する作業
  6. 安全衛生 等
日本語
  1. 日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り

畜産農業全般

学科
  1. 畜産農業一般
  2. 安全衛生
  3. 品種
  4. 繁殖・生理
  5. 飼養管理 等
実技(イラスト・写真による判断)
  1. 個体の取扱い
  2. 個体の観察
  3. 飼養管理、器具の取扱い
  4. 生産物の取扱い
  5. 安全衛生 等
日本語
  1. 日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り

上記の出題範囲から70問程度が出題されます。難易度は「日本国内での実務経験が3年以上の者であれば、7割程度が合格する水準」となっています。

参考:「農業技能測定試験」試験実施要領

5-2. 技能評価試験の問題・解答テキスト

実技試験のサンプル問題や学習テキストは、一般社団法人全国農業会議所が運営する公式ウェブサイトで公開されています。リスニング問題の練習のための音声ファイルもダウンロードが可能です。

学習用テキストは、ベトナム語やインドネシア語だけでなく、ネパール語やビルマ語など13言語で公開されていて、幅広い国からの受験に対応しています。

5-3. 技能評価試験の日程

技能評価試験は、日本全国各地で毎日行われています。海外でも月に数回実施されており、受験しやすい環境が整えられています。

具体的な日程については以下のウェブサイトをご参照下さい。

6. 特定技能「農業」で採用する方法

6-1. 技能実習から特定技能への移行

農業職種で技能実習を3年修了した人材であれば、先に述べた日本語試験や技能評価試験を受けることなく特定技能へ移行することができます。既に技能実習生を受入れていて、特定技能でも引き続き受入れを希望する企業がよく活用する方法となります。

6-2. 留学生から特定技能への移行

留学生から特定技能へ移行するためには、在学中に日本語の試験と技能評価試験に合格しておく必要があります。卒業と同時に特定技能へ移行することができるよう、計画的に試験を受けることが大切です。

6-3. 海外からの採用

先述のとおり、日本語の試験・技能評価試験ともに海外でも頻繁に開催されていますので、海外で合格した人材を採用することも選択肢の1つです。また、農業職種の技能実習を3年終えて既に帰国している人材を呼び寄せることも可能です。

なお、海外から採用する場合は、現地大使館へのビザ申請なども必要となるため、国内人材の採用よりは時間を要することがやや難点です。

7. 特定技能「農業」の採用までの流れ

ここまで見てきたように、特定技能「農業」での外国人材受入れの選択肢は複数用意されています。

ここでは、より確実・スムーズに特定技能「農業」で外国人を雇用するためのおすすめの方法・流れを解説します。

7-1. 特定技能「農業」おすすめの採用方法・流れ

求人募集の際は、技能測定試験合格者以外も選考対象にする

技能測定試験の合格者のみを選考対象にすると、選考できる人数がぐっと少なくなります。そのため、まずは技能測定試験合格者以外も選考することをおすすめします。 現在アルバイトで雇用している外国人の方にも、特定技能での就職を勧めてみるべきです。その際にはぜひ特定技能の制度についても改めて説明してあげてください。留学生の中には特定技能について知らない人もたくさんいるからです。

技能測定試験合格を条件に採用内定を出す

採用内定は、特定技能の受入れ要件を満たす前に出すことも可能です。技能測定試験の日程は、一般社団法人全国農業会議所のホームページで公開されていおり、これを念頭に内定を出しておけば、早めに人材確保を行うことができます。特定技能「農業」は試験の実施頻度も高く、合格率も各回80%を超えていることから、1〜2回の受験で合格することが見込まれます。内定を出したものの試験に合格できなかったという可能性はかなり低いと言えます。

参考:農業技能測定試験公式ウェブサイト

技能測定試験は代理登録を行う

技能測定試験は申込み方法がやや複雑なため、外国人側に申込を任せると手続きの段階で脱落する方が非常に多いです。企業の担当者側で、代理登録することをおすすめします。

以上のような流れを経て、試験合格者を正式に雇用するという流れがおすすめです。 1つ注意点として、選考者は日本語能力試験N4以上も必要です。こちらは国内では年に2回しか試験がないため、選考者にまだ持っていない方がいる場合は、こちらも確実に受験させましょう。その際に必要以上にレベルの高い(例えばN2やN1)の受験をしてしまうと一気に合格率が下がるので、確実に合格が必要な場合は、N4、N3あたりの受験がおすすめです。

8. まとめ

特定技能「農業」は、人手不足を解消するために欠かせないものになっています。農業の技能測定試験は他の分野と比べて合格率が高くなっており、試験合格を見込んだ採用を行いやすくなっています。

この記事を参考にして積極的に特定技能制度を活用し、人手不足対策を進めていただければと思います。もし農業で特定技能の採用を検討中でしたら無料相談も行っているのでお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

Divership編集部は、外国人教育スクールJapanJobSchoolの運営や日本企業への外国人材就労支援事業を行う株式会社JJSの講師や社員等で構成しています。日本企業に外国人に関する理解を深めてもらい、外国人雇用を成功に導くための編集部です。

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