外国人雇用助成金 「キャリアアップ助成金」から始めよう!

外国人を雇用するにあたり、助成金をもらえると周りから聞いたことはありませんか。
助成金を上手く活用すると、人材の確保や教育などの費用にあてることができます。
実際に現行の制度では次の5つがあります。

  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 雇用調整助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 人材開発支援助成金

このうち私のおすすめは「キャリアアップ助成金」です。
では、各助成金の説明と、どうして私が「キャリアアップ助成金」をおすすめするのかについて解説していきます。

目次

1.外国人の雇用で受け取れる助成金一覧(目的・金額・対象・必須条件)

外国人の雇用で受け取れる助成金は下記のとおりです。

  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 雇用調整助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 人材開発支援助成金

では、1つ1つ見て行きましょう!

1-1 キャリアアップ助成金(正社員化コース)

目的:1年や半年などの期間を決めて契約している有期契約労働者、正社員に比べて短い時間働くパートタイム
   労働者、派遣会社と契約を結び派遣先で働く派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者の企業内での
   キャリアアップを促進するためのものです。   

金額:1人あたり72万円になります。

対象:入社して6か月以上の有期契約労働者や無期雇用労働者、6か月以上同じ事業所にいる派遣労働者です。

必須要件:定住者が対象のため、技能実習生、留学生は利用不可です。

1-2 トライアル雇用助成金  

目的:職業経験が乏しく、特別な技術や知識がないため安定した就職が難しい求職者について、ハローワークや
   職業紹介事業者等の紹介により、決まった期間雇用した事業主に対して助成するためです。

金額:最大1人あたり月4万円✕3か月になります。

対象:過去2年以内に2回以上転職している人、仕事をしていない期間が1年以上、ホームレス等です。

必須要件:特にありません。

1-3 雇用調整助成金

目的:会社の経営が大変で事業を小さくしなければならない場合、従業員に対して少しの間休業や、技術を
   身につけさせるための教育訓練や他社に出向させる費用が発生した事業主に対して助成するためです。

金額:1人あたり9,000円✕300日(3年間)になります。

対象:雇用保険に加入している中小企業事業主及び労働者であり、事業の直近3ヶ月の売上高または生産量の
   月平均が前年度より10%減少しており、労使協定に基づく休業または出向であることです。

必須要件:特にありません。

1-4 人材確保等支援助成金

目的:外国人労働者に対し、日本の労働に関する法律やルールなどに関する知識不足や言語による違いにより、
   労働条件・解雇に関するトラブルを防ぐため、労働環境の整備を行った事業主に対して助成するためです。

金額:各コースにより異なります。

対象:特定技能1号・2号の在留資格を持つ人です。

必須要件:技能実習生は対象外となります。

1-5 人材開発支援助成金

目的:雇用する労働者のキャリア形成を効果的に行うため、仕事に関係する専門的な知識及び技能を学ばせる
   ための職業訓練を行い、そのための休暇を認めた事業主に対して助成するためです。

金額:1人あたり57万円になります。

対象:各コースにより異なりますが、若い労働者、外国人労働者が対象になります。

必須要件:離職率目標達成等が必要となります。

2.外国人の雇用で、「キャリアアップ助成金」の申請をおすすめする理由

先程説明した助成金の中でも、私は「キャリアアップ助成金」をおすすめします。
今からその理由を2つ述べます。

2-1 助成金の額が多い

1つ目の理由としては、助成金の金額は他と比べて多いからです


雇用期間が決まっている社員を正社員にした場合、最大72万円が支給されます。
また雇用期間の決まっていない社員を正社員にした場合でも、最大36万円が支給されます。
この他にも助成金が加算されるケースがあり、助成される金額が多いのも大きな魅力です。

2-2 手続きに困ったら、社会保険労務士が受けてくれる

2つ目の理由は、手続きを社会保険労務士がより引き受けてくれるからです。


「キャリアアップ助成金」は助成金額が大きく、社会保険労務士がもらえる成功報酬も大きいので、受けてくれる可能性が高くなります。自分の手続きが困った場合も社会保険労務士に依頼できるメリットがあります。

3.なぜ、他の助成金の申請をおすすめしないのか

3-1 トライアル雇用助成金

「トライアル雇用助成金」をおすすめしない理由は、手続きに一定の時間かかかりますが、助成金が少ないからです。
試用期間開始から2週間以内に実施計画書の提出となりますが、助成金は1人あたり最大5万円✕3か月であり、少額となります。

3-2 雇用調整助成金

「雇用調整助成金」をおすすめしない理由は、手続きに手間がかかることです。
景気悪化し従業員の休業・教育訓練費用を補填するものですが、事前に雇用調整の計画を立て、計画届を提出しなければなりません。また実施期間を終えた後、2ヶ月以内に申請をしなければなりませんので、手間がかかります。

3-3 人材確保等支援助成金

「人材確保等支援助成金」をおすすめしない理由は、助成金を申請してから助成金をもらうまで時間がかかるからです。
雇用管理計画に1年以上取組む必要があり、条件を満たしていれば「計画達成助成金」が、開始か ら3年経過後に生産要件などを満たしていれば「目標達成助成金」が支給されますが、長い時間が必要です

3-4 人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」をおすすめしない理由は、明確で具体的な研修計画が必要になるからです。
研修を行う際、対象者のリストと研修の場所の明記、参加者それぞれの勤怠表の記載が必要となり、明確な計画の作成をしないと申請が通らないケースがあります。

4.「キャリアアップ助成金」を申請する6つの手順

事業主は、事業所の所在地を管轄する労働局(以下労働局という)とハローワークと連携しながら、以下の6つ手順でキャリアアップ助成金を申請します。

4-1 キャリアアップ計画書の作成・提出

実施日の前日までに「キャリアアップ計画書」を作成し提出する必要があります。
この計画書は労働組合の意見を聴取し事業所ごとに計画書の作成が必要です。 また、労働局およびハローワークに作成の相談をすることができます。労働局に提出し、最終労働局長による認定印(確認印の押印)が必要です。→キャリアアップ計画書

4-2 就業規則の改訂

会社の就業規則の中には正社員に転換するための規定がない会社もあります。
正社員の改訂規定がない場合、就業規則の変更が必要となります。
こちらもキャリアアップの計画作成と同様に、労働局・ハローワークが相談にのってくれます。

4-3 就業規則の基づく正社員への転換

授業規則に基づいて、正社員への転換、正規雇用への手続きが必要です。
就業規則と違う手続きで転換、正規雇用を行うと助成金対象外となります。
転換前、転換後の労働条件に関する通知書は労働者に交付するとともに会社の控えも保管しておいてください。

4-4 正社員転換後、6か月の賃金の支払いを実施

6か月間転換後の賃金を支給する必要があります。
転換前6か月と比較して3%以上の賃金の上昇が必要です。

4-5 支給申請

支給申請は、取組後6か月の賃金を支払った日の翌日から起算して2ヶ月以内です。
具体的には支給申請書を作成し労働局・ハローワークに提出します。→キャリアアップ助成金支給申請書

4-6 支給申請・支給決定

労働局・ハローワークで提出された書類を審査・支給を決定します。
支給額が決定したら支給決定書が届き、助成金が振り込まれます。

5.「キャリアアップ助成金」を受け取るための3つの注意点

本助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者等の企業内でのキャリアアップを支援するためのものであり、支給対象事業主であるか、受給できない事業者に該当しないかをクリアするとともに、留意する事項もあります。

5-1 支給対象事業主であるかどうか

まず、最初に支給対象授業主であることの確認が必要です。
具体的には、雇用保険事業所であり、雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業所であることです。またキャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。

5-2 受給できない事業主に該当しないこと

次に受給できない事業者に該当しないことの確認が必要です。
支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険を納入していない事業主、支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反をおこなった事業主等に該当しないことが必要です。

5-3 その他留意事項

その他留意事項として、頻繁に制度の改訂があるので確認が必要です。
例えば、令和4年4月1日以降の変更点として、有期雇用から無期雇用に変更した場合は、この助成金制度は対象外になっています。

6.まとめ

キャリアアップ助成金は、パートタイム労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者を企業内でのキャリアアップするための制度です。働く人の意欲、能力を向上させ、事業の生産性を高め、優秀な人材を活用するために、是非この助成金制度を活用してください。

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この記事を書いた人

大学卒業後、長年、損害保険会社に勤務する。セカンドキャリアとして日本語講師を志し、現在、Japan Job Schoolで日本語講師に従事する。
前職のマネジメント等の経験を活かし、日本語だけではなくメンタルケアも行い、学生たちのメンターにもなっている。

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